22 雷ちゃんと謎の異国神(1)
またまた、新しい神が参入、色々やらかします。(ああ、忙しい)
大劫が、どのように起こったかも、だんだん明らかになるかも・・・・
「おい、顯、おまえどこ行ってたんだよ。やっと帰ってきたのか」
「雷ちゃん・・・お久しぶりです」
私は、仁王立ちで空中に浮かぶ神へ挨拶した。短めの髪をツンツンに突っ立て、詰襟風の白い特攻服を着て、額には神風と書いた白い鉢巻を結びつけ、それを後ろへ長く伸ばして風に靡かせている。服装の趣味は独特だと思うが、これが意外と似合っていて格好よかった。彼は、雷ちゃんと呼ばれているが、本当は立派な神名をお持ちで、しかも立派な神殿持ちの、日の本では誰もが知っている有名な神様だ。ただ、本人は気さくな質で、神名が長ったらしいから、自分のことは雷ちゃんと呼べと、初めて会ったときに命令された。
「なあ、おまえ、律子さんへ大台ヶ原の奥地で修行して来いって飛ばされてたそうだな」
飛竜頭山の頂上にある家まで、山道を登る私の側で、フワフワ浮きながら、雷ちゃんはおもしろそうに話しかけてきた。
「・・・はあ、まあ、夜の間だけですが」
(もう、雷ちゃんまで知っているのか、広がりすぎだよ)
「へへっ、何だそれ?律子さんから大目玉食らったって聞いたぞ、何やらかしたんだよ」
(神の墓場まで行って元彼女の邪神に出くわして、穢れまみれで帰ってきて大目玉食らいましたなんて、そんな話できないよな・・・)
事情を知らない雷ちゃんに本当のことは言えないので、ただハハッと笑って誤魔化した。
そう、あの後、助け出したイツァムナは、神力がゼロに等しい状態だったので、騎士団に預け、チャックが当分面倒を見ることになった。私は、穢れに触れたので暫く会えませんと、ダーキニーに頼んで、ちゃんと伝言したのに、青華寺へ押しかけて来た律子さんに、それはもう滅茶苦茶叱られたんだよ。
「顯くん、何なのその穢れはっ、すぐ禊して身綺麗にしてきなさい。人の身で、あの墓場まで出かけるなんて、無謀もいいところよ、まったく何考えてるのっ」
ああ、今思い出しても背筋がぞっとする迫力だった。
そして律子さんから、大台ヶ原の最奥の、最近は誰も近寄らない行者滝で禊をしなさいと言いつけられた。必修科目の単位落として来年再履修なんて嫌だと泣きついて、夜間だけ、青銀に送り迎えしてもらって禊を一月行った。(ちなみに、今は真冬です。水量こそ減っているとはいえ、真冬の真夜中に良い子は滝行なんて絶対にしてはいけません)
ところが、ククルカンに乗ったのが、青銀にばれてしまって、送迎の間ずっと青銀に文句を言われ通しだった。本当に、あんな辛い目にあったのに、その上こんな目にあうなんて、どれだけ不運なんだろう・・・
ただ、ナクシット石から新たに神気を取り込み、それを馴染ませるには、滝行は好都合だった。
ところで、雷ちゃんが来るのは飲み会がある時だけなのに、今日は飲み会の予定もないはずだ、何しに来たのかが気になった。




