第二十六話『ハミルの判断』
痛い・・・頭がクラクラする・・・
今は何時だ? 竜人の少女にぶっ飛ばされてからどんだけ経った・・・?
そしてここはどこだ・・・・?
いや、そんなことよりもハミルさんに連絡!!
通信機はどこだ?
瓦礫をどかしながら、身体を起こす。
足元に転がっている銀の鷲の彫刻を拾い上げて、魔力を流す。
ダメだ・・・壊れてる。繋がらない。仕方ない『電達』はどうやって発動させるんだっけ?
思いつく限りの知識を持って魔術を発動させる。
魔術はあまり得意じゃない。というか習ったことが無い。魔術師達が使ってるのを見てある程度は覚えられたのもあり、あまり魔術を真剣に習ったことは無い。
繋がれ・・・・繋がれ・・・!!
辛うじて成功し、手の平に浮かんだ魔術陣からハミルさんの声が聞こえる。
『カルドス! 無事か!? 今どこにいる!?」
「ハミルさん、こちらカルドス無事です。多分・・・市場の方にいます」
先程の業火に巻き込まれたから、辺りは焦土と化している。自分が今どこにいるのかがイマイチ把握できない。
『そうか。それでヨルダはそこにいるのか!?』
「それが・・・」
言いたくなかった。
デパトスの切り札『運命』が目の前で灰にされた、それを言ったその瞬間この国は混乱に陥る。
何よりハミルさんに任された仕事を全うできなかった事が悔しかった。
「すみません、ヨルダは竜によって死にました」
『・・・・・・』
返事はない。
本当に情けない。俺では想像できない様な混乱が今から始まる。
返事を待っていると、近くで爆発音がした。
爆発・・・? もしかして魔物達が街に侵入してきたのか?
俺が気絶してる間に何があったんだ?
「・・・ハミルさん、状況を教えてください。!!今は『運命』がどうしても必要な状況なんですか!?」
『・・・・』
返事は無い。
何かがおかしい。
住人達も見当たらない、どこへ行ったんだ?
基地に行って、状況を把握しなければ・・・・
右足を引きずりながら、基地の方向へ急ぐ。
道の傍に何かが散乱しているのに気づく。
これは・・・・嘘だろ・・・・
落ちていたのは、人の肉片だった。
小さなサイコロ状になった人だったものが、散りばめられたバラの花弁の様に
散乱している。
見渡すと至る所にそれはあった。
滲み出た血が、赤いカーペットを敷いている。
何だ・・・・・何なんだこれは? 剣で切りつけたとかそんな次元じゃない。
そして何より恐ろしいのが、こんな事をする奴がこの街にいたという事だ。
そしてそんな奴がいたのに気づかなかった俺はもう兵士を名乗る資格が無い。
守れなかった・・・俺がみすみす寝てる間にこんなに沢山人が死んだ。
俺はスキルで自分だけ助かっているというのに・・・・
喉の奥から込み上げる絶望を堪えながら、絨毯の上を歩く。
突如として警鐘が鳴り響く。
今日2回目の緊急を知らせる鐘が、無人の市場で鳴り響く。
鐘の音が止まった後に流れた声は、聞き覚えのある声だった。
『全ての住民に告ぎます!! 今すぐ、この街から逃げてください!! ホンレスの南地区、西地区にいる方は、即刻! 北か東に逃げてください!! 今すぐこの街を捨てて逃げてください!!!!』




