8話 エンチャンター
アコナイト達が邪像もどきを見つけた丁度、同時刻。
洞窟の上には、3人の人間が飛行していた。
もちろんただの人間が空を飛べるわけがない。魔法を使っている。
「……盗賊の親分の生命反応、ロスト。口ほどにもない奴だ!」
「あーあ、せっかく秘密兵器を渡していたのにね」
3人のうち2人は少女。1人は中年の男である。
「まぁ良いじゃないか。あのパーティーの実力も見れた」
「でも、ガスで一網打尽にしてから狩っただけだよ?」
「本当にアレにあのレプリカ邪像をあげて良かったのか?」
「ふ、搦め手を上手く使うのも実力のうちさ」
中年男は2人を交互に見ると、一つの提案をした。
「どうだ、お前、一つ、あいつらと戦ってみるか?」
2人の少女は、中年男の提案を聞くと、ニタァと、とても年頃の少女がしてはいけない様な笑みを浮かべた。
「「いいねぇ! それなら」」
彼女達は口を揃えて言った。
「「あいつらを試してみよう!」」
2人の少女達はそう言うと、洞窟の前に着地した。アコナイト達が盗賊狩りを終えて、出てくる所を待ち構えるつもりだ。
果たして、しばらくして討ち取った盗賊の頭目の首を抱えて、アコナイト達が出てきた。
「さぁ」
「試験開始ぃ!」
2人の少女は、彼らの姿を確認すると、それぞれ、魔法を詠唱し始めた。
2人が詠唱するのは、それぞれ、身体強化魔法と魔法強化魔法。それをそれぞれ、もう片方の少女にかける。
「!?」
アコナイトもこの独特な詠唱に聞き覚えがあった。
明らかに友好的な存在ではないものが、身体強化魔法と魔法強化魔法を詠唱している。即座に彼は警戒態勢に入った。
「全員警戒! シールドを張りつつ、すぐに洞窟から出てください! 入口に仕掛けたブービートラップに注意! 」
「「「了解!」」」
3人と1匹は、すぐに洞窟を飛び出た。
殿にいたフロッガーが出ると同時に、洞窟に向け片方の少女の放った火炎魔法が炸裂した。
炎で、入口に仕掛けたブービートラップが引火し、洞窟の入り口が崩れ落ちる。アコナイト達が仕掛けたのは爆薬であり、任務失敗の場合、これで入口を爆破し、中の盗賊ごと生き埋めにしてしまう算段だったのだ。結果的に、彼ら自身が一歩間違えれば生き埋めにされてしまう所だった。
「各員、シールドを維持!」
アコナイト達はそれぞれ防御魔法で身をまもった。幸いにしてこちらには影響なく済んだのだから上出来だ。
「今のをかわすか!」
「はは、上出来! サラとジンを追い払うだけあるね!」
2人の少女はけらけらとはやし立てる様にアコナイト達を称える。
「サラとジン……?」
「あのノースズ女の事を知ってるって事は……!?」
アコナイトと、ドロセラは知っている名を出された事で、少し驚愕気味に2人の少女を見た。
「……あんた達も、ヴェナートル・オクトとかいう大道芸人集団の一員ってこと?」
ピンギキュラもかつて交戦した強敵の記憶を思い出したのだろう。最大限の警戒をしながら、2人の少女を睨む。
片方の少女は青い髪をポニーテールにして、巨乳のグラマラスな体型。もう片方の少女は金髪をツインテールにした、貧乳でスレンダーな体型をしていた。全く正反対とも言える外見だが、瞳の色はどちらも青色で、妙な一体感があった。
「流石ぁ!勘が良い」
「お父上が見込んだだけはある」
「こちらも名乗らないのは」
「失礼失礼」
2人の少女は、お互いの手を絡ませながら、息ピッタリに名乗りを上げた。
片方の青髪で巨乳の少女がまず名乗りを上げる。
「私の名前は、ティー・ロングフィールド。魔法強化魔法を得意とする付与魔術師」
次いで、金髪のスレンダーな方が名乗る。
「私の名前は、クラリッサ・トラストハート。肉体強化魔法を得意とする付与魔術師」
「「以後お見知りおきを、凄腕冒険者パーティー!!」」
