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フランスへ

セギョンとのティータイムも終わり、部屋に戻り入浴のスタンバイをしていたとき、ティファニーから着信。一緒にバスタイムかと思ってたが・・・


(アイ、ママが大変なの!!どうしよう???)


(え?どうしたの?なんか変だよ。)


(今、フランスの日本大使館から大学に連絡があって、ママが事故にあったらしの。)


(事故って交通事故?)


(ううん、旅行先でトラックが突っ込んで来たとかで・・・)



トラックが突っ込んで来たって・・・日本でも乗用車がアクセルとブレーキーを間違えて歩行者やお店などに突っ込んだ、なんて事故はあるが・・・トラックは聞いたことがない。

とにかく、訳が分からないので、ティファニーの部屋に行くことにした。


ティファニーの部屋には、事務局の人もいて慌ただしくなっていた。同じルームメイトの子も心配そうな感じで、大変な事態のようだ。


(ティファニー、どうした?)


(ママがテロに巻き込まれたって・・・)


テロ? テロって・・あのテロリストのことですか?


(月岡さん、昨日、フランスで観光客に大型トラックが突っ込んで続々と人をなぎ倒しながら暴走したのよ。今、ニュースでもやってるの。)


事務局の人がいうように、部屋のテレビを見ると、フランス南部、ニースというところで花火大会を開催中の最中、大型トラックが猛スピードで見物客に突っ込み、さらに右へ左へと暴走を繰り返し続々と人をなぎ倒している・・というものだった。



(ママ、フランスに旅行にいっていて、妹も一緒なの。このニースという街で花火大会を見ていて、巻き込まれて、今、病院で集中治療をしてるって連絡が・・・)


ティファニーは本当に情が厚い女で、もう涙で顔が大変になっている。当たり前だが親と妹が事件に巻き込まれたとなると、尋常じゃない。



大学も緊急事態ということで、職員も各先生たちに連絡し、ティファニーはフランスへと急遽、向かうこととなった。



(アイ・・・私、恐い・・・)


ティファニーの心境は本当によく分かるが、しかし、どんな状況であれ、しっかりと受け止めなければならないのだ。



翌日、始発で秋田から東京へ向かい、成田空港からエアーフランスに搭乗し、フランス南部、ニースという街にティファニーは向かった。


新聞やニュースでも大きく取り上げられていた。


報道によると、このテロ事件で、死者84人、けが人、202人にも上っている。重体が52人で、うち25人が集中治療室に入っている。この25人の中にティファニーの家族がいる可能性がある。


事件の容疑者は、銃撃され死亡。イスラム過激派に強い思想を抱いていたという他、まだハッキリしたことは報道されていない。現地日本人の被害者はいないようだが、花火大会には他国の観光客が多く、容疑者もこの花火大会を標的に事件を起こした可能性が高いと報道されている。


被害者の中には、子供や高齢者の人もいただろう。私は、この日本のどこかでもいつかこのようなテロ事件が起こりそうな気がしてならない。 朝の通勤時間帯に、テロが自爆した・・・イベント会場に、このような大型トラックが暴走してきた・・なんて本当にいつ起きてもおかしくない状況なのではないか。 海外の事件だから・・なんて他人事に思っていたら、自分が巻き込まれてしまった・・なんて、本当にありうる。

現地に行き、家族と対面し、秋田に戻って来たとき、私はティファニーに、どう接したらいいだろう・・・慰めの言葉ならかえって落ち込ませてしまう。いつも通りにしたらいいのか・・それとも・・・ 


私も母を突然、亡くしている。今でこそ、こんな普通に出来ているがそれも祖母や高校の先生たち、また玄さんなど、周りに支えになってくれた人たちがいたからこそ、だ。


しかし、ティファニーは、この日本では身寄りも親戚も親しい友人もいない。この大学での生活のみだ。 私も熊本地震でティファニーと一緒に行動を共にしたくらいで、正直、自信がない。


人間、いざとなると本当に弱い。なんて無力なんだろうと思う。


でも、クヨクヨ考えても始まらない。こういうときこそ強く毅然としなければならないのだ。私も苦境の壁を一つ、一つ、乗り越えてきた。だから、今回のティファニーの事も大丈夫だ。 ティファニーもきっと私を頼りにしてるはずだ。だから私もティファニーをしっかり支えてあげなければいけないのだ。



フランス南部、ニースで起こった、トラック突入テロ事件では、この日、革命記念日を祝い、現地時間、午後10時から花火が打ち上げられた。見物客は約3万人で、観光客も多く、その大半が海辺や遊歩道におり、その周りは歩行者天国になっていた。そこに容疑者の大型トラックが突っ込み、ジグザグに猛スピードで走行、警官とも銃撃戦になり容疑者は死亡した。 容疑者はチュニジア出身の31歳男性。イスラム教徒、独特の髭も伸ばさず、また禁じられているお酒も飲み、よく酒浸りで複数の女性とも交際していたといい、およそイスラムの教えとは縁遠い人物だったようだ。 しかし、仏捜査当局は、イスラム過激派との関わりが強いとの見方を示し、IS(イスラム国)との関係や動機などの解明に向けて捜査を示している。







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