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地下遺跡探索

 どれだけ目を凝らしても部屋の真ん中に居座っている岩塊。


 まあ………壊れてしまったものは仕方ないよね…。終わってしまった事を考えるより今後どうするか考えましょう。

 部屋の隅にあった岩がゴーレムになったということはここに来る途中にあった岩の山もゴーレムになっているのだろうか?

 入ってきた扉をそっと開けて扉の隙間から外の広間をのぞき見る。広間には数十体のゴーレムが蠢きこちらに振り向こうと…


 パタン


 私は扉を閉めて扉に描かれた魔法陣を起動して鍵をかけた。


「さて、先に進みましょうか。」


 さすがにあんなに大量のゴーレムは相手してられない。大丈夫!あっちは出入り口が崩れているのだから。戻るなんて選択肢は今までもあってないものだったし。


「…くっ…ここは…?」

「気が付きましたかお兄さん!」


 お兄さんの意識が戻ったようです。


「…ああ。…んん…お前は誰だ?」

「何言ってるんですか!リズですよ!………もしかしてお兄さん頭の打ち所が悪かったのですか?」

「ああ!お前リズか!…いや、変な事言ったな。わるかった。」


 本当に大丈夫ですかね?


「ところで…動けないんだが…。」

「あっ今出しますのでちょっと待って下さいね。」


 お兄さんが窮屈そうに荷車のなかで身じろぎしているので荷車の中から引っ張り出してあげる。


「怪我はできる限り私が魔法で治しておきましたが…どこか痛む所はありますか?」


 お兄さんは体の調子を確かめるように軽く体を動かしていきます。


「…大丈夫そうだ。特に痛む所は無いよ。ありがとな。」

「いえ、お礼を言うのはこちらの方です。庇ってくれてありがとうございました。」

「体が勝手に動いただけだ気にするな…それよりここはいったい。」


 軽く流されました。大怪我させておいて気にするなとか無理なのですが。でもお兄さんも早く状況を知りたいでしょうし簡単に説明しておきましょう。


「ここはあの遺跡にあった地下への階段を降りた所にある地下遺跡ですよ。出入り口が崩落したようなので今他に出入り口がないか探索している所です。ここまで一本道でさらに地下に続く階段しか見つかってませんが…。」


 ちらりと先ほど現れた地下への階段を見る。


「あの階段を出すのに魔法陣を起動させたのですが違う魔法陣も複数一緒に起動させてしまって…動き出したゴーレムが襲ってきました…すでに撃退しましたが…。ここに来るまでの道は違うゴーレム達が沢山います。」

「ゴーレムに襲われた!!大丈夫だったのか!」

「はい。相手が障壁を張っていたので時間はかかりましたが特に怪我などはしていないです。」

「そうか…良かった…。…魔法陣を起動したことでこの遺跡に残っていた防衛機構が動いたという事かな…。その魔法陣はどこにあるんだ?」


 どきっとして目を逸らす。そしておそるおそる部屋の真ん中を指差した。


「…?あの部屋の真ん中にある岩塊がそうなのか?」

「…いいえ…その周りに散らばっている欠片がそうでした…。」


 部屋に沈黙が降りてくる。


「その…ゴーレムとの戦闘で…ごめんなさい!」


 沈黙に耐え切れずに頭を下げて謝罪する。


「ああ…いや、頭を上げてくれ。俺が気を失っていた間のことを責める気はないよ。代わりにリズに怪我が無くてよかった。」


 それを聞いて私はその場にへたり込んでしまった。


「おい、大丈夫か!」

「…はい、少し安心してしまって。」


 ソニックバードに攻撃され地下遺跡に閉じ込められたり、一緒にいたお兄さんが自分の代わりに大怪我を負って意識が戻らなかったり突然ゴーレムに襲われたりと自分でも気づかない内に不安と緊張でいっぱいいっぱいになっていたのだ。怒られずに済んだという安心感から気持ちが緩んだことでそれらも一緒になって表面に出てきたのだった。


