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異世界の住人しかいないアパートの管理人をしています。  作者: 月嶋のん


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201号室の魔術研究職員。5


私とキーランさんで話をしていると、ちょっとまだ暗い顔でこちらへやってきたナキルさん。


さっきキーランさんに話を聞いたから、余計に落ち込んでいるんだろうなぁってわかってしまう。気遣いのできる魔王様だからきっと申し訳ないって思ってるんだろうな。



「‥うちの電化製品は大丈夫だった」

「良かったです。冷蔵庫せっかく買ったのに壊れちゃったら困りますしね。じゃ、ナキルさん一緒に修理頑張りましょ」



努めて笑顔でそう言うと、ナキルさんが小さく微笑んでくれたけれど、やっぱり元気がない。こんな時こそうまくナキルさんを励ましたいのに言葉が出てこない。


と、ラピさんが部屋のドアを開けて、「掃除終わったから頼む〜〜!」と声を掛けられたので、皆でラピさんの部屋へ移動すると、部屋いっぱい機械があってその中に何かが温められている。



「な、なにこれ!???」

「孵卵器だ!知らないのか?卵を温めて孵化させる機械‥」

「それはわかりましたけど、なんでこんなに沢山あるんですか?!!」

「丁度いい具合に保温ができるから素材の保管とか、育成にぴったりだな〜って」

「‥‥盗んでいたりは?」

「今回はしてません!!」



今回だけでなく、次回もお願いします‥。

頭を抱えそうになると、キーランさんが腕まくりをする。



「見たところ、孵卵器がちょっとショートを起こしている感じかな。ふみさんとナキルさん、これ手袋つけておいて下さい。先に機械をちょっと解体して中身をチェックしてみるんで」



私とナキルさんはもうテキパキと機械のネジを外して、中を見るキーランさんに頷くしかない。はー、すごいなぁ!私なんてスマホでさえろくに操れないのに‥。ナキルさんは私をちらっと見て、


「‥さっき人が来ていたろ」

「え?」

「帰らせてしまって‥、すまない」

「へ?」


人って誰‥??

私の頭にハテナマークが飛び交って、やがてキーランさんの映像で出来たキャラが出てきた。ああ、もしかして帰らせてしまったと思って、ナキルさんは余計にへこんでいたのかな?


とはいえ、キーランさんのお仕事の話をしちゃってもいいのかわからないしなぁ。



「あ、いや、あれは‥」



どうしよう、なんて説明すべき?!

焦っていると、キーランさんが顔を上げ、


「ふみさん、ナキルさん、ちょっといいですか?」


手招きされて、二人でキーランさんの方へ行くと、金属の蓋が外された孵卵器の中をキーランさんが指差し、


「こっちの赤い線があるでしょう?これが雷のショックで焼けちゃってるんで、僕が買っておいた赤いこの線と付け替えます。手順見ておいて下さいね」


そう言うと、ペンチを持ってクルクルとまるで魔法のように取って、付け替える。試運転がてらスイッチを入れたら、あっという間に機械がブンと音を立てて動き出したので私とナキルさんは目を丸くした。



「すごい!!キーランさん天才だ!!」

「いやいや、普通に電化製品好きなだけだから」

「好き‥なのか?」

「まぁ、趣味とあとは自分の自信作りの為ですね」



ナキルさんが驚いたようにキーランさんを見上げた。


「自信?」

「さっきふみさんにも話したんですけど、僕自分で言うのもなんですけど自己肯定感低いんで趣味を増やして、できる事を増やしてるんです」

「趣味‥」

「趣味増やすのオススメですよ。ナキルさん手先器用そうだし、とりあえずゲームとか!」


キーランさん、普段おどおどしてるのにこういう時はグイグイくるな。



「はいはい、キーランさんゲームの布教はあとで!今はまず機械を直しちゃいましょう」

「そうそう!頼むぞ!!」

「ラピさんは後ろのクローゼットをあとでチェックしますからね」

「そんな!!!」

「あと酒瓶また溜まってますよ!すぐ片付けてきて下さい」



一体なにをそこに隠しているんだ‥。

なんだか変な音までするし、そっちのが私は怖いんだけど。


キーランさんが、機械の蓋をどんどん開けていってチェックしたら私とナキルさんで赤い線を付け替える作業をするけれど、キーランさんが言ってた通りナキルさんは手先が器用だった。何度か繰り返すと、ぱっぱと替えてしまう。



「ナキルさん、すごいですね!あっという間に覚えちゃった」

「‥これくらいなら」

「それを覚えられるのがすごいんですよ。いいなぁ〜」



私もなんとか赤い線を付け替えようとするんだけど、なんで難しいのだ。

線が固い〜〜!!ペンチをギュッと握ってもうんともすんとも言わない。けれど、ナキルさんやキーランさんがやってみるとあっという間に出来てしまう‥。


「‥‥ずるい」


思わず頬を膨らませると、ナキルさんが私を見てふっと笑った。



「俺はふみほど料理はできないぞ」

「じゃあ、そこの腕を磨くしかないか‥。ちょっとお茶を淹れてきますよ」



そういうとラピさんが一番に喜び、ナキルさんと思わず顔を見合わせたけれど、さっきよりずっと明るい顔で笑ってくれて、それだけでホッとしてしまう私だった。



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