第二十九話『再ラウンド』
オレはおそらく瓦礫の下に埋もれているだろう。
そうに違いない。
爆発に巻き込まれた後、オレは暗闇の中で身動きが取れなくなっていた。
完全に油断していたオレは頭を強く打って、長いこと昏倒していたようだ。
それにしてもヨルダが生きていたとは・・・
本当に何が目的なんだ?
身体を捻りながら脱出しようと試行錯誤していると、地上から声が聞こえてくる。
「いや〜 上手く行ったね〜」
「当たり前です。私が考えた作戦ですから。それにこちらに『厄災』がついたのも大きかった」
「それでも予想の3倍以上の被害か〜」
「まあ、流石はデパトスの首都と言ったところですね。こちらに多めに戦力を割いておいて良かった」
「そういえば・・・アイシュムとエイレは?」
「全滅に決まっているでしょう。元より勇者と『魔導士』の足止めだけに送った軍ですから」
「あわよくばと思ったけど、やっぱ無理か・・・・まあ、焦らずゆっくり行きましょう・・・」
口ぶりからして上にいる奴ら・・・この騒動の黒幕ってやつか・・・・?
「まあ、とりあえず・・・改めて歓迎します、七大厄災『運命』 ヨルダさん」
「・・・ああ」
「再度確認しますが、あなたの目的も僕たちの目的も世界平和で良いんですね」
「ああ、協力は惜しまないつもりだ」
「ありがとうございます」
ヨルダも上にいるようだ。
そして黒幕と繋がっている。
「しかし・・・ホンレスの住民を逃しても良かったのか?」
また別の声が質問する。
「良いんです。今回の私達の目的はホンレスを占拠による事によって、各国へ嫌がらせをする事ですから」
「嫌がらせ?」
「ええ。首都を失ったデパトスの経済は混乱する。ついでにデパトス近辺の国も大きな被害を受ける。さらにはホンレスの住民をあえて生かすことで、新たに難民への対応もしなくてはならない・・・とりあえず、後4ヶ月ほどは軍を再構成できないでしょう」
「でも『運命』は? 俺たちの手札を晒して良かったのか?」
「はぁ・・・やはり貴方は何も分かってない。軍は来なくても、調停委員は来るでしょう。調停委員が来るということは『魔導士』が来るということです。最低でも『厄災』レベルをちらつかせないと、同じく『厄災』の『魔導士』がすぐに飛んできて私達は全滅です」
「だから『魔導士』をおびき寄せて『運命』の力で殺せば良いじゃないか!」
「それが出来たら楽なんだけどなぁ。それに調停委員にはアイツもいるし〜」
瓦礫の下で聞き耳を立てながら考える。
魔導士とは誰だろうか・・・?
ヨルダと同じく七大厄災なのは分かった。しかし『魔導士』は調停委員とやらとも馴染みがあるそうだ。
確か調停委員は七大厄災を管理する協会。
ならば今回の事態に対処できる可能性があるということだ。
それほどの力を持つ者となると・・・
「なぁ・・・そこの瓦礫の下、誰かいないか?」
突如としてそんな発言が耳に入る。
「そこの瓦礫の下」とは、オレが今いるところでない事を祈ろう。
しかしやはり運のないオレを下敷きにしていた瓦礫が持ち上がる。
いや・・・助けられたんなら運があるのか?
そんな事を思いつつ、瓦礫を持ち上げた男と数秒間見つめ合う。
月夜で顔が良く見えなかったが、瓦礫からオレを助け出してくれのはガイアだったらしい。
「えーと・・・・何やってるんだ?」
「いや・・・ちょっと下敷きになってて・・・・」
凝り固まった身体の筋肉をほぐして立ち上がる。
ヨルダ、ガイア、謎の少女と数人の男達が目を丸くしながらオレを観察する。
そんなに珍獣を見るみたいな態度はやめて欲しい・・・・
さて、どうしようか。あのまま隠れていても良かったんだが、流石にバレたみたいだ。オレは昔から何か と目立つから仕方がない。
よし! 決めた・・・・!!
『火よ 回れ 廻れ 舞われ 灼熱を以て円環を成し 炎環を以て灰をも抉れ 理を外れた炎よ輪廻を超えて逆回転をはじめろ 終焉の大火ここに顕現せよ 大円火』
「全員逃げろぉー!!!!」
瓦礫を放り投げてガイア達は走り出す。
・・・・思い返すと、ガイアで一回目、魔人達と二回目、アースドラゴンと三回目、しんがりで四回目。もう今日の一日だけで四回も戦っている。
オレは良く頑張ってるよ・・・・
さて、第五ラウンド目といこうか!!!




