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いよいよ・・・

留学の手続きは、留学先から、留学先の大学への願書送付、先方からの受け入れ許可など、すでに半年前から進められていた。ビザの申請、滞在許可申請、保険加入等など各種手続きが終われば、渡航準備となる。


5月の連休前に、早くも出国する生徒もいた。その中には、セギョン、ティファニーも含まれていて、私たちは別々の日に海外へといくことになった。


留学時期は、生徒にもよって異なるが、この4月下旬から、夏、秋、冬と段階的にスタートし、順番が最後の生徒になると、大学3年次に出国することになる。


秋田国際大学は、このように海外留学を通して、世界各国の大学の生徒たち共に学び、生活をし、新しく、多彩な価値観に触れ、また異なる文化や習慣などに触れることにより母国、(日本)について深く考えるようになり、様々な困難にも立ち向かい、挑戦し、たくましく成長することを期待し目的としている。


私だけでなく、他の生徒もそうだが、また新たな地で、新しい人とゼロからスタートする。これが、同じ日本人なら、そう難しいことはないだろうが、言葉も生活も文化も全く違う世界で、どんな一年を過ごすのだろうか・・・



そんな不安な中、ティファニーが出発の日を迎えた。大きなスーツケース2つにボストンバッグ、持てないものは、現地に送るようだ。 私もセギョンも秋田空港まで一緒に行き見送ることにした。羽田空港で乗り継ぎ、その後、オーストラリアまで向かう。


(セギョンもアイも、会えなくなっちゃうね・・・)


(でも、一年だけじゃない。すぐに終わっちゃうよ。)


(その、一年が長いんじゃん。)


(私も、明後日には、ドイツに行くんだから。みんな同じよ。)



この日は、ティファニーの他にも出国する生徒もいてその生徒たちと、一緒に、大学が手配してくれた、バスに乗り、秋田空港まで向かった。 辺りの景色を見ると、ようやく雪も収まり、秋田も春が訪れようとしていた。


空港に着き、搭乗時間も迫っていた。


(アイ、セギョン、連絡だけは、これでするからね。)


テイファニーは、Iphone SEを飾した。


(フェイスブックやラインもあるんだし、離れたって、スマホがあれば一緒だよ。)


ティファニーはセギョンと抱き合い、そして私と抱き合った。


ん?どうした? 離れようとしない。


(アイ・・・)


(泣くなって。会えなくなるわけじゃないんだから。Iphoneがあるんだし、リアルタイムで見れるでしょ?)


(うん・・毎日毎日、しつこく連絡するから。)


セギョンも涙ぐみ、ティファニーとの別れを惜しんだ。


(I will coming! 行ってくるからね!)


ティファニーは、ANA羽田行きに搭乗した。



明後日。



一方、セギョンは、ドイツ行きの飛行機に搭乗するため、一度、東京駅まで行き、そこから成田空港に向かう。


(フランクフルトなんて、どんな国かも分からないから、調べてみたんだけど、私にはあまり向かないようなところだな・・・)


(でも、行ってみないとわからないよ。以外に住みやすかったりして、食べ物も美味しかったり。)


(ビールとソーセージしかない・・なんて、嫌だな。)


(もっと別のがあるって。笑。日本食もあったりするかもよ。)


(そうだといいけど・・・)



そんな、セギョンもドイツに行く日になった。この日は、秋田駅まで一緒に行き見送ることにした。 


(月岡さんとも会えなくなるね。)


(もう、ティファニーみたいに言わないでよ。笑)


見送りには、片瀬さんたちも来てくれた。


(セギョン、これ、みんなから。)


渡されたのは、(7分間の奇跡)でお世話になった、清掃作業のスタッフたち全員で写った写真だった。


(何か、辛いことがあったら、これを見て私たちのことを思い出して。)


セギョンは、涙ぐみ、片瀬さんに抱きついた。


(みんなで写真、撮ろう。)


片瀬さんの音頭で、私、セギョン、片瀬さん、そして(7分間の奇跡)スタッフのみんなで一緒になり画像に収めた。



東京行きの秋田新幹線が出発する時間。



(セギョン・・・・)


私も言葉が詰まってしまい、それ以上でてこない。


(帰国したら、また会いにいらっしゃい。)


片瀬さんもハンカチで目を押さえている。


(みんな、待ってるからな。)


清掃スタッフのみんなもセギョンに伝えた。



(行ってきます・・・・)



こうして、2人は、私より一足先に、海外へと旅立った。 













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