表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一万年サボろうと思っていたら、人仕事押し付けられた神様です。  作者: nanoky


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

44/219

12 虚空蔵菩薩は大劫をかく語りき(3)

 冊子の表紙には、下界でいうところのマヤ神聖文字が記されていた。その文字のいくつかは、人の顔が文字の一部として入っている。その顔の目玉が動き、覗き込んできた観音菩薩の顔をジロジロと品定めでもするみたいに見返してきた。

「何、これっ、気持ち悪っ!」

 虚空蔵菩薩は、冊子を、嫌がらせみたいに観音菩薩の方へテーブル越しに押しやった。

「せっかく持ってきたんだから、もっとよく見てよ」

「だって、これ、ジロジロこっちを見てるじゃないの〜」

 虚空蔵菩薩はニヤアッと笑った。

「そりゃ見るさ、だって、この記録、当人のみ閲覧可能なんだ」

「はあ?当人のみって・・・また、わけの分からないのばっかり、もうっ」

「その文字の一部に入っている顔が、当人がどうかを、判別するようだね。私も顔をジロジロ見られたよ」

「ジロジロ見られて、あなたも中身は見られなかったのね」

「そう、でもこれは、闇のバラム神がここに来れば、閲覧できるよ」

 実は虚空蔵菩薩も、中身を知りたくて(たま)らないので、観音菩薩は何か()てがあるのではと期待しながら言ったのだ。

「そうなの・・・じゃあ、仕方ないわね」

 とうとう、観音菩薩は諦めてしまった。

(チェッ、期待してたのに・・・)

「観音菩薩は、どうして闇のバラム神って(かむ)()を知っているの?」

 今度は、観音菩薩が爆弾を落とした。

「だって、今、うちのお寺に住んでいるもの」

「はあ?」と、今度は虚空蔵菩薩が目を見開き、口をあんぐり開けて驚いた。

(ププッ、虚空蔵菩薩、顔おもしろい)

 観音菩薩は、拈華微笑のまま内心で吹き出していた。

「どういうことだよ、住んでるって、お寺ってどこの寺?」

 観音菩薩は上界では唯一の存在だが、下界においては、合わせ鏡に無数の映像が映るように、あらゆる場所に同時に存在することができるのだ。だから、虚空蔵菩薩には、一体どこの事を言っているのか、すぐには分からないのだ。

「どこって、日の本は京都の海雲寺よ。私がご本尊の禅寺よ。そこの住職さんの妹の息子で顯くんって子がいるの。そうだっ、顯くんの記録はあるかしら?」

「うぅぅん、氏名と生年月日と両親の名前も分かれば教えてくれる?」

 観音菩薩から聴き取りした虚空蔵菩薩は、またまた虚空蔵の奥へと探しに行った。そして、しばらくして「大変だ、大変だ」と叫びながら、小走りに戻ってきた。

「どうしたの?」

「これ、見て見て」

「ああ・・・・やっぱりねえ」

 虚空蔵菩薩が手にする神森 顯の記録、つまり運命簿は、紅蓮業火による封緘のある禁書となっていた。

「でも、前は禁書じゃなかった。凡人の運命簿の管理担当にも確認したけれど、四歳の時に不慮の事故で死亡ってなってたはずだ。いつの間にこんな事に〜って、観音菩薩、やけに冷静じゃないか。さては、何か知ってるね」

 虚空蔵菩薩の目がギラッと光った。その眼光のやばさに、

「ヒッ」と竦み上がった観音菩薩を、

「フッフッ、観音菩薩、では、その顯くんとやらの事について、あなたの知る限りのことをすべて話していただきましょうか」と、徹底的に追求し始めた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