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勇者パーティに拉致された魔王は辛い  作者: リザイン
第2章 怒涛の学園生活
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お出かけデート

 2人で街に出ると、休日だからかたくさんの人であふれかえっていた。魔界では見かけない、人間界特有の特産品などが置いてあり、俺は思わず視線を送ってしまう。

 それに気づいたのか、フェイリスがこんなことを言った。


「ルイさん、もしかしてこういうバザーは初めてですか?」

「バザー…? こんな所狭しに並んだ店は初めて見たな」

「ルイさんの世界にはこういう物は売ってないんですか?」

「あるかもしれないが、少なくとも俺は見たことがないな」


 どれも見た事がないものばかりで、俺は1つ1つフェイリスに聞いていく。


「これは使い捨ての魔力銃ですね…。こっちがウェアウルフの爪で作った槍です」

「じゃあこの黒い珠はなんだ?」


 俺の水晶玉によく似ているが、くすみ過ぎている。


「ええっと…それは魔力マガジンと言って、魔力の底が付いてしまった人が使うと少し回復するんです」

「へぇ…。それはすごいな」


 魔力など、人から貰うか、もしくは休むかこの2つでしか回復しないと思っていたが、こんな便利なものがあったとは…。

 俺は、裏に貼られた値札を見てみる。


「金貨…50枚!?」


 なんだその高さは!

 フェイリスが苦笑いする。


「まだ出来て間もないですから高いんです…。それにあまり出回っていないので…」

「な、なるほどな」


 俺は珠を元の位置にそっと置く。

 でも、魔力を回復できるのならその値段も納得か…。なにせそれさえたくさんあれば、無尽蔵に魔法を放てるんだからな。

 その後も俺はフェイリスに色々と聞きながら店を回っていると、

食べ物の出店を発見した。

 子供がなにやら変な物を舐めて食べている。


「なぁフェイリス。あれはなんだ?」


 俺が指差してそう言うと、フェイリスは驚いたようにこう言った。


「あれはソフトクリームです。もしかして、ルイさん、ソフトクリームを食べたことありませんか?」

「ソフト…クリーム? なんだそれは」

「ええ…!? ルイさん、ソフトクリームを知らないなんて人生損しています!」

「フェイリスは好きなのか? その、ソフトクリームとやらが」

「勿論です! 1日1本は絶対食べてます!」

「どんだけ好きなんだよ…」


 フェイリスは、ソフトクリームの美味しさについて色々話してくれた。

 普段の少しおどおどした様子はどこへいったのか、意気揚々と語るフェイリス。

 俺はそんなフェイリスを微笑ましく見ていたが、気付かれたのか少し顔が赤くなった。


「はっ…! あ…えと、すいません…なんかずっと喋ってばかりで」

「ああ、いいよいいよ。俺も少し興味がわいたからな。

 フェイリスの話を聞いていたら、俺もちょっと食べたくなってみた。ちょっと寄ってみないか?」


 俺がそう言うと、フェイリスは顔を輝かせた。


「いいんですか!?」

「おう」


 そう言って、俺とフェイリスはソフトクリームとやらを購入することに。カップ、コーン、ワッフルコーンのどれがいいですかとか聞かれたが、俺はフェイリスと同じワッフルコーンのバニラ味というのを購入した。

 俺は初めて見るソフトクリームに興味津々で、色々な角度から見てみる。


「ん~~!! 美味しいです…っ!」


 フェイリスは先に美味しそうに舐めていた。

 舐めて食べるものらしい。

 俺も1口舐めてみる。


「……っ!?」


 その時、俺の頭の中に衝撃が走った。

 な、なんだこれは…。

 冷たくて甘い…。そして口の中に入れた瞬間に消えてしまうまろやかさ…。

 俺は思わず顔をほころばせる。


「フェ、フェイリス! なんだこれはっ! うまい、うますぎるぞ…!」

「ですよね! やっぱアイスは最高です~…!」


 俺はうますぎて一気にかぶりつく。

 すると、頭が痛くなった。

 くっ…。冷たいものを一気に食べたからか。

 俺とフェイリスは近くのベンチで座りながらソフトクリームの味を楽しんだ。


「はぁ…おいしかったです!」

「人間界にこんな美味しいものがあったとはなぁ。今度魔界でも作らせてみるか…」


 きっと馬鹿売れするに違いないだろう。

 魔界は基本的に暑いからな…。


「次はどこ行きますか?」

「ん~そうだな…。じゃあ今度はフェイリスが案内してくれ。

俺は全然この街のことを知らないから」

「確かにそうですよね…わかりました。

 ご期待に添えるかどうかはわかりませんけど、頑張ります」


 そう言って今度はフェイリスの誘導に従う。

 最初にフェイリスが向かったのは、様々なものが売っている雑貨店だった。


「ここは私もよく来るんです。稀に掘り出し物が置いてあったりするので…」

「ほう…」


 魔界でも見たことがあるものもちらほらとあるが、ほとんどが知らないものばかりで、俺は興味津々で商品を見ていく。

 色々と見ていたが1つ、気になるものを見つけた。


「フェイリス~これはなんだ?」


 すると、近くでぬいぐるみを見ていたフェイリスがトコトコやってくる。


「えと、これはガーゴイルの翼ですね。使い捨てなんですけど、1度だけ指定した相手の元に伝言を届けてくれるんです」

「へぇ…」


 確かにガーゴイルはよく伝言係として使っていたが、翼にそんな効果があったなんてな。

 しかし、ガーゴイルの翼ってこんな形してたかな…。


「…」


 念話があれば必要ないんだろうが、あいにく今、念話が使えないので1つ買っておくか。

 そうして俺はガーゴイルの翼を購入し、店を後にした。

 続いてやってきたのは武具屋。 

 学園に直結している武具屋だからだろうか、一般人が使う武具から、それぞれのカードの数字に対応した武具まで様々だ。

 その為か、学園の服を来た生徒が割合的には多い。


「しかし、こうしてみると結構な種類の武器があるんだな」


 オーソドックスな両手剣を始めとし、片手剣、槍、斧、鎌、金槌、大太刀、レイピア、杖など様々だ。なかには鎖鎌やナックルと言った珍しいものまで置いてある。

 俺は基本的には片手剣だが、ナックルを使って肉弾戦に持ち込む時もある。稀に短剣を2つ使うこともあるが、あまり好きではない。ネネコを指導していた時は、あいつが双剣士だから俺もそれに合わせていたが…。


「ふむ…」


 色々と見ていると、やはりカードの数字が上がるにつれて武器は格段に変わるらしい。

 スクリーンに、3と4でどのくらい力量差があるのか実験している動画があったが、その差は意外とわかるものだった。

 例えば厚さ3センチの鉄を切るということについて、3のカードの場合2、3度強く振ってやっと切れたものの、4のカードの場合は1度軽く振っただけで切れてしまった。同じ人が実験をしているので、単にカードの能力に依存した場合だとこのぐらいの差がでるのか。


「持ち主が努力すれば相乗効果で更に能力アップできるのか」


 よくこんなものを開発したな…。

 人間も、魔族に対抗する手段をしっかり開発していたというわけか……。 


「あれ、ルイ君!」

「ん…?」


 振り返ると、そこには制服を着たアネットがいた。

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