9話 ささやかな宴
「……女神アグトク様に、感謝いたします」
アコナイト達の屋敷、そこの食堂では7人の人間が、自身の信仰する神に食前の祈りを捧げていた。1人、緑髪の犬耳少女、フロッガーは見よう見まねで形だけ真似している。
祈りを終え、アコナイトがグラスを持って乾杯の音頭を取った。
「では、兄妹の再会を祝して」
「そして、祖国解放を願って」
「「「「「「「乾杯!」」」」」」」
アコナイト達の屋敷。時刻は夕食時である。
テーブルの上には、そこまで高級品では無いものの、美味しそうな料理が並び、それを囲んでいるのはアコナイト、ドロセラ、ピンギキュラ、フロッガーの捕食毒華。そして、クローバー、シスル、ヘリオトロープの7人である。
食膳の祈りの後、安酒で乾杯し、ささやかな宴が始まる。
「このスープ、おいしいわね」
「……ありがとう。この料理は、私が作ったんだよ」
クローバーに褒められ、ピンギキュラが嬉しげに言った。
「少し私も手伝ったけどね。姉様の料理はおいしいよ。自慢の姉だよ」
「突然、3人分、追加の料理を作る様に頼んでしまい、すいませんでした」
アコナイトの言葉に、ピンギキュラはかぶりをふる。
「全然大丈夫!むしろ嬉しい位だよ。久し振りの再会だもの。ここで頑張らなくていつ頑張るの」
「そう言ってもらえると助かります」
そう言って、彼は微笑む。
「そう言うくらいだし、兄さんも手伝ったんでしょうね?駄目よ、最近の男は家事も出来なきゃ」
茶化す様に言うクローバーに、ピンギキュラとドロセラは少し遠い目になった。
「いや、その、兄様は……」
「主の手を煩わせる訳にはいかないというか……厨房に入れる訳にはいかないというか……」
少し、歯切れ悪く2人は答える。
「二人とも、なぜか手伝うって言っても拒否するんですよ」
「あー、アコ太郎の料理は、なんというか、不味いわけじゃないけど。個性的な味というか、火力過剰というか、味濃いめというか……」
「ちょっと駄犬!!」
「……アコちゃんの名誉の為に黙っててよ」
ドロセラとピンギキュラはそう言うが、ヘリオトロープは何かを察してしまったらしい。
「もしかして、アコナイト様、料理下手?」
「……別に料理下手な訳じゃないよ。ちょっと他人より味覚が個性的なだけ」
「濃い味が好きとか言いながら、調味料やスパイスをレシピの3、4倍入れようとしたり、肉はやはりウェルダンが良いですねぇ、とか言いながら黒焦げに近い状態まで焼こうとするだけだよ」
「そ、それはそれは……」
フォローになっていないフォローをされ、少し可哀想なものを見る様な目で、アコナイトを見るヘリオトロープ。
「なんというか、兄さん、料理は姉妹にお任せにした方が良いみたいね……。兄さん自身の健康の為にも」
「別に私の舌は正常だと思うんですが……」
納得していない様に、アコナイトは安酒をあおった。
ちなみに、ラノダコールでは15、6で成人の儀を行い、そこから大人と見なされる。なので、読者の皆様には、彼らが20歳未満で飲酒を行っていても、そういう文化であり価値観であるとご理解いただきたい。
「そう言えば、シアンさん?シルクさん?は、アコ太郎とは血が繋がっていないんだっけ?」
自分の一言のせいで微妙な空気になった事に責任を感じているのか、フロッガーが話題を変えようと、シスルに話しかけた。
「僕の名はシスルだね。僕は、アコナイト義兄さんとクローバーの父上にあたるクロード・ソードフィッシュ様に、捨て子だったのを拾われたんだ」
「そうだったんだ。……あのさ、今更だけど、シルクさん、あたしと同じ緑髪じゃん。せっかくだし仲良くしてね!」
「分かったよ。よろしくね、フロッガー」
「うん、シルク君」
「シスルね」
シスルは彼女の犬耳が気になるのか、おっかなびっくり、頭を撫でた。
「フロッガーの髪、触るとふわふわだ」
「えへへ、自慢の髪だからね。犬耳も気持ちいいでしょ」
フロッガーは誇らしげに言った。
「犬耳も尻尾も、すごく綺麗だ。手入れをしっかりしている証拠だね」
「でしょ! 毎日頑張ってるからね」
「フロッガー、もふもふでかわいい」
「可愛いなんてそんなぁ……照れるよぉ」
頬を赤らめるフロッガー。
「でも、褒めてくれるのは嬉しいけど、後ろ、気にした方が良いよ」
「え?」
シスルが後ろを見ると、クローバーが頬を膨らませて、嫉妬を込めた目で、彼を見ていた。
「ふーん、義姉兼恋人の目の前で、他の女の子といちゃつくとは、良い度胸してるわね……」
「あ、いや、これはよその家の犬をかわいがる感覚で……」
「シスル……後で、私の鍛錬、付き合って頂戴ね? 久しぶりに、本気でやりたくなった」
「クローバー、待ってくれ、話せば分かる!! 」
慌てて弁明しようとするシスル。しかし、その言葉は、クローバーの耳に入っていない様であった。
「流石、兄様の妹様、嫉妬深い」
「……ドロセラちゃんがそれを言う?」
「クローバー様とアコナイト様、やはり兄妹ですね」
そんな風に妙な納得をしている乳姉妹組。宴はそんな風に時に和気あいあいと時に混沌と進んでいった。
そうするうちに宴もたけなわ。夜も深まってきた。
アコナイト「という訳で宴回でした」
クローバー「兄さんが料理下手という設定が生えた……」
アコナイト「実を言うと、割と初期のころから考えていた設定ではあるんですよ。披露する場が無かっただけで」
クローバー「……それで、今回の新キャラ顔見せ回で披露されたのね」
アコナイト「ここまで読んでくれた皆さま、まだの方は評価、ブックマークよろしくお願いします」
クローバー「コメント、誤字脱字報告もよろしくお願いします」




