宿は異世界ホテル
「ねえニーヤちゃん。ダンジョンの拠点まで三日くらいなんだよね。今日の予定ってどんな感じ?」
「えへへ、幸せ。」
さっき頭を撫でてからニーヤちゃんの様子がおかしい。
「ニーヤちゃん?」
「はっ!お花畑は?ここどこ?私、意識が飛んでたの?ううん、大丈夫。それで何?」
おいおい、今まで意識なかったのかよ。よく事故らなかったな。
「今日の予定ってどうなってるのかな?って。」
「今日の予定ね。暗くなる前に次の村に着けると思うからそこで一泊して明日の朝に出発ね。ソラ君は宿どうする?私と同じでいい?宿代半分になるしいいよね。【異世界】行っていいんだよね。」
同じ宿でいいよね。別にこだわりないし。
お友達紹介キャンペーンでもやってるのかな?半額になるみたいだし。さすがに同じ部屋ってのはないだろう。最後のは何だろ?
「うん。それでいいよ。行こう。」
そう答えてしまったんだ。
◇◇◇◇◇
「着いた~!思ってたより暗くなったけどなんとかなったね。予定してた村だったらもう少し早く着いたんだけど、ここにしかない宿だからね。」
「うん?よく解らないけど、そうだね、ニーヤちゃんお疲れ様。」
「ん、ご褒美ちょうだい。」
そう言って頭をこっちに向けて下げてくる。
撫でるの気に入ってくれたのかな?
「よしよし、良く頑張ったね。」
「なんかバカにしてない?」
「してないよ。」
そんなやり取りをしていると、
「ちょっとアンタ達!店の前でイチャイチャしてんじゃないよ!するなら中でしな!あと泊まるならさっさと受付しとくれよ!夕飯の準備とかあるんだからさ!」
宿のおかみさんに怒られてしまった。イチャイチャはしてないんだよなぁ。
それにこの宿、紫色のネオンがまぶしい。
【異世界ホテル】って書いてあるけどまさか、召喚勇者様がオーナーのホテルなんじゃ……。
勇者様達がラブュホって呼んでる宿なんじゃないか?
酒場で勇者様達に聞いたけど「お子様にはまだ早い!」って教えてくれなかったヤツだ。
マズイ、嫌な予感しかしない。そんな事を思っていてもニーヤちゃんは受付を済ませてしまう。
「は~い。書けました。夕飯朝食付きでお願いしま~す。」
なぜそんなにノリノリなんでしょうか?
「はいよ!すぐ夕飯用意するから、そこの食堂で待っとくれ!」
「は~い!」
「ねぇ、ニーヤちゃん。俺の部屋は?カギ一つしかないよね。まさか一緒に泊まる訳ないよね。ははは。」
「もう、ソラ君が行きたいって言ったんでしょ。ここまで来といて女の子に恥かかせる気?私だってドキドキしてるんだから。無駄に明るくしてないと恥ずかしいよ。」
とりあえず夕飯を食べた。
味なんてわからなかった。
ニーヤちゃんも口数少ないし。
この後どうなるの?