たわしとわたし
「ねぇソラ君、明日の誕生日に欲しい物とかある?」
「うーん。無いかな。」
「そうなの?お店買ったならお店で使う物とか?あっ、でもすぐ帰ってくるんだよね。お祭りが終わったら。」
お祭りが終わったら帰る?なんで?
「えっ?帰らないよ。せっかく自分の店を買ったんだから。しばらくいるよ。」
「そっ、そうなんだ。帰りも一緒かと思ってたから。お祭り終わると誰も居なくなっちゃうよ。あっ、退職金あるからお客さんいなくても大丈夫なのか。そうだね、少し休んだらいいよ。」
馬車の音でまた途中から聞こえなかったよ。もう一度聞くと怒られるから聞かないけど。
「帰り一人で寂しい?とか?」
「そんなんじゃないし、お客さん居るから寂しくなんてないし。それよりもプレゼントは?」
プレゼントか?お店で使う物って掃除道具とかいいかな?
「無いなら、その、わた、わたたわし、とか貰ってくれてもいいんだよ。なんてね。」
タワシか!それにしよう!
「うん。それ欲しい!一生大切にするよ。」
「貰ってくれるの?そんな、一生大切にするだなんて。ソラ君そんな事言ってくれるんだね。嬉しい。」
そりゃ大切に使うよ。
「寝る時も一緒に寝るよ。お風呂はダメかな?傷付けちゃうから。」
せっかく貰ったなら使うまでは枕元にでも置いておこう。お風呂を洗うのには使えないよなぁ。
「寝るの?お風呂?ソラ君になら傷付けられても……いいよ。」
なんかニーヤちゃんニコニコしてて目はトロンとして何かブツブツ言ってる。カワイイ顔がもっと可愛いくなってるな。
「ニーヤちゃんカワイイな。」
ヤバい、思わず声に出してしまった。友達なのにそういう風にとられたらどうしよう。
こんな可愛いニーヤちゃん見てたら頭撫でたくなってきた。後で怒られるかもしれないけど。可愛いペットを撫でたいのと同じ気持ちだ。
なでなで。なでなで。
「ソラ君、幸せ。」
喜んでくれたみたいで良かった。
うん?タワシ貰うだけだよね?