「そうか…階段を降りる前に少し休んでいこう。」


 しばらく部屋で休んだ後、更に地下へと続く階段を降りていく。降りた先では左右に通路がわかれていた。


「どちらに行きますか?」

「そうだな…おっここに絵が描いてあるな。」

「本当ですね。…これはこの場所の見取り図ではないでしょうか?…この当たりが今まで通ってきた場所と間取りが似ています。」


 私は絵の一部に指を差す。


「まあ、昔はここを使っていた人が居ただろうし案内図があっても不思議ではないか…。」

「現在地はここ…ですかね。どうやら地上に出れる道は私達が入ってきた所以外に二つあるみたいですね。」

「…どちらに向かっても距離的には変わらないな。」

「はい。…この見取り図によるとこの通路の左側は研究区画で右側が居住区画みたいですね。」

「…リズ、お前ここに書かれている古い文字が読めるのか?」

「えっ…はい。読めますよ。」

「もしかして…古代文字とかも読めたりしないか?」


 なんか期待の眼差しを向けられている所悪いのですが…


「さすがにそこまで古い文字はちょっと…。」

「そうか…さすがにそこまで都合よくはいかないか…。」

「………時間をかければ解読できるかもですが…。」

「是非頼む!」


 お兄さんにはいろいろ迷惑をかけてしまっているしそのぐらいなら頼まれましょう。私用で遺跡の調査にくるぐらいだから古代の事にも興味があるのだろう。


「手の空いている時で良ければ。…後、必ず解読できるわけではないので余り期待はしないで下さいね。」

「やってもらえるだけでもありがたいからそこまで言わないよ。」

「分かりました。…ところで話は戻りますが左側の通路を進みましょう。」

「別にかまわないがどうしてだ?」

「私ここに行きたいのです。」


 ビシッと見取り図の真ん中にある小部屋を指差す。


「また…何でそんな所に…。」

「だってこの地下遺跡の真ん中にある部屋なんですよ!絶対何かあるはずです!!」


 私はお兄さんにこの小部屋に行く事がいかに有意義か熱弁?(我侭)した。お兄さんが怪我から回復した事や最優先だった地上への道の探索に目途が立ったことで心配事が減り遺跡への探索意欲が復活したのだった。


「わかったわかった…せっかくこんな所に来たんだ、ついでだ。ただし危ないと判断したらすぐに戻るぞ。」


 無事押し切り例の小部屋に向かう。


「しかしこの階にはゴーレムが全然居ないですね。」

「たぶん…入り口を守る門番みたいな役回りだったんだろう。でも油断はするなよ。ゴーレムはいなくても罠とかがあるかもしれない。」

「そうですね。…でも昔の人達は自分たちの使う通路に罠を仕掛けたりするのですか?」

「それは…ほら。研究所みたいだから研究内容を守るために仕掛けるかもしれないだろ。」

「…そういうものですか…。」


 警戒しつつ進んでいく。

 この研究区画はさらに細かく区画分けされており区画と区画の間は扉で区切られている。私は扉の横に描かれている魔法陣を起動することで次々に扉を開いていく。


「…昔の人は変な事をしてますね。」


 魔法陣を起動させまた新しい扉を開きながら独り言を呟く。


「どうかしたか?」

「いえ、…なんかどんどん変な魔法陣になっていくので…。」


 今さっき起動した魔法陣を見ながら答える。


「変な魔法陣?まあ、なんかどんどん魔法陣が複雑になっていっているように見えるが…。」


 お兄さんは首をかしげながら同じように魔法陣を眺める。


「変というより無駄という感じでしょうか?最初はシンプルな魔法陣だったのに奥に行くにつれどんどん余計な魔法陣を重ねるように描いていて順番どうりに解除しないと邪魔になって起動できないのですよ。さらに全く関係ない魔法陣まで重ねて術式を読みにくくするとか何を考えているんでしょうか?暗号みたいになってますよ。」

「…いや…それは暗号みたいじゃなくて暗号そのものだろう。特定の人しか解法を知らないようにしてそれ以外の人が入れないようにしてるんだ。魔法陣の解析もできないように術式も難解にしているんだと思うぞ。」

「面倒なだけで難解でもなんでもないのですが…昔のセキュリティはずいぶんザルだったんですね。」

「………そうだな。そんな簡単にホイホイ解かれたら昔の人も腰抜かすだろうな。」


 会話が少しかみ合ってないする気がするがそうこうする内に地下遺跡の中央にある小部屋に到着したのだった。

「(あっ頭に被って顔を隠してたローブのフードがいつの間にか外れてましたね。…お兄さんには何も言われてませんし街に戻る前に被りなおせばいいですよね。)」


※次回の更新は一週間以内を目指します。

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