夏休みも終わり・・・
祖母の家に3日、滞在し竹内さんは田町にある自分の部屋へ、私とセギョンは秋田に戻ることとなった。竹内さんもセギョンも祖母の家で過ごした3日間は楽しかったようで、お正月も来たいと話していた。
祖母も、お雑煮とそれにおでんを作ってくれるということで私たち3人もそれを楽しみに蒲田の町を後にした。
(じゃ、竹内さん、また連絡してね。私もするから。)
快速品川行きが、駅のホームに入ってきた。
(月岡さんもセギョンさんも、またお正月に会おう。)
(竹内さん、絶対よ。)
セギョンは竹内さんに抱きついて別れを惜しんでいる。
お互いに手を振り、電車はホームを離れた。
私たちも羽田空港行に乗車し羽田空港から秋田へと向かった。
8月の夏休みも終わり、9月に入ると秋田の景色も秋色になってきた。秋は色でいうとベージュ、落ち着いた季節というイメージ。私は四季の中でこの秋が一番好きだ。暑い夏が終わり心地よい風がふき、そして冬へと季節を変えていく・・・
まだ、海外へは行ったことがないが、おそらくこんなにも季節がはっきりとしている国は、日本だけではないだろうか。
私も、英会話だけでなく、フランス、ドイツ、イタリア、韓国、中国・・・もっともっと語学を学び、勉強をしたい。そんな気持ちになり思うようになってきた。だからこの大学で、こうなるんだ・・というなにか目標を見つけなければならない。
コンコン・・・
私の部屋に誰か、来た。 セギョンかな・・
(え?・・・・)
扉を開けて驚いた。
(ティファニー???? どうした?いつ戻ったの?)
(アイ、入ってもいい?)
この夏期休暇の間にティファニーは故郷、ニュージーランドから大学に戻っていた。連絡もなく私からも少し距離を置いていたけど、日本に帰って来ていた。
(ティファニー、どうしたかとずっと心配していたよ。でも、ティファニーから連絡があるまで待ってようと思ったんだ。)
(私、ママと妹を見たとき、何がどうなってるんだか、全く判断出来なかった。もう目の前が真っ白になってそのまま・・・・)
(ティファニー、もういいよ、話さなくても・・)
(でも、思ったんだ。いつまでも悲しい、辛い、なんて言ってたらダメなんだって。だって、私が悲しんでたって2人が生き返るわけではないんだもの。パパも、姿は見えないけどいつも私とパパの側にいるから・・・って。 だから私もママと妹が側にいてくれてるんだって思うようにしたんだ。)
(私も幼いころに父を亡くして、お母さんはご飯の支度のとき倒れて・・・私もそのときは何が起こったんだろうと、真っ白になってしまったけど、でも、今も私の側にいてくれてるんだって思ってるの。それはティファニーと一緒・・・)
(アイに話せて、少し気が楽になった・・・笑)
(日が経つにつれて、少しずつ、その感情も収まってくるから。)
(うん・・・でもね・・アイ・・・やっぱり・・・辛い・・・)
ティファニーは、頬を私の肩によせ、泣き崩れた・・・
私はティファニーを抱きしめてあげるしかなかった。