祖父の家で
私はももを祖父と祖母の家に渡すと、涙を隠してももに手を振った。
本当ならちゃんと抱きしめて、また帰ってくると伝えるべきなのに、それはしなかった。
ももが喋れなくなったのはわたしのせいでもあるからだった。
私はそのあと、東京に行って、友達の家に押しかけた。
すると、友達は言う。
『ももちゃんが喋れなくなったのは、アンタのせいじゃないよ。
もしよかったら、私の友達のやってる神経・小児科に行ってみたらどうかな??紹介するよ?』
『ありがとう~~~~~』
それで、私は友達に連れられて、その病院に行ってみた。
そこには小さな建物が一軒建っていて、看板に、【ぞうさんクリニック】と書いてあるだけだった。
中に入ると、そこにいたのは・・・
とても若い先生だった。
私は、診察室に入ると、今まであったことすべてを打ち明けた。
すると、先生は言った。
『ももちゃんが喋れなくなったのは、美紀さんのせいではありません。もちろん、育児に失敗したわけでもないですよ。』
一番聞きたかった言葉だった。
そして、先生は、言う。
『そうだ。一度、ももちゃんを連れてきてくれませんか?無理ならば、僕から行きます』
私は、私が近づくと逃げようとすることを伝えると、
先生は自分からももに会いに行くと言ってくれた。
私は、目の前にいる先生が、神様か天使のようにしかみえなかった。




