プロローグ 『だから死んでみることにした』
始めまして、Shutinです。よろしくお願いします。
初心者なので、誤字脱字、矛盾などあると思います。
心臓の鼓動は、命のカウントダウンである。
一刻、一刻と鳴り止まないその時計の中で、生物は世界の美しさを説く。世界の謎を解く。
しかしオレの時計は止まってしまった。もう進む事も戻ることもなく、ただ一点にとどまるだけだ。
この物語はオレという人生を完結させるための物語だ・・・とは言ってもちっぽけな、少しばかり死にづらい男が世界を見るだけの物語だ。
・・・でもいつか、この本を読んだ君がオレと話したくなったのなら。世界の美しさに気づいてくれたのなら。それほど嬉しいことは無い。
もう一度言おう。この物語はオレの人生が終わるまでの物語だ。
不老不死アーノルド・アンダーソンの大往生を、どうぞお楽しみあれ。
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<ヴァース大森林・エルフ族の集落>
その日エルフ族の集落で約500年続いた日常が、突如として終止符を打つ。突如としてアイツが居なくなったからだ。この500年間、特に何をしてもいなかったが村のどこかには必ずいたアイツ。戦闘も狩りもしなかったが、居るだけで皆が異様に安心できたアイツが。
エルフ族最年少の戦士フォルモが10人ほどの野次馬を従えて、エルフ族長ナーナの家の中へ駆け込む。あるものは不安がり、あるものは涙を堪えるほど悲しんでいる。しかし大半はその場の雰囲気に便乗している奴らばかりだ。
何故ならほとんどの者がアイツについて詳しいことは知らなかったから。
唯一知っているたのは、アイツは今年で400歳を超える族長より長く生きていること。そして何をしても死なない事。
不老不死というやつだ。
「大変です族長!アンのやつが消えました。手紙だけ残して」
とフォルモ2枚の紙を掲げる。気づくと野次馬は20人ほどに増え、ナーナの家を囲うように様子を伺っている。
「フォルモ読んでくれ。なるべく大きく、みんなが聞こえるように」
フォルモはこくりと頷き、手紙へと目を落とした。
『拝啓 親愛なるヴァース大森林のエルフの皆様へ
この手紙を皆様が読んでいるということは、私はもう死んでいることでしょう・・・という冗談は置いておいて
そう私ことアーノルドは自前のスキルによる死なない体(いや、この手紙上では死ねない体と言っておきましょう)の影響で悠久の時を生きております
さてなぜ私があなた達の前から消えるという話をする前に少し哲学的な話をしたいと思います、付き合って頂けると幸いです
まず人生で一番恐ろしいことははなんでしょう、私は「死ぬこと」と考えています。しかし一概にこれが全てというわけでもありません。なぜなら人生で一番喜ばしい瞬間を聞くと「愛するものに囲まれて人生を終える」ということもあるからです。死というものは人生の最も暗いところにも最も明るいところにも存在しているのです。
で何を私が言いたいかというと、人生の最も幸福な瞬間は「自分の生を再確認する時」、私はこの集落でこう結論づけました。死というものがあるから生を実感できる、たとえそれが死の間際だったとしても。いや死の間際だからこそ実感できる。まさに表裏一体ということです。
それでは死のない私はどうでしょう?
私は生がないのでしょうか
否、私にも感情があり生きていると実感したことはある
と言いたいところですが、長年私は自分がこの世界の一部分だと感じたことがないのです。
なので旅に出ようと思います
見聞を広めようと思います
冒険をしようと思います
人に触れようと思います
いま一度この世界を周り、生きるとは何かを探求しようと思います。ついでに死の方も・・・
・・・・・・・と頑張って丁寧に書いてみたけどここらが限界だわ。
要するに旅に出るから心配するなってことだ。
あと一個嘘ついた。死なない体っていうのはほんとだけど、死ねないってのは多分違う。確証はないけどアテはある。
だからこの手紙も遺書みたいなもんだ。
俺の遺品は好きに使ってくれていい、ベッドの下のものはオスどもにやる。ただしフォルモお前にはまだ早い代わりに引き出しの中のやつをくれてやる。最後のプレゼントだ。
そしてエルフ族のレディーの皆様、今までありがとうございました、またお会いできたら嬉しく存じ上げます。
最後にナーナ婆ちゃん、今年で434歳だっけ?もう先も長くないだろうし、楽しんで死ねよ。
オレも頑張るから
ヴァース大森林1のナイスガイ
アーノルド・アンダーソンより』
「誰が婆ちゃんだ。私を取り上げたのはお前だろう」
ナーナは空に向かって悪態をついた。しかし言葉とは裏腹にその顔は穏やかだった。まるで愛する人を看取った時のように・・・
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