真のパーティー!?
「ほな、お邪魔しまーす。」
「お、お邪魔します・・・。」
「ただいまー。」
俺達、俺、威瑠、禁音は黒鬼一家の住む1つ屋根の下に帰ってきた。2人はお邪魔したかな。
「あらあら、いらっしゃい。龍おかえり。」
玄関で靴を脱いでいると母が嬉しそうに満面の笑みを浮かべていた。母は2人に対して無駄話をせずお茶の準備をすると言ってリビングへ戻っていった。
俺達は2階へ上がり俺の部屋に入った。
「ほー、ごっつ広い部屋やのう。この部屋、お前1人で使っとるんか?」
「ああ、まぁ使わしてもらっているのほうが正しいかもな。」
2階に行く階段を上がるとそこには1つの扉しかなくその扉を開けると1つの広々とした部屋があるのだ。それが俺の個室である。今でも自分の部屋の広さには慣れないままだ。
「禁音、そういうお前も家はでかいんじゃないのか?」
「なに言うてんねん。俺は家を出てアパート借りて1人暮らしやねん。」
「えー。じゃあさぁ、禁音のほうが誰にも邪魔されずにパーティー結成の儀式できたんじゃない?」
たしかに威瑠が言った通りかもしれない。俺の母はお茶の準備をしているところなのだ。母がお茶を持って来てくれない限り儀式ははじめられないのだ。儀式を始めたら途中でやめてはならない。パーティーメンバー以外の人に見られてはいけない。そういう規則が追加されているようだ。
「まぁなんやから今自分が決めている武器の種類でも話しあいましょか。」
禁音のしゃべり方、時々カタコトのように聞こえるが元々普通のしゃべりかただと思う。ただ誰とでも打ち解けるように、誰とでも和解できるようなしゃべり口調に俺は聞こえた。
俺から威瑠、そして禁音と自分の武器の希望の種類、そして希望の色能力(カラースキル)まで答えあった。盛り上がっていたところで母がコーヒーとケーキを持ってきてくれた。母にこれからすることについて話し、その中で絶対にしてはならないことを告げた。すると母はまた満面の笑みを浮かべて部屋を出て行った。
「ほな、始めましょうか。」
「ういっす。」
「うん・・・。」
「この台本によるとな、リーダーにあたる者の言葉を聞いてそれに同意する・・・って書いてあるけどリーダーってだれがするん?」
リーダー、それはこれからのミッションでも中心核の存在。リーダーの命令は絶対になる。それに反した場合それなりの罰を受けてもらうと書いてある。この中でリーダー、禁音は口調があまりリーダーに向いていないと思う。それなりの知識はあるようだが責任感が欠けていると思う。それに比べて俺は意外と臆病な一面がある。だから銃うぃ選んだのかもしれない。俺は思うリーダーの適任者は・・・
「威瑠、リーダーやってみないか?」
「ふぇ?あ、あたしにリーダーだなんて。む、無理にもほどがあるわ。」
「そやな、やっぱりリーダーは威瑠やろな。けっこう強引なところもあるし。」
「ちょっと!いつあたしが強引なことしたよ!」
人の強欲はパーティーの引っ張るために必要なことの一つ。禁音はなにかと人のことを見ている。観察力は優れている。禁音の言うことは正しい。
「威瑠・・・リーダーをやってくれ。よろしく頼む!この通りだ!」
「俺からも頼む。ほんまに頼む!」
俺と禁音は土下座をした状態で床に頭をつけていた。威瑠が言葉を発するまでずっとその状態だった。頼む!俺は絶対やりたくない!そんな思いを心の内に秘めながら頭を上げられなかった。
「まぁ・・・そんなに言うならやってあげるよ。」
「ほ、ほんまか。ありがとなー威瑠。」
「きゃ!ちょっと抱き着かないでよ!」
禁音はあまりの嬉しさに威瑠に抱き着いていた。赤面なりながらも照れを隠しきれていない威瑠。それを見て笑っている俺。なんて協調性のあるパーティーなんだと思った。こんなメンバーに、仲間に出会えて良かったと思っていた。
「はは、ではではさっそく儀式を始めようではないか。」
「威瑠、これを読んでくれ。」
「あ、うん。じゃあいくよー。」
「我々、飛雷弩 威瑠、羅神 禁音、黒鬼 龍はパーティーを結成することを皆(みな)の同意のもと誓います。」
「誓います。」
「誓わせてもらいます。」
俺と禁音の同意を確認すると突然床が青く光り始めた。
「これって・・・。」
「魔法陣やな。」
一人一人の周りにきれいな円が描かれてそれを結ぶかのように大きな円が描かれた。
「あなたたちが第一次パーティー結成の儀式を終えたことを確認します。」
綺麗な女性のアナウンスが突然流れ出したと思ったら魔法陣は消え皆、呆然としていた。
「第一次ってどういうことなんだよ。」
「うーん、つまりあれやな。クラスで誰かあまりが出ない限りこのパーティーでやれる。もしあまりが出てパーティーの再結成となったらそれが第二次になるんじゃないか。」
