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2話 情報共有となでなで

「地下に迷宮……」


「……まさか、あのボロ屋敷にそんなものがあるとは……」


 アコナイトの乳姉妹2人は、それぞれメイスと火炎放射器の確認をしつつ、彼の話を聞いていた。


 ここは、盗賊が根城にしていると思われる地点から少し離れた小さな町、レイフォスト。ラノダコールとの国境近くで、彼らにとって因縁の地でもあるラノダ砦からも近い。国境近くだけあり、ラノダ語も通じるので、彼らにとっても居心地は良い。


 朝、クローバー達を送り出した後。屋敷を出て、ここまで到着したのが昼前。町の宿屋の一室を借りて、アコナイト達は簡単な昼食を取りながら、戦闘準備をしていた。ちなみにフロッガーは先の幽霊退治の恩賞である蜂蜜ケーキをむさぼり食っている。


 この宿の主人はラノダ語が堪能で、3人がラノダからの亡命者だと知ると、苦労しているのだろう、と、いくらか宿代をまけてくれた。隣国同士でもノスレプとはえらい違いである。4000年にわたって、つもりにつもった怨恨はそれだけ根深い禍根とも言える。


 この後、宿を出て、洞窟、廃教会、廃砦の偵察を行い、仕掛けるならそのまま夜を待って襲撃、出直すならここまで帰ってくる。3人と1匹は、全員迷彩服を着て、今回の偵察作戦に対応していた。


 そんな中、アコナイトは昨日の話をふったのだ。無論、紺碧薔薇の魔女、ニリンの話も含めて。


「ニリン殿のいう事には、あの地下の奥にはお宝が眠っているそうですが」


「お宝ねぇ……。まあ、ニリン様の言う事だし、信じるに足ると思うけど……」


 先の大蛇討伐の際、彼女の助言が正しかった事を思い出し、ピンギキュラは素直に同意する。しかし、ドロセラはいくらか慎重だった。


「古代の貨幣とかなら学術的好奇心が刺激されるけど……。仮に行くとしても、それなりに準備はしないとね。地下の迷宮なんて、それこそダンジョンみたいなもんでしょ。敵対的な生物がいるかも」


 ダンジョンとは、この世界において、幾つかの自然条件が重なり合って生まれる、天然の迷宮である。


 あくまで、自然発生的に生まれるもので、プレートの動きが関係しているとか、自然界における魔力が関係しているとか、磁場が関係しているとか、その発生メカニズムは諸説あるものの、いずれにせよ大自然の神秘と言うべきものだ。


 そうしたダンジョンは、動物やモンスターが根城にしている事が多い。更に、深い部分には自然の恵みとも言える貴重な地下資源……石炭や鉄鉱石、金銀銅にダイヤモンドなどなどが眠っていたりする。なので、国々は軍隊や冒険者を動員して、そうしたダンジョンの探索に多くの投資を行っている。冒険者にとっても、国の探索作戦に参加する事は普通の任務より実入りが良い事が多く、危険を冒してでも参加する者が大勢いる。


「準備が必要なのはもっともです。しかし、みたいなもの(・・・・・・)、とは、地下の迷宮は、ダンジョンそのものでは無い。と、ドロセラは見ますか?」


「まあね。実際に造りを見てみない事には分からないけど、都市の地下に本物のダンジョンがあったなら、すぐに分かるだろうし、噂にもなるでしょ。そもそも、ダンジョンって一般的に、かなり広い地下洞窟だよ。話を聞く限り、人2人が並んで歩ける程度なら、ダンジョンの定義に当てはまらない。おそらく、人工的な空間……」


「流石ドロセラ、自然の知識は凄いですね」


「えへへ、兄様。もっと褒めて良いよ。頭も撫でて良いよ。なんなら、おっぱい揉んでも良いよ」 


 ドロセラは、そう言ってシャツのボタンを外して、ブラジャーをちら見せした。


「はいはい。胸の方は帰ったらにしましょう。今から致していたら時間が足りません」


 そう言いつつ、アコナイトはドロセラの頭を撫でてやる。そういえば、この前も彼女の頭を撫でた。アコナイトに撫でられるのが気に入ったのかもしれない。


挿絵(By みてみん)


「むぅ~……」


 一方、ピンギキュラは、愛でられている妹を眺めながら、少し嫉妬を込めた不満げな顔をしていた。それを見て、アコナイトは苦笑する。


 彼女は最愛の妹と乳母弟の手前、必死にお姉ちゃんぶっている節があるのだが、こうして妹に嫉妬しつつ、必死にそれを覆い隠している姿をみると、つい甘やかしたくもなる。


「ほら、ピンギも撫でてあげましょうか」


「……うん。ありがと、アコちゃん」


 彼女の頭を撫でると、彼女は嬉しそうな顔を見せた。


挿絵(By みてみん)


「さて、ではそろそろ行きますか」


 アコナイトは立ち上がる。今度はドロセラがそれに嫉妬しそうな雰囲気だったからだ。はっきりいってきりが無い。無限ループになりそうだった。


「いつも通り、不意打ちでいきます。可能なら捕虜をとり、拷問して情報を吐かせましょう」


「……つくづく、物語の主人公的(ヒロイック)な戦い方じゃないね。不意打ちに拷問って」


「はは、良いじゃないですか。世の中、少しくらい汚い方が、生きやすく出来ています」


 アコナイトは手にした拷問器具――異端者のフォークを弄りながら若干黒い笑みをたたえつつ、ピンギキュラの頬に口づけした。

ピンギキュラ「この世界にもダンジョンの概念があるんだね」

ドロセラ「実は最初の方で言及自体はあったんだけどね。今回本格的に設定が生えたよ」

ピンギキュラ「そして奥にあるのが財宝というより地下資源……財宝といえば財宝だけど、なんか生々しいというか」

ドロセラ「地下ダンジョンの帰属をめぐる国家間の争いとかあるんだろうね」

ピンギキュラ「国境を越えて広がっている時とか、絶対大揉めするやつだ……」

ドロセラ「国境紛争(地下)とか勘弁してくれよと思った方は、コメント、評価、ブックマークよろしくお願いします」

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