24 顯 女神に翻弄される(5)
「顯、遅いなあ・・・」
今日の晩御飯は、顯の当番なのに、まだ帰ってこない。青銀は時計を見上げ、首をひねった。曽祖父は、折角下界に降りてきたのだからと、律子さんや他の神たちと観光に出かけて、それが終わったら、ここで一緒にご飯を食べてから、天龍界へ戻る予定だった。
「青銀、青銀っ」
外からダーキニーの声が聞こえたと思ったら、もう中へ駆け込んできた。
「顯、帰ってないわよね」
「うん、まだだよ」
「大学の前で待ってたけれど、出てこないの。探したけれど、どこにもいないのよ」
「ええっ!」
ダーキニーに顯が見つけられないなんて、どういうことだ。
そこへ、御老公と刀の大先生を連れた律子さんが帰ってきた。
「あら、あなた達、どうしたの。?」
ダーキニーから話を聞いた律子さんは、京都市中全域を遠見した。
「一箇所、怪しい場所があるわ。霞がかかって遠見が効かないのよ」
律子さんは、市中でも一、二を争う超高級ホテルを指摘した。
「やっぱり、偽物だわ、全然動かないじゃない。自分の神気を注入されて気絶するなんて聞いたこともないわ」
アテナは、辛辣に、ヘラへ指摘した。仮死状態の顯が横たわるベッドの縁に腰掛けたヘラは、アテナをジロッと横目で睨んだ。
「馬鹿な事を言わないで。本人でなければ、この神気は吸収できなかったはずよ。でも、吸収したのに、どうしてこんな事になったのかしら?」
さっきから、頭の上がやかましい。アテナの声が鬱陶しい。ヘラの声だけ聞いていたい。ヘラの声はとってもいい声だ。それに比べて、あいつは、好き勝手ばかり言っている。本当に腹が立つし、悔しい。体さえ動けば、こんな所さっさと出ていくのに〜
自分自身の神気が、体中に重くのしかかっていて、息をするのも大変だった。以前の自分の神気は、これほど強かったのかと驚かされる。体の基礎陳謝を限界ぎりぎりまで落として、何とか耐えている状態だった。早く、真夜中になってくれ。 バラム神の体さえ覚醒したら、神気は吸収できるんだ。
「ゴロゴロロ」
雷鳴が轟いた。結構近くで鳴っている。そういえば、黒は京都市中を観光して、天龍界へ戻る前に、家へ寄ってくれるはずなのに、このままでは会えそうもないなと、残念に思った。
「ドカーン」
落雷の音が轟いた。
「顯っ」
ダーキニーの叫び声。誰かが、ベッドに飛び乗った。ベッドが波打つように動いた。やめてくれ、気分が悪くなる。
「顯、見つけた。探したんだよう」
暖かい何かが、体にしがみついてきた。ダーキニーの神気が、体の表面を流れていった。
「顯、何、どうなってるの?」
ダーキニーが異常に気がついた。あれ?律子さんと、黒の気配がする。黒がいる。黒、助けてくれ〜、私の神気をお前の龍玉へ引き取ってくれ。
「ワカ、どうされた・・・あっ、これはいかん」
黒が気がついた。やれやれ助かった。




