翌日
翌日、私たちは火災現場に向かった。 朝日を照らす、その現場は、【東京大空襲】を思わせる光景だった。 丸焦げになって跡形もないその姿に、被災者は、ただ呆然と立ち尽くしていた。
うっうっ(泣)・・・ 何も無くなってる。
ママ・・・ お家がない。
・・・・・ ったく・・・ 何だよ・・・
この大規模火災で家屋が全焼いたのは、144棟。
(ここは、酒蔵だったんだ。この暮れに出荷する酒もあったのに・・・丸焼けになっちゃったよ。)
(主人と息子の遺影だけでも見つけたい。)
(息子や娘たちが、親の為にって新築してくれた家が、こんな姿に・・・)
私たちはただ、聞くしかなかった。
しかし、復興は迅速に進んでいる。 建設会社などが重機を手配し瓦礫などを撤去し始めていた。また、市も仮設住宅や市営住宅の優先入居の手続きなど即急な対応をしている。
私たちも、ただ見てるわけにはいかない。災害支援として、この糸魚川に来たんだ。 すぐに行動を起こした。
高齢であろう、おばあちゃんが焼け崩れた自宅から何かを探している。
(探し物ですか? )
(主人の位牌を探してるんだよ。これだけは残ってないかと思って。)
(おばあちゃん、私たちが見つけてあげる!)
(アイ、探すよ。)
(絶対、見つけてあげるから。)
ティファニーもセギョンも私も、焼け跡に飛び込んだ。
しかし、この焼け跡は消火のときに巻かれた水と焼け焦げた木材とともに重みがあり困難を究める。 でも、必ず見つけてやる。 私たちの意地だ。
待てど暮らせど、一向に出てこない。 と、その時、セギョンが、
(これ、仏壇とかいうものじゃない?)
大きめの箱のようなものが、うつ伏せの状態で出てきた。
(おばあちゃん、これ、そうだよ。)
私たちは、それを、起こした。 あった。見つけた。
(おばあちゃん、あったよ。見つかったよ。)
おばあちゃんは、両手を目頭に当て絶句した。
仏壇はうつ伏せに倒れており、幸いにも火災の被害にはならなかった。 位牌も過去帳も仏具もキレイなままだった。
(貴女たち、本当にありがとう。)
おばあちゃんは、その位牌などを抱きしめていた。
あと何日かで今年も終わる。
でも、私たちの災害支援はまだスタートしたばかりだ。




