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ニーヤさんに負けたくありません


「ちょっとあなた!」


 ソラさんに怒っていた人がこっちに来ました。争いごとは避けたいな。


 私は身体が小さいのもあり他人とぶつからない様に生きてきました。年下の子にも敬語を使ってしまうのもそのせいです。もう癖なんです。


「こ、こんにちは。御者の人ですか?」


「そうだけど、違うのよ!」


 ???


「私はユキっていいます。ソラさんの婚約者です。」


 ちゃんと自己紹介しないとです。他人に婚約者って言うのは、恥ずかしいのと嬉しいのが混ざります。


「ニーヤです。って、はぁ?婚約者?あなた何言ってるの?」


 ニーヤさんは活発そうな人ですね。


 婚約者と言ったら首を傾げています。


「今プロポーズしてもらいました。」


「えっ?聞いてたけどプロポーズなんてしてなかったじゃない。私だってしてもらってないのに……じゃなくて!私が婚約者なのよ!」


 ニーヤさんも婚約者なんですか?でもプロポーズしてもらってないって聞こえたんですけど。


「プロポーズしてもらってないのに婚約者なんですか?」


 初めて負けたくないと思いました。そしたら自然と煽るような事を言ってしまいました。


「そうよ!もらってくれるって言ってくれたのよ、タワシと勘違いしてたみたいだけど。でも私の初めてはもらってくれたんだから!今日だって異世界ホテルに泊まったんだからね!」


 ニーヤさんはどや顔で胸を張ってきました。大きさは私と同じくらいでしょうか?


「可愛らしい胸を張ってもどうかと思いますよ。私の方が少し大きいですよね。」


 また煽ってしまいました。でも異世界ホテル泊まったのがなんか嫌だったの。負けた気がしたの。


「ソラ君はこのくらいが好きなのよ!」


 男の人は大きな方が好きなのでは?教会に来る人は皆シスターの胸ばかり見てますよね。



「ちょっとコレを読んでください。あっ、最後の方の、ここからでいいので。」


 私はカバンから一冊の本を取り出してニーヤさんに読んでもらいます。もちろん『クーオの花の伝説』のプロポーズの場面です。



「っく。確かにコレと同じ事をしてたわね。でもたまたまそうで、ソラ君は知らないと思うわ。私も初めて読んだし。」


 知らないであそこまで同じく出来るだろうか。


「ではソラさんが来たら聞いてみましょうか。」


「そうね。ソラ君の前では仲良くね。」


「はい。」



 

 ソラさん早く戻って来てくれないかな?


 ずっと無言なんですけど。


 



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