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異世界の住人しかいないアパートの管理人をしています。  作者: 月嶋のん


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103号室の住人。


ナキルさんの緑の結晶石を黒いドアの横に置いてから、主にアシェルさんからの荷物が無事異世界へ返却され、お陰様で宅配置場も静かである。


本当に有り難いけれど、アシェルさんとナキルさん以外の住人にまだ会えない。


そろそろ1ヶ月近く経つのに会えないってある?

華麗に無視されているのかとも思ったけれど、アシェルさんも「この時期皆忙しいからな〜!」と言ってたので、仕方ないことにしよう。



「もう桜も散っちゃったなぁ〜」



今日はどうしても夜にアイスが食べたくなってコンビニに行ってしまった。しかも欲張って二個も買ってしまった。まぁ、こういう日があってもいいよね〜なんて思いつつ、アパートの敷地内の桜を見ながら家まで帰ろうとしたその時、



右側のフェンス下から、ふわりと白い女性のような影が見えた。



え‥、お化け?!



思わず「ひゃぁああああああ!???」っと素っ頓狂な叫び声を上げると、



「ふみ!?」



カツカツとヒールの音が聞こえたかと思ったら、魔王のナキルさんが驚いたような顔でこちらへ走り寄ってきた。


「どうした?何かあったのか?」

「お、おお、お化けが!!そこに!!」


「お化け?ああ、よくいるやつな」

「よくいる?!!」


「うちの城にはよくいる」

「こっちの世界では稀だと信じたい‥」


急な恐怖と、ナキルさんがいる安堵で情緒が乱されて、またも涙目になるとナキルさんが慌てて返したはずのハンカチをポケットから取り出すと、私の目元にポンポンと押し付けた。‥せっかく洗ったのに。


でも、なんだか慌てるナキルさんにホッとした。



「すみません、またハンカチ借りちゃいましたね」

「別に‥大したことじゃない」

「ナキルさんは、お城のお化けってどうしてるんですか?」

「‥大体俺を見ると逃げいく」

「そうだった魔王様だった‥」



そりゃお化けも逃げていくよね、魔族の王様だし‥。

でもまた今度出たらナキルさんに追い出して貰えばいいかもしれない。そう思ったら、ちょっと元気が出てビニール袋に入ったアイスを一つ取り出して、ナキルさんに手渡した。


「ハンカチ借りたお礼です。チョコアイス美味しいですよ」

「‥ずっとお返しが終わらないな」


ふっとナキルさんが笑って、



「いざとなったらうちの魔術師を呼んで、この地に来た亡霊を抹殺できる陣を張っておくが‥」

「‥そこは最終案で」



亡霊を抹殺‥って、ちょっと字面からして怖いし。

ナキルさんはちょっと残念そうに私を見て、「一応考えておいてくれ」と言うので頷いておいた。ひとまず持ち返って検討させて頂きます。


ほんの数歩なのに、ナキルさんは念の為にと言って私の家まで送ってくれた。

大変魔王なのにジェントルである。



私は家に戻って早速アイスを食べつつ、スマホで「除霊 方法」と検索し、古今東西ありがちな盛り塩を見つけ、明日の朝即座に実行に移すことにした。早めの対処は大事だ。



そして翌朝。

草花を避けつつ盛り塩をこれでもかとしておいた。これなら安心かな?


もう一つ作っておこうかと思っていると、キラリと光る石を見つけて拾ってみると、硬貨くらいのサイズの小石は、お日様にかざすとオーロラーのペーパーのように綺麗に色を変えた。


「綺麗だなぁ。いいの見つけちゃった」


あまりにも綺麗なのでで家に持って返って、洗ってキッチンの小窓に置いた。キラキラとキッチンからの光を浴びて、反射する石を見つけてすっかりお化けのことを忘れていた私‥。



夜になって家の呼び鈴が鳴って、ちょっとドキッとした。

お、お化けじゃないよね?

そっとドアを開くと、



「おう、これお裾分け!」

「アシェルさん?!」

「りんごすげー貰ってさ、りんごのコンポート作ったんだ。赤ワインと白ワインで別々に作ったから食べてみてくれ!」



‥‥アシェルさん、戦士より料理人の方が合ってるのでは?と、一瞬思ったけれど、仕事はそれぞれ思い入れがあるもんね。私はお礼を言ってそれを受け取った瞬間、


ジジ‥と、音がして、玄関の周りの電気が急に一斉に消えた。



「「え?」」



私とアシェルさんの声が重なったその時、



私達の目の前に、長い髪の女の人が俯いて立っていて‥、



ヒュッと息を飲んだその時、ガチャッとドアが開く音と共に電気が一斉についた。



「‥おい、どうかしたのか?」



黒いドアからナキルさんが不思議そうに私をアシェルさんを見つめた途端、私とアシェルさんは無言で早歩きして、ナキルさんの腕をそれぞれ掴んだ。そして一斉にナキルさんを見上げ、


「お、お化けが!!お化けが出たんです!!」

「や、やベーよ!どうしよう、俺これからギルドに行って仲間を呼んで来た方がいいかな」


と、訴えた。

怖かった!!!怖すぎたよ!!

ギュッと私とアシェルさんがナキルさんの腕に引っ付くと、ナキルさんはちょっと宙を見つめ、



「それなら、あいつに話した方が早いな‥」



私とアシェルさんを半ば引きずるように歩くと、103号室の扉を叩いた。




お化けって急に出てくるから怖いよね‥。

そっと出てきても‥やっぱり怖いか。もう少し、こう遠慮深さが欲しい。

(あ、コメディーでは日間50以内に入ってました!ブクマやいいね感謝です!!)

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