表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/50

震度7

グィッ!グィッ!グィッ!・・・


避難施設になっている公民館に、緊急地震速報の音が鳴り響く・・・


( Ai ! it is urgent earthquake breaking news.itmay huge・・・ 愛!緊急地震速報だよ。デカイかもしれない・・)


ティファニーが、Iphone SEを手に警戒をしている。


( Oh my goodness !  うそ!信じらんない!)


カタカタ・・・


ヤバイ、マジで揺れてきた。 


カタカタカタ・・・ガタン!!!ガタン!!!ガタガタガタ!!!!!


すごい!!本当に来やがった。それにかなり大きい! 


(キャァー!)


私とティファニーは、あまりの地震の大きさにその場に倒れてしまった。昨日の震度7で崩れかけている家屋やビルなど、今の地震で一揆に崩れたかもしれない。今日になってもまだ余震は収まらない。それどころか頻繁にあるからたまったもんじゃない。それも震度5、6といった大きな余震。


(ふぅ・・収まったみたいだね・・・)


幸い、けが人や物損など被害はなかった。しかし多くの避難している人たちがこの地震の揺れに怯え、動揺している。




私とティファニーは、この熊本県に【緊急支援隊】として秋田から来ている。この震災には自衛隊、警察、機動隊、民間団体からも参加しており、私が在学している【秋田国際大学】からも、私とティファニーの2人が加わった。 




4月14日 木曜日。21時46分


そのとき、私は大学の寮で翌日の授業の準備をしていた。お風呂から上がり、ノートをペラペラめくりながらNHKのニュースウオッチを見ていると画面に緊急地震速報のテロップが流れた。どこだろうと見ると九州地方と出ている。ま、大きくても震度4くらいかな・・くらいの考えで、そのままボーと見ていた。しばらくするとニュース速報として震度が出た。


熊本県が震源地になっており、5つほどの区域で震度4か5だった。結構、大きかったな。と見ていたら1つだけ目を疑う数字がある。(益城町 震度7)。 へ?震度・・・7? これ、1じゃなくて7?

こんな高い震度は今までなかったんじゃ・・・私は食い入るようにNHKを見続けた。

番組も内容が変更になり、この地震の報道に変更になった。


夜という時間もあり、映像ではあまり大きな被害はなさそうだが、震度7なんてかなりの被害がでるんじゃないか? NHK以外の番組も見てみる。やはりどこの局も特別番組に変更になっていた。熊本のテレビ局との映像も流れてはいるが被害的な映像は出ていない。

私なりに、震度が大きくても東日本大震災みたいに大きくはないか。そんな軽い気持ちで寝床についた。時刻は午後11時。


翌朝、4時に起きて(おはよんNews live)を見るといつもとは違い、報道フロアからの緊急番組に変更になっている。熊本の放送局からの映像を見て、愕然とした。新幹線は線路上で立地往生しており、一両だけでなく全車両が脱線しており、周りの畑や道路は地割れを起こし陥没、その地割れが一直線に長く続いている。震度7の益城町は辺り一面、瓦礫の山・・・古い家屋は屋根瓦とともに崩れ、比較的新しい家も傾いたり壁が剥がれている。熊本城も今にも崩れ落ちそうで重ね石一本だけで支えてる状態で土台は崩れ空洞が出来てしまっている。 住民たちも公民館や学校、体育館などに避難、その数が膨大で入りきれないところもあるようだ。 こんなに大きかったのか?

身支度をし早めに食堂へ行き、朝食をとることにした。7時前だけど他の人たちも地震の

ことが気になるのかいつもより人が多い。食堂のテレビも地震一色になっている。


私のクラスは生徒は15人。【秋田国際大学】では、少人数制教育のシステムになっている。授業の会話はすべて英会話。外国人教員の割合が全体の約60%となっており海外留学にも引けをとらない。「英語」で学ぶ力を完全に身につけるということなのだ。


(Good morning. How are you todeay? おはよう。今日の調子はどう?)


