発表会
私の大学では年に2回、一つテーマを作りそれを発表するという、催しがある。優秀な人には海外視察研修という名目の【海外旅行】が与えられる。 その発表会がこの10月末に行われ、キャンパス内でも生徒たちが盛り上がりを見せていた。
私も参加してみたいと思ったが、なんせ一人では行動できないし、だからと言って他の生徒に交じって・・・なんてこともしたくないし、それにどんなテーマを見つけたらいいか私にはまったく見当がつかない。 そんなとき・・・
(アイ? この発表会、一緒に出てみない?)
ティファニーから意外な発言が出た。
(え?なんで? 出たいの?)
(うん、こういうのやってみたい。)
(でも、何をテーマにしたらいいか分からないからなぁ・・・)
ティファニーもようやく気持ちも落ち着き、自分を取り戻してきている。ここは、いっちょ買ってでるか!!
(Sure. Shall I do it? いいよ。やろうか?)
(Now you are talking! そうこなくっちゃ!)
(でも、どんなことをテーマにしたらいいか分かんないし・・)
(それは、これから考えればいいよ。)
ティファニーがそういうならいいか。
朝のホームルームが終わったあと、1F、ラウンジでモーニングコーヒーとやらを嗜みながらティファニーと2人だけのミーティングを始めた。
他の生徒たちは、宇宙開発をテーマにしたものとか、動物、科学、など大学生らしい研究をテーマとしているものが多い。 私たちは何をテーマにしたらいいのか・・・
しかし朝からティファニーは良く食べる。コーヒーだけでは物足らず、あんマーガリンなんてコッペパンをガツガツ食べている。
(アイ、このパン美味しいね。日本ってこういうのがあるから好き。)
パンの話じゃなく、発表会のことをしてよ・・・
コーヒータイムも終わり、午前の授業へと向かった。私とティファニーはクラスが違うため、お昼にまたあうことにした。大学の講義は、1クラス、15名ほどの少人数で行われる。講師は外国人の先生だが日本の先生もいて会話はすべて英会話で行われる。私もだいぶ日常英会話に慣れてきたけど、でもまだまだ理解力は乏しい。しかし、ティファニーも日本語が上手く話せるようになってきて、日本語、英語との組み合わせての会話は結構、勉強になる。 私も英会話だけでなく、イタリア、フランス、などたくさん語学を学び、話せるようになりたい。 秋田国際大学に来てようやく一つ目の目標が出来た。
今日の授業は、(7分間の奇跡)というテーマだ。 どんなテーマなのだろうと思ってたら、日本の新幹線の清掃作業のことだった。これは米国の大学にも取り上げられていて生徒たちからも好評になっており授業の一部として組み込まれている。
そのVTRが始まった。
グリーンと白のユニフォームを来た人たちが新幹線の前に一列にならびお辞儀をする。そのあと、各班に分かれ車内に入り、座席の向きを変え、窓を拭き、トイレの掃除・・・役割分担をしながら手際よく作業を進めていく・・・車両一両だけでもかなりの大きさだがこれをわずか7分弱で仕上げた。本当に奇跡としか言いようがない。それに驚くのはその作業員の人たちだ。私たち世代のお母さんくらいの人たちでとても年配の女性とは思えない動きをしている。作業を終えるとまた一列に並び(ありがとうございました)と新幹線の車両に向かい一礼をしている。
この人たちに会いたい・・・
私はこの新幹線・7分間の奇跡をテーマにしようと思った。 早くお昼が待ち遠しい。ティファニーにLINEをした。返信は・・・
【OK!】
よし。これでキマリだ。 あとはこの新幹線の清掃会社にどうコンタクトをとるか、だ。先生に頼むしかない。
(I go to a teacher, me, this company and want to really experience it. I want to see these people. 先生、私、この会社に行って実際に体験したいんです。この人たちに会いたいんです。)
(Oh? What's wrong? Why? え?どうしたの?なんで?)
(At the presentation of the university want to feature the theme. Yes, please. 大学の発表会のテーマにしたいんです。お願いします。)
(understood it. Because I make a wish to a teacher of this charge. 分かったわ。この担当の先生にお願いしてみるから。)
(A teacher, thank you. 先生、ありがとうございます。)
あとはティファニーと計画を練るだけだ。