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3月も終わりに・・・

シゲルさんの葬儀は、絵美理さんを初め、職場の人たちと静かに済ませた。幸い、生まれ故郷、長野県飯田市から、妹さんとお兄さんも駆けつけてくれたが、シゲルさんのお母さんは高齢のこともあり、腰と膝が悪く、歩くこともあまり出来ないため秋田まではこれなかった。 



私たち3人も、葬儀に参加し、シゲルさんの最後を見届けた。 シゲルさんの葬儀は(直葬)というもので執り行われた。 (直葬)というのは、葬式とかいう形のものは行わず、直接、火葬場で葬るというシンプルなもので、葬儀社によるとここ数年、兄弟、親戚など一切、呼ばず、夫婦だけで・・息子や娘だけで・・という要望が増えているようだ。シゲルさんも、ホスピスではそのような旨を伝えていた。



シゲルさんが火葬され、出てきた・・・・



火葬された直後はまだ熱気があり熱い。火葬され骨だけになった、シゲルさんを見て、私は、人は死んだら本当にお終いだと思った。 どんな生活が豊かでも、幸せでも、死んだら本当にお終いなんだ。 そう思った。


職場の人たちも、お兄さん、妹さんも、絵美理さんも、そして私、ティファニー、セギョンも、2人づつになり、骨を広い骨壷に移した。 火葬場の人が、この部分は・・と色々と説明をしてくれている。 


(この三角の部分は、(喉仏)になります。ちょうど座禅を組んでるように見えますよね?こういったところから(仏)という名がついたようですね。でも、本当にしっかりと3角形になってますね・・・なかなか、このようにしっかりと形として残るのは珍しいですよ。)



火葬場の人が言ってくれてるように、本当に人が座禅を組んでるように三角になっている。 私たちも交代でお骨を移していく・・・シゲルさんのお骨も、ようやく全部、骨壷に収まった。 骨壷はお兄さんが、お母さんが昔から使っていたという風呂敷に包み、しっかりと結んだ。モダンな色でとても素敵な風呂敷だ。



(色々とありがとうございました。これで母も安心したと思います。)


絵美理さんが、秋田駅まで送ることにした。 まだ少し、食事でもしながら・・と話したが、お母さんも飯田で待ってるということで、足早に帰ることにしたようだ。 


(みなさん、兄が大変、お世話になりました。ありがとうございました・・・)


私たちも、お兄さん、妹さんに一礼をし、見送った。





3月も下旬になり、4月から新しい、新入生も入ってくる。私も大学2年生になり、海外留学というものが待っている。 4月に入り、正式な発表があるが出来るなら、ティファニー、セギョンとも一緒に海外でも生活したいと願っている。約一年間、ホームスティをしながらその国の文化、習慣、語学など海外ならではの大学生活が待っている。 


正式に決まるまで、私は、一度、熊本に行きたいと思っていた。 あの震災から約一年・・・避難所にいた人たちはどうしたのか? 医療チームのチーフとも連絡を取っていない・・・ティファニーに誘いをかけてみた。



(いこうよ。 でも行く前に連絡してみたら? )



早速、医療チームのチーフドクターに連絡をした。夏以来だから、結構、経ったな・・・



(はい? どちらさん?)


(え?あの・・・チーフですよね?)



電話に出たのは全く、聞いたことのない人で女性の声だった・・ 事の成り行きを説明ししばらくぶりに連絡をしたということを伝えたが・・・


(あれ?熊本地震の時の? 大学生の子よね?)


この女性医師によると、医療チームは昨年暮れに解散、チーフドクターは海外へ医療団の一員として派遣されていた。


(チーフはどこへ行ったんですか?)


(チーフは、トルコ。今、シリアの内戦がすごく、難民やら被災者がすごいことになってるの。それで、世界の医師たちが集まっている、医療団に所属して、トルコの難民キャンプで医療活動をしているのよ。)


チーフが、戦闘地域で医療活動なんて、すごいことをしてると思った。そこで今の熊本の状況も聞いてみた。


(震災以降は、序々に回復もしているのだけど、まだ、倒壊した家屋なども残っていて仮設住宅などで生活してる人も多いわよ。一年、経ったけど、まだまだかな・・・)



側で聞いていた、ティファニーとも顔を合わせ、横に振り、今回は、やめようと判断した。



(また、連絡してよ。チーフにも伝えとく。夏に一度、帰国してくるからそのときにでも連絡してみたらいいわ。)



(ありがとうございました・・また連絡します。)



夏には、もう海外に留学しているし・・・連絡も会うのも無理なようだ。



(ティファニー、来週、おばあちゃんの家に帰省するんだけど、一緒にいく?)


(え?おばあちゃん? 行きたい。泊まれるの?)


(笑。当たり前ジャン。ご飯も美味しいよ。)


(行きたい。絶対に行く。)


それなら、と、セギョンも誘うことにした。


(え?私もいくよ。また、美味しいご飯、食べたい・・・)



この月末にでも帰省することに決めた。祖母にも連絡をし、


(愛、元気にしてるのかい? こっちはもう、桜も咲き始めてるし、過ごしやすくなってるから、みんなで泊まりにおいで。 そうだ、おでんをしてあげるから。おばあちゃんも楽しみにしてるよ。)


祖母にも了解を得た。 東京にいる、竹内さんにも連絡をしてみた。


(私も行きたい。みんなで盛り上がろうよ。) 



これで女4人のお泊り会、決定した。 祖母の作る、おでんも楽しみだ。





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