「あー、そういうことなんだね。もうそういうことどいいや。」
「とにかく、ひと安心ってだな。」
「儀式も終わったことだし、帰りましょか。」
そういうと威瑠もたち出し玄関へと向かった。
「お邪魔しましたぁ。」
2人の揃った声が家中に響いたと思う。靴を履くと2人は家を出て行った。
「あらあら、もう帰っちゃったの?」
母の顔には「もう少しいたらよかったのに。」というような顔をしていた。
明日から本格的に授業スタートだな。そう思い龍は部屋に戻り食器を台所へ持っていくと洗い部屋へと戻っていった。
「少しばかり、色能力について勉強するか。」
龍は真新しい教科書を開くとコツコツと勉強を始めた。
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目が覚めると朝になっていた。学校初日ということといろんなゴタゴタのせいでかなり疲れがたまっていたようだ。勉強している途中で寝てしまっていたようだ。
「りゅう~、あんた学校に遅れるわよー。」
母が朝食を作りながら俺のことを気にしてくれていた。俺は急いでシャワーを浴びて朝食をとり身支度をした。
「あ、そうそう。さっきあんたのWT(ウォッチテレパス)が鳴っていたけど・・・気づいた?」
「あ、ほんとだ。ありがとう。じゃあ行ってきまーす。」
「はいはい、行ってらっしゃい。」
ウォッチテレパスに電話は入っていた。俺がまだ寝ている間だろう。6時37分の着信履歴があった。約1時間前の着信だ。禁音からの電話だった。もう学校に着いてることだろうけど一応かけてみよう。長い呼び出し音を聞きながら歩いていた。
「よっ、おはようさん。」
禁音が後ろからやってきた。とっくに学校に着いているかと思っていた。
「おお、おはよう。朝はなにかあったのか?」
「ああ、特になにもなかったんやけど・・・ただ「外で待ってる」って言おうとしただけや。結局1時間近く待ってたんやけどな。」
「寒くなかったのか?」
「ああ、平気やったで。」
「ごめんな、長い時間待たせてしまって・・・。」
本当にすまない気持ちでいっぱいだった。なんとお詫び申したら・・・そのような気持ちになっていた。
「いやいや、気にせえへんでええよ。こっちもいきなりかけたんだから。」
禁音は優しい一面がある。それにプラス思考をかなり持っている。悪い方向には考えない。そんな風に禁音の顔には表れていた。
「ほらほら、急げ!遅刻ギリギリだぞ!」
今日もまた生活指導の先生が朝から校門に立ち生徒に呼びかけをしている。俺達はあいさつをして走って靴箱でスリッパに履き替え教室に向かった。
教室に入ると同時にチャイムが鳴った。
「ぷはっ、ギリギリやん。」
チャイムが鳴ったと同時に黒木先生が入ってきた。
「ほら、席に着け。今日は朝から忙しくなるからな。」
はい?朝から忙しい?今日から普通の授業だと思ったが・・・どうやら違うらしい。
「皆、昨日はかなり第一次パーティー結成をしてくれたようだな。それは先生にとってもありがたいことだ。だけどな・・・予想通り「あまり」が出てしまったようでな。だから第二次パーティーを先生が組ませてもらった。今から言うメンバーでどこかに固まってくれ。じゃあ行くぞ。」
先生が一人一人名前を呼びパーティーメンバーを組んでいっている。みんなまだ見慣れていない人に対しても笑顔で「頑張ろう」と言っている。
「次!第6チーム!羅神禁音!五十嵐禅(いがらし ぜん)!氷山珀(こおりやま はく)!以上が第6チームだ。」
禁音が呼ばれた。それに対して俺と威瑠は呼ばれていない。
のこり2チームとなった。いまだに俺と威瑠は呼ばれていない。残りのメンバーもそわそわし始めた。
「次!第9チーム!飛雷弩威瑠!黒鬼龍!・・・
やった。あと1人は誰なんだろう!誰が来ても同じだろう。
武最後切(ブラスト セツ)!以上が第9チームだ。残りのメンバーが第10チームだ。」
武最後切・・・入学式の特別授業で見たあいつか。
あいつはなぜか目にとまっていた。ほかの人が存在感がないと言っても俺だけは注目人物であった。喜びあっている俺と威瑠に切が入ってきた。
「すまない・・・。」
最初の第一声になにを言うかと思えば・・・なぜ謝る?そういう思いで頭が混乱した。
「あまったのは俺なんだ。それで第一次パーティーを崩してしまって。」
そういうことか。自分が無口で無愛想な感じだからパーティーに誘われなかった。そのせいで最高のパーティーを崩してしまったと・・・。
「なぁに、気にすることないよ。お互いわからないことだらけだけど一緒に頑張ろう。ね?」
威瑠の優しい言葉に切は軽く笑顔を見せてくれた。
俺は一瞬だけ思った。このパーティーなら・・・やれる!




