16 雨神チャックがやって来た!(1)
雨の神チャック登場します。マヤ時代の話も入ってきて、ますます錯綜、やれやれ・・・
「ミカちゃん、調査はできたかい?」
ふかふかのリクライニングチェアにふんぞり返り、床に届かない足をぶらぶら揺らしながら、チャック神は、ミカエル・ランベルニュイへ声をかけた。
ここは教会傘下の、暁修道会内の秘密組織、青薔薇聖十字騎士会の一室だ。ミカちゃん、ことミカエルは、騎士会の騎士会員だ。長身痩躯、金髪くりくり巻毛に、青い眸、目の覚めるような美青年だ。対して、チャック神は、髪の毛こそ巻毛だが、赤みがかった茶色の髪はだらしなく四方八方に乱れ、顔立ちも扁平で特徴がなく、手足も短く、身長も百四十センチほどしかない。
ミカエルは、USBメモリを手渡すと
「どう調べても、ただの人間でしたよ。まあ、小さい頃にちょっと変わった経験をしたようですが、どうして、そんなに関心をお持ちなので?」と、尋ねた。
USBメモリを人差し指と親指でつまみ、目の前にかざしてしげしげと眺めながらチャック神は、
「ミカちゃんが、いくら熱心に調査しても人界ルートだからにゃ、そりゃ、分からんだろうな。わっちは、この間、やっとこさ、フンカメーの奴をとっ捕まえて、締め上げて聞き出したんだ。十五年ほど前に、呪術師のホセが取り持った供養祭で、「カンモリ」という名の外国人へ、闇のバラム神が直接お告げをしたんだ」
「えっ、そんな事があったんですか?」
ミカエルは、初耳情報に驚き、目を見開いた。
「そうともよ、それで、わっちは、その「カンモリ」というのが、何者か調べようと思った。あちこち調べ回って、マヤ遺跡発掘に携わる考古学者、神森 繁っちゅう、日本人であることを突き止めたわけよ。それで、ミカちゃんに、その息子の事を調べてくれって、頼んだわけよ」
「でも、どうして息子の方なんです?お告げを受けたのは、父親の方なんでしょ?」
チャック神は、突き立てた人差し指を左右にふり、チッチチッと舌打ちした。
「おみゃ、分かっておらんのう。バラムの気配が消えたのと、その息子が日本へ帰った頃と、時期がほぼ同じなんじゃ。だから、わっちはそのアキラとかいう、息子の方が怪しいと思うんよ。直接会って確かめようと思うんで、ミカちゃん、飛行機の手配よろしくな」
「・・・はい」
青薔薇聖十字騎士会の起源は、実は、教会より古い。ローマ帝国の最盛期から組織として存在していたと言われている。時代により、何度か組織名を変更し、今に至る。しかし、騎士会の活動目的は、設立当初から一貫して、信者を失い、神威の衰えた神を保護することだった。ミカエルは、数十年前、チャック神の担当となり、現在までずっと担当し続けていた。
言いつけられた通り、飛行機の手配をするため、ミカエルは、自室の方へ下がろうとし、振り返ってチャック神を見ると、もうパソコンの画面に向かい、猛烈な勢いでキーボードを叩いて、何事か検索中だった。
(うわぁぁ、またチャックに振り回されるのか・・・)と、ミカエルは心中密かに、チャックの無茶振りが始まることを恐れた。
表題No.入力誤りのため、17から16へ訂正しました。




