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アンの大往生 ー異世界終活記ー  作者: Shutin
アイシュム(調停委員会)
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第一話『どちらに行こうか』(2)

 リンネに無理やり起こされたネイは、未だ虚な目をしている。

 色々と疲れているのだろう。


 しかし彼女とも話さないといけない事がある。


 これからの旅についてのことだ。


 オレの目的は「死ぬ方法を探す事」大体は魔王探しと、500年ぶりの人類の進化を見て回っているだけだが・・・


 そしてネイの目的は「幸せになる事」オレの目的と対局に位置するような目的なだけに、オレの旅に彼女がついてくる理由はあまり無い。

 実際、ネイはホンレスでかなり楽しそうな生活を送っていた。やはり王女と言う肩書を捨てた彼女はただの少女なのだ。本当はホンレスで別れようと思っていたが、焼かれてしまったのでどうしようも無い。


 しかしホンレスで生活を共にしたフィリアちゃん達はまた別の街に避難している様だし、ネイもそこで新しい生活を始めても良いのかもしれない。


「なぁ・・・ネイ。あの話、覚えてるか? 一緒に旅を続けるかどうか、って話」


 流石のネイも目を覚ます。

 真剣な話だと察してくれたらしい。


「もちろん覚えてるとも」


「じゃあ答えは出たかい? とりあえずオレが向かってるのは魔族領タナトス。北だけど・・・」


「タナトス・・・? もしかしてコーポリスの事か?」


 やはり地名は変わっているらしい。

 500年も経っているのだから当たり前だろう。勇者のおかげで魔族と人類で別れて暮らす必要もなくなったのだから。


「それでコーポリスに来るか、それとも別れるか・・・」


 ネイはしばし黙りこくる。

 考えているようだ。いや、判断に迷っているのではなく、伝え方を考えている様だった。


「・・・この村に来る途中。ある商人と話したんだ。商人曰く、世の中には二つの種類の旅人がいるらしい。一つは自由に生きたい者。どこにも定住したくない放浪者だ。二つ目はある場所を探している者・・・」


「ある場所?」


「ああ。故郷でも、死に場所でも、気に入った場所でもどこでも良い。ただただある特定の場所を探しているんだそうだ」


「ネイはどっちなんだ?」


「無論。私は幸せになれる場所を探しているから後者だな」


「でもきっと・・・ネイならどこでも幸せになれるさ」


 王女とバレない限りは・・・・


「当たり前だ。私はどこでも幸せになれるだろう。だからこそ妥協したく無いのだ、私が幸せになるその場所を。まあ、端的に言うとすれば・・・アン、君と一緒に世界を回りたい。ここまで来たら、アンには最後まで一緒にいてもらうぞ」


「最後ってのは・・・オレが死ぬその時までか?」


「違う。私が幸せになるその時までだ!!」


 キャンプファイヤーの火も消えかかり、宴の終了を知らせる鐘が村中に響き渡った。


 星空の下。残り火を囲んで手を取り合ったオレ達は、捨てた故郷の事を歌にした。

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