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帰省2

着信の相手は、瞳が逮捕されたときの刑事さんだった。


(月岡さん、久しぶりね。元気してるの?)


(はい。刑事さん、あの・・・)


私は、瞳のその後が、どうしても知りたかった。だけど、昨年、夏に仮出所したあと、更生施設に入ったということ以外は、まったく分からなかった。



(真行寺さんのことをね、今日は伝えようと思って連絡したの。私も秋田まで行こうと思っていたのだけど、今、捜査を抱えていて行けないのよ。だから今日でも・・って電話したの。)



(刑事さん、私、今、蒲田に帰省しているんです。)


(え?そうなの?じゃ、会えないかしら?署まで来る?)


(はい。行きます。)



セギョンとティファニーのお昼ねタイムを余所に、私は浴衣姿のまま、刑事さんに会いに行くことにした。


祖母にも、そのことを伝え、私は警察署に向かうことにした。



(愛、大切な友達だろう?どんなことであっても、その子をしっかり支えてあげるんだよ。愛の一番、大好きな友達だろう?刑事さんとちゃんと話しておいで。)




私は急いで警察署に向かった。


署に着くと、刑事さんが迎えてくれ、小部屋に案内してくれた。


(浴衣姿なんて、可愛いわね。どこかでお祭りでもあるの?)


(いえ、おばあちゃんの家に、大学の同級生と泊まりに来てるんです。)


(あ、そうなんだ。そういえばもう、今年は大学2年生よね・・・早いよね・・これ、食べて。今、コーヒーも用意してくるから。)



刑事さんがコーヒーを用意してきてくれ、お菓子を食べながら話始めた・・


(真行寺さんのこと・・・なんだけどね・・・)


刑事さんによると、瞳は、仮出所後、群馬県にある、覚せい剤や薬物などで服役した人たちを更生させる施設に入所、そこで昼夜を共にし、生活をしていた。瞳の施設での活動はとても良好で、その施設長からも職員にならないか?との誘いも受けるほどだったらしい。こうして瞳は(覚せい剤)というものから更生していった。そして、この4月に、仮出所も終え、正式に(女子刑務所)から(刑期満了)として出所することになり、それを機に施設も退所し、刑事さんとも会い、今後のことも伝えて一年間という(刑期)というものを終えることになった。


(瞳は今、どうしてるんですか?)


(真行寺さんはね、海外に・・・アメリカにお父さんがいるでしょ?お父さんのところに身を寄せることになって、そこで新たな人生をスタートさせることになったの。)


(向こうの大学か何かに行くんですか?)


(うーん・・それは分からないけど、お父さんが外科医の医師だから、その関係かもしれないし・・)


(私のことは何か言ってましたか?)



(それなんだけど、月岡さんとは、しばらく距離を起きたい・・・それだけ、だったわ。)



しばらく距離を起きたい・・・・私とはもう会いたくないということか・・・


(あまり、深く考えない方がいいわよ。だって月岡さんだって大学があるし、真行寺さんも、月岡さんのように、アメリカの大学に留学などもして何か学びたいと思ってるだろうし。そういう意味で少し、距離を起きたいということだと、私は思うから。)



何だか、しっくりとこないが、これも瞳らしいのかもしれない。でも、本当に、瞳がアメリカに行ってしまったら、もう会えなくなりそうな気がしてならない。


(ここは、流れに身を任せることにします。私も今年は海外留学を一年間、することになるんです。)


(え?そうなの?)


(私の大学では、2年生になると、海外で一年間、留学しながら生活するんです。)


(へぇ・・すごいじゃない?どこの国に行くの?)


(まだ、決まってなくて。4月の終わりあたりに大学から、あります。)



瞳のことも含め、大学生活のことなど、刑事さんと話しながら時間は過ぎた。



(じゃ、また何かあったら連絡するから。)


(ありがとうございました。)


私は、警察署を後にした。



祖母の家に戻ると、お風呂の準備がしてあり、祖母も夕飯の準備をしていた。



(愛、竹内さんも来たよ。今、みんなでお風呂に入る用意してるから。)


そうか。竹内さんも到着したか。ここは女4人、お風呂に入るとしますか。でもさすがに4人は窮屈なので、2人ずつ入ることにした。セギョンと私、ティファニーと竹内さんの2組になり、入浴をすることになった。竹内さんとティファニーは初対面か。


(初めましてですよね?私、竹内といいます。)


(ティファニーです。よろしくね。)



春になると日暮れも少しづつ遅くなり、17時くらいだとキレイな夕日が見れる。夕暮れのお風呂はとても気持ちがいい。


(気持ちよかったね・・・)


(お風呂上りは、どっと疲れが出るよね。笑。)


(さぁ、みんな、今夜はおでんだよ。)


祖母が腕を揮ってくれた。



(わぁ、美味しそう。)


(色々、あるね。)


(早く食べようよ。)


(いただきまーす!!!)



祖母が作る(おでん)は、東京のおでんより、薄味で、とても美味しい。ちくわぶ、ボール、昆布、たまご、黒はんぺん、つみれ、大根、ウインナー巻き、つくね、もうたまらない。


(これ、なんていうの?やわらかくてすごい美味しい。)


ティファニーが食べてるのは、大根だ。前日から作り、味を染み込ませてある。


(この黒はんぺん、金沢でも食べるよ。)


竹内さんの実家は、石川県。北陸のおでんも食べてみたい。


(白い笛みたいの、変わった味で美味しいね。韓国じゃ、ないよ。)


セギョンが口にしてるのは、ちくわぶ。おでんでは定番だ。女4人が集まり、ワイワイ食べるのは本当に楽しい。ましてや、お風呂上りになんて、もはや何も言うことはない。


祖母も喜んでくれている。おでんの作り方や、昔の話などしながら祖母も箸が進んでいる。


楽しい食卓ほど時間の経つのは早い。


私たちも、キレイに鍋を空にして食事を終え、祖母と一緒に洗い物をした。


(ごちそうさまでした。とても美味しかったです。)


(おばあちゃん、ありがとうございます。)


(もう幸せです。ありがとうございました。)



私たちも祖母に、お礼を言いながら、洗い物を片付けていた。



食べることが終われば後は、寝ることだけだ。寝る前に庭先で星空を見ながら、少し語り始めた。





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