表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一万年サボろうと思っていたら、人仕事押し付けられた神様です。  作者: nanoky


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

50/219

14 御老公と露頭の迷龍(2)

青華寺の門前で、階段を上がり敷居を跨ごうとしたところで

「あっ」と声をあげ、ダーキニーが姿を消した。結界に触れ、実体を保てなくなったのだ。和尚は、ダーキニーの姿を見られるとまずい来客がいる時は、結界を張るのだ。

「もう、どうしてっ、和尚さんたらひどいっ」

ただし、傍で文句を言う声はしっかり聞こえるので、うるさいことに変わりはない。


 和尚さんのいる和室へ入ると、そこには

「久しぶり、神森くん」

 前髪は眉毛の辺りで切り揃え、後側は腰までとどくサラサラロングヘア、白いレースの飾り襟がついたブラウス姿の、色白の日本人形みたいな女の子が、座卓の向こうに座ったままで声をかけてきた。でも、この女の子、何だか見覚えが・・・

「・・・川島さん?」

 すっかり大人になっているので、首を傾げながら声をかけたが正解だった。幼稚園さくら組で一緒、小学校も一緒だった川島 梨香だ。そう、その昔、あきらくんの笑い顔はあざといと、ダメ出しした、あのりかちゃんだ。中学校からは、私立へ行ってしまったので、長い間ご無沙汰していたのだ。

 「久しぶり、やっぱい神森くんよね、すっごく背が高くなって、格好いいから、人違いかと思ったわ」

 いや、その言葉はそちらの方にこそ、相応しいと思うよ。髪型だけが、幼稚園、小学校の頃と基本的に変わっていないので、辛うじて分かった。すっごく綺麗になっているから、人違いかもしれないかな、なんて思ったよ。(フゥゥー、人違いでなくてよかったよ)

 しばらく、近況報告など当たり障りのない話をし、本題へ移った。

 まず、和尚が、私を呼んだ理由を説明した。

「川島さん、神森くんには、よくお祓いや祈祷の助手を頼むので、一緒に話を聞いてもらうために来てもらった。構わんかな?」

 梨香は、にこっと笑って頷いた。

「もちろんです。神森くんには、昔、よく、失くしものをみつけてもらったりしました。是非、相談に乗ってください」

和尚は、

「君の、母方の叔父さんのことで相談だと聞いたのだが」と、続きを促した。

 梨香は、居住まいを正して話し始めた。

「私の母の弟は、一級建築士で、今、新築マンションの設計から施工まで手がけています。それで、洛西にある()(ろう)()(やま)の、南側の斜面に高級マンション建設プロジェクトを立ち上げました」

 洛西は、北山から四キロほど西南の平坦な土地だが、ただ一ヶ所飛竜頭山というのが、標高百メートルほどの隆起した丘陵地となっていた。平地に、いきなりこんもり盛り上がった丘陵が現れるので、古墳じゃないのかと思う人も多い、しかし地質学的には「露頭」というそうだ。鉱脈や岩が地表に露出しているのを露頭というのだが、飛龍頭山は、一枚岩の巨大な露頭なのだ。

「最初のうちは、すべて順調に進んでいたんです。ところが、基礎杭を打ち出すと、雨が降ってもいないのに、翌日には工事現場が浸水していたり、作業員に次々怪我人が出て、それに少し離れた所にある染色工房からは、地下水が枯れてしまったと苦情まできてしまって、叔父はもう工事そっちのけで、トラブルの対応で疲れ切っています。このままだと、工期内に完成できないのではと、頭を抱え込んでしまって・・・」

 私は、和尚と視線を交わした。私も、和尚も、頭を抱え込みたいのは、こちらの方ですと言いたい。飛龍頭山は、適当についた名前じゃない。まさしく、あれは、()()()なんだから。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