「それでは、名乗りも終わったところで」
「試験再開!」
そう言いつつ、ティーと名乗った青髪の方が、サーベルを振りかざして突進してくる。更に後方では、クラリッサと名乗った金髪の方が、魔法を詠唱している。あの詠唱は、炎魔法、『ファイヤーアトラス』。ピンギキュラも愛用する炎魔法だ。
「こっちは人質も連れているのに、厄介な!」
アコナイトは即座に状況を整理する。
こちらは、フロッガーに人質のテレサ嬢を背負わせているので、戦力としては使えない。テレサ嬢を捨てるという選択もあるが、それは出来るだけしたくない。
ティーの狙いはアコナイトの様だ。バトルアックスでサーベルを受けると、つばぜり合いに火花が散った。
「く、重い!」
「エンチャンターの使う身体強化魔法は強力」
「アコ兄様!助太刀します!」
そう言いながら、横合いからドロセラがメイスで殴り掛かるが、ティーはあっさりとそれをかわして距離を取った。そして、再度、突進をかけてくる。今度の狙いはドロセラだ。
「させるか!」
アコナイトは、彼女に刃が到達する前に、『シクトキシン・ショット』を放って牽制する。
流石に光速の毒レーザーを受けるつもりは無かったのか、彼女は攻撃を中断して、再度距離をとる。
「ティーばかりに集中してて良いのかな?」
今度は、クラリッサのファイヤーアトラスが放たれた。巨大な火球が草原を焼き払いながら接近してくる。
「……炎使いは貴女だけじゃない」
今度はピンギキュラが、炎属性の防御魔法『ファイヤーガーディアン』を発動し、炎を壁を出現させた。炎の壁に阻まれた火球は炎同士、相殺され双方消滅した。
「相手の実力も中々ですね」
「連携がうまいね。今のファイヤーアトラスを放つタイミング。あの青髪ボインを巻き込まない絶妙な瞬間を狙ってきた。悔しいけど、私達と同等か、上くらいの実力があるよ。あいつら」
アコナイトとドロセラは、背中合わせになってそれぞれを警戒しながら、相手を論評した。
「……このままだと、消耗戦だけど」
「うぅ、アタシもこの人を背負ってなきゃ戦えるのにぃ……」
後衛のピンギキュラと、運搬中のフロッガーの事も考えつつ、アコナイトは策を練った。
「一度、状況を仕切り直します。その後Mプランを実行します。使用するのは、盗賊が仕掛けた地雷原」
それだけ言っただけ、2人の乳姉妹は彼の狙いを察した様だ。
「了解」
「……不発弾に注意。駄犬はアコちゃんの後について離れないで!」
「な、何をするか分からないけど、分かった! アコ太郎の尻に食らいつくつもりでついていくよ」
アコナイトは、小声でカウントを始める。ティーも、クラリッサも隙を伺いながら、再度攻撃態勢に入っている。
勝負は一瞬。
「カウント開始。3、2、1」
ラノダ語で、カウントを開始する。向こうは、ラノダ語が分からないのか、引き続き、警戒している。帝国共通語を話しているが、2人とも訛りがある。その感じからして、シーリウ人かファオ人辺りだろう。
「0!」
アコナイトはそう叫ぶと、腰からその装備を取り出し、2人の方へ投げつけた。
アコナイト「久しぶりの投稿ですね」
ドロセラ「大体アホ作者がコロナかかったり、同時連載の方優先させたり、東方の新作遊んでたせい」
アコナイト「コロナに関しては日頃の不摂生がモロに出ましたね……」
ドロセラ「アホ作者についてはともかく、今回は新キャラ登場だね」
アコナイト「地味に彼女達の攻撃で洞窟が崩落したせいで、追加ボーナスがフイになりました(白目)」
ドロセラ「この前の大蛇騒動といい、こんな展開ばっかりじゃないですかヤダー」
アコナイト「新たなる強敵に捕食毒華は勝てるのか!?こうご期待!」
ドロセラ「コメント、評価、ブックマークもよろしくお願いします!」




