表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/10

第2話 へぇ〜。気が合うじゃん

――日曜の夜、ベッドの上。

画面の明かりだけが、ゆうなの顔を照らしていた。


通知が1件。

送り主は、「りりあ」。


『この前のプリクラ、加工したやつ送るねぇ〜!かわいくできたっ』


画像が添付されている。

盛れたフィルター、でか目、肌つやつや。

見事なまでに“女の子”だった。


「……詐欺レベルだな、これ」


思わず笑ってしまう。

そもそも中身ふたりとも男だし、というツッコミはもう飽きた。


返信を打つ。


『盛れすぎて笑った。誰?』


すぐに返事が来る。


『うるさぁ〜いっ でもかわいくない?』


『まぁ……かわいい』


素直な感想だった。

そして、ふと指が止まる。


(……また、遊んでもいいかもな)


『ヒマな日ある?また遊ばね?』


『え〜ほんとぉ〜?どうしよっかなぁ……』


1分後。


『……でも、あたしもまた遊びたいかもぉ』


『んじゃ、次どこ行く?』


『原宿とかぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜』


「地雷すぎだろ……」


天井を見上げながら、はるかは小さく笑った。



──次の日曜日。原宿。


駅前、待ち合わせの場所に立っていたのは、

ピンク系で全身コーデしたりりあだった。


ツインテールは前より盛れていて、

ブラウスはフリル多め、スカートはヒラヒラ、靴は厚底。

どう見ても“完成された地雷”。


「はろぉ〜〜!待ったぁ〜?」


「うん、5分」


「え〜うそぉ〜っ あたし、めっちゃ急いできたのにぃ〜」


「それ言いたいだけだろ」


「えへへ〜〜〜〜」


ノリが軽い。今日も絶好調だ。


竹下通りをふたりで歩く。

周りからは普通に“女の子ふたり”に見られていた。


すれ違う女子高生たちが、ちらりとこちらを見て、ひそひそと話す。


「ねぇ、あの二人、可愛くない?」


「うん、めっちゃオシャレ〜!」


「どこのブランドかなぁ?」


はるかはその声を聞き、思わず苦笑い。


(……中身、男なんだけどな)


でも、そんなことはどうでもよかった。


りりあが駆け寄ったのは、

ハートのロゴが入ったピンクのキャミソール。


「お前、もう持ってなかった?似たやつ」


「こっちはリボンが左についてるのぉっ、さっきのは右っっ!」


「知らんがな……」


服屋、アクセ屋、雑貨屋……

どこでもテンション上がってぴょんぴょん跳ねるりりあを、

はるかは後ろからのんびり見ていた。


「そっちもなんか買わないのぉ〜?」


「俺、そもそも女装メインじゃねぇし……」


「え〜じゃあ見るだけぇ〜?」


「付き合ってやってんだろ」


「ふふ〜ん、やさしぃ〜〜〜〜」


満面の笑みで手を振られた。


(こいつ……マジで地雷だけど、ノリは合うんだよな……)


ちょっとだけ、口元がゆるんだ。


ショッピングをひと通り楽しんで、

ふたりは裏通りのカフェに入った。


「タピオカまだあるかなぁ〜〜〜〜〜〜」


「お前、もう流行終わったとか言ってなかった?」


「関係ないよぉ〜〜〜〜飲みたいのぉ〜〜〜」


「はいはい」


レジに並ぶふたり。

完全に女の子同士にしか見えなかった。


でも──

ただの友達。

名前も偽名。

性別も、素性も、何も知らない。


知ってるのは、

「見た目がめっちゃタイプ」ってことと、

「ノリが合う」ってことだけ。


──それで、十分だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