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1話 夢の中にて

「お久しぶりです☆紺碧薔薇の魔女様ですよ!」


「……」


 アコナイトは夢の中にいた。


 光景は、ポツンと椅子が2つだけある白一色の部屋。何度か見ている、紺碧薔薇の魔女こと、ニリン・ヨグ・ニグラス・ストリングバックが鎮座する部屋である。


 そこで、対面にいるのが、まさに、ニリンである。彼女は、あざとくウィンクをしながら、


「どうしましたか? そんな呆けた顔をして」


 と言った。


挿絵(By みてみん)


(また、面倒くさい人が来てしまった)


 アコナイトは内心でため息をつく。


 アコナイトにとって、ニリンは別に嫌いな人ではない。


 むしろ、自分自身の前世という以上に、嫉妬に狂って全てを失った事には心底同情しているし、この世のほぼ全ての魔法を使える凄腕の魔法使いという事も尊敬している。でなければ、かつて、彼女の名誉回復の為に危険な橋を渡ったりしていない。(この辺りの話は、拙作『姉が評判最悪な婿から婚約破棄された!なら血の繋がらない弟の僕が貰います!』参照)


 しかし、それはそれとして、彼女の情緒不安定気味な性格や、自身の記憶と精神を分離する事で、死から逃れるという、生命の概念すら超越した能力が苦手だった。というより、恐ろしかった。


 前回あった時にはこんなテンションでは無かったはずだが……。良くも悪くも感情の浮き沈みが激しい質なのだろう。なんとなく、アコナイトの父、クロードも、この辺が嫌になってしまったのでは?と、彼は邪推した。


「いえ、何でもありません。それで、今回はどのような御用件でしょうか? 」


「うむ! 今回、貴殿を呼んだ理由は他でもない! 実は、今度の敵の情報を、この紺碧薔薇の魔女様が、迷える我が後世にちょーとだけ教えちゃおうと思いまして」


「え、手伝ってくれるんですか。丁度、屋敷に妙な地下迷宮を発見しまして、少し悩んでいたんですよ。進むべきか、様子見するべきか」


 アコナイトはニリンに素直に感謝し、寝る前に見つけた、地下の謎の洞窟について、彼女に駄目元で尋ねた。


「ああ、あれですね。あれは進んじゃって構わないですよ。奥の方に、お宝が眠っています」


「お宝?」


「ええ。中身は開けてみてのお楽しみ~♪」


 そう、調子はずれの鼻歌を歌いつつ、ニリンは、アコナイトの鼻先を指でつついた。くすぐったくて、思わず顔をしかめる。


「流石我が後世、しかめっ面も美しい」


「それはどうも。他にも、色々聞きたい事があります。あの触手、あれはなんですか? 前に貰ったアイテムが反応していましたが」


 アコナイトは、先日戦った白い触手を思い出す。明らかに人外の姿形をした異形の存在。


「既に封印した様ですが……あの触手、邪神に関係しているのは事実です。そうでなければ、あの装置は反応しませんし。ただ、はっきり言って私の知識にも入っていない奴なので、断言は出来ませんね。とりあえず、ヤバい代物という事だけは言っておきましょう」


「……分かりました。ありがとうございます」


 あまり役に立つ情報は無し、か、と残念に思いつつも、アコナイトは、深々と頭を下げた。


「良いのです。困っている後世は助けないといけませんから」


 そう言うと、ニリンはアコナイトに近寄り、彼に抱き着いた。


「?!」


「……少し、こうさせてください。あなたの妹君から、改めて、あの人が死んだ事を実感して、少し寂しいんです。ニリン(自分)アコナイト(自分)に抱き着くくらい良いでしょう。貴方くらいしか、手軽にもたれかかれる相手いないんですよ」


 ――あの人……クロード様の事か。そういえば、昼間、話に出ましたね……。


 アコナイトは、目の前の女性が最も愛し、最も憎んだ男を思い出して、複雑な気持ちになった。それでも、彼女は確かに彼を愛していたのだ。


 アコナイトからしても、親らしいことなど、一つもしてはくれなかったが、それでも、悪い男ではなかった。と、思う。


「……構いませんよ。それで気が済むなら、存分に抱き着いてください。我が郎党達には内緒にしておきます故」


 アコナイトは、ニリンの頭を優しく撫でてやった。ニリンが満足するまで、ずっと、アコナイトは彼女の好きにさせた。


「さあ、もう目覚めの時間ですね」


「もしも、また、何かあったら夢に出てください。色々状況整理も出来て便利ですので」


「私は、いつだって貴方の味方ですよ。自分自身みたいなものですからね。では、また会いましょう」


「はい、また」


 アコナイトは、目を覚ました。隣にはピンギキュラとドロセラが寝ている。時刻は早朝。もうそろそろ起床予定時刻だ。今日は日中は盗賊たちの拠点を偵察する予定だ。可能であればそのまま作戦を練って、夜になってから夜襲を仕掛ける。


「……」


 とはいえ、ニリンの言ったお宝という言葉が気になる。地下の探索をしてみるという手もあるが、想像以上に危険な可能性も捨てきれない。


 しばらく悩んだ末、結局、地下洞窟の事は一旦保留する事にした。まずは、盗賊を狩り、行きがけの駄賃とする事にしよう。


 油断するつもりは無かったが、なんとなく、地下の洞窟は盗賊よりも厄介な感じがするのだ。

ニリン「それで、だいぶ間隔空きましたが、アホ作者、何していたんです?」

アコナイト「風邪ひいたり……新作書いたりしてました」

ニリン「代表作ほっぽり出して何やってるんですか……」

アコナイト「なんかアイリスIF3に出たくなったらしいです」

ニリン「妹ちゃんの話で同時並行連載は、リソース足りなくなるって分かっていたでしょうに……」

アコナイト「という訳で、新作「えっ、ざまぁをしたら核戦争になる?!  嫁いだ先の旦那様にすでに3人もお嫁さんがいますが、私は元気です」始めました。良かったらそちらもよろしくお願いいたします。」

ニリン「バッドエンドの自作小説の主人公に転生した女学生が、トゥルーエンド目指して頑張る話です。魔法あり、戦闘機あり、核兵器ありのいつも通りのやりたい放題の作品らしいので、よろしくお願いします」

アコナイト「しばらく、そちらと並行連載しますので、投稿ペースが落ちると思いますが、ご了承ください」


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