この先生は、米国、ボストンにあるハーバード大学から来ている。


(Very well, thanks. 元気です。ありがとうございます。)


教科書でもある日常英会話の本を片手に、先生に話す。完全に英会話を習得するまでは毎日、この繰り返しになる。私も暇を見てはフレーズなり単語なり身振り手振りで口に出しながら英会話の習得に熱を入れてはいるが、まだまだ話すまでにはちょっと・・・。


( Ai? Is it a gaffer can get a minute ? 愛さん?ちょっといいかしら?)


先生が私を理事長室に案内した。


部屋に入ると、理事長と金髪の女の子がいた。


(月岡さん、どうだい?少しはキャンパスにも慣れてきたろう?笑)


(はい。学食も美味しいし、最高です。笑)


(そうか、良かった。それでね、月岡さん、昨日、熊本で地震があっただろう?)


(はい、私もニュースを見ていました。)


(うん、そこで秋田県からも支援に向かうことになったんだ。自衛隊の他に民間のボランティアや慈善事業の人たちも参加するんだよ。うちの大学からも何名か派遣することになってね。月岡さん、是非とも緊急支援隊として参加してくれないか?)


(私が?・・・ですか?)


(そんな長い期間ではないから。半月ほど・・長くても一ヶ月をMaxにするつもりだ。)


(でも、その間の大学は・・・)


(それは心配しなくてもいい。今回の支援は、特別校外実習として授業の単位にするつもりだ。それに滞在中のことに関してはすべて大学が責任を持つから。それに秋田市もバックアップしてくれる。心配ないよ。ただ・・・)


(ただ?)


(宿泊なんだけど、近隣のビジネスホテルはすべて報道陣などが占拠していて他の旅館などは震災で利用が出来ないのがほとんどなんだよ。だから部屋が空くまで被災者と一緒に避難所などで寝泊りになるのだけど、なんとか辛抱してくれないか?)


果たして、私みたいな小娘に何が出来るのか?と思うが、被災者のことを思うとそうも言ってられない。これも自分自身が今、(神様)に試されてるという、いい機会だと思い自分に言い聞かせた。 


(はい。わかりました。私はぜんぜん、平気です。熊本へ行かせてください。)


(月岡さん、よく言ってくれた。熊本にはこちらの子と一緒に支援活動をすることになるからね。)


理事長から紹介されたのは、私と同じ新入生の(ティファニー)。金髪のストレートで目がサファイアブルーのように輝いている


( It is Tiffany. Thank you ティファニーです。よろしくね。)


(I’m Ai Tsukioka. Thank you 月岡 愛です。よろしくね。)


(なぜ、彼女を選んだかって言うと、ティファニーは英語は出来るが日本語は分からない、月岡さんは逆に日本語は出来るが英語は話せない、これならお互いに語学の学習にもなるんじゃないかと思ってね。それに新入生同士ならっと思って、2人を選抜したんだ。現地でも生の会話をしながら支援活動をするなんてなかなか出来ないことだと思うし、いい経験になると思うんだ。だから本当に2人には無事に緊急支援という役目を果たしてきて欲しい。)


私たち2人は早速、今日の午後にもこの秋田を出発する。秋田空港から午後の便で福岡空港まで行き、福岡にある高度救命救急医療センターから医療専用車で医師や災害派遣医療チームの人たちと熊本県にある益城町までいくことになった。この震災の影響で熊本空港は全く機能せず閉鎖、道路なども陥没や地割れなどで通行も出来ず、また熊本県一帯での列車路線もすべて寸断されていて県としての機能がストップしている。それほど被害が大きいのだ。


私とティファニーには、秋田市が用意した、緊急支援部隊のユニフォームと防止、ヘルメット、安全靴、懐中電灯や薬、備品などが入ったリュックとバッグなどが渡された。秋田新幹線こまちをイメージした赤とシルバーのユニフォームはとてもカッコいい。このユニフォームを着て現地の医師や災害派遣医療チーム、支援団体、自衛隊の人たちと共に支援活動をすることになる。そう思うと、何か一つの大きな仕事を請け負ったようで心臓がバクバクしてくる・・・ 生まれて初めて見る、震災という現場・・・


(Ai、I’m gland to meet you. 愛、会えて嬉しい・・)


(Nice to meet you,too. Thank you 私も嬉しい。ありがとう。)


私とティファニーは抱き合った。




私のステージ2は、ティファニーというイギリスから来た少女と震災という現場で幕を開けることになった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