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ユキの想い2

ブックマーク評価ありがとうございます


 朝から街の入り口で男の子を待っています。


 二時間くらい待っただろうか、やっと男の子が馬車で来ました。寝坊したのかな?


 御者の人と距離近くないですか?馬車に乗らないの?


 そんな事より気付いてもらえる様に手を振ります。


 よかった、気付いてくれたみたいです。


 気付いた男の子は降りてこっちに来てくれました。


「こんにちは、あっ、名前しらないや。私の名前はユキです。」


 まずは自己紹介をします。


「ああ、こんにちは。俺はソラ。よろしくね。」


 ソラさんっていうのか。


「はい!その、昨日のお金で服を買ったんですけど、どうですか?ソラさんはこういうの好きですか?」


 ソラさんの好みならいいな。


「うん、よく似合ってるよ、カワイイ。そうだ!コレどうぞ。昨日の花を見て作ってみたんだ。ちょっと髪触るね、着けてあげる。」


 カワイイって言ってくれました。


 手作りのかんざし、それってクーオの花?私にくれるの?それって……


 絵本『クーオの花の伝説』の一番盛り上がる場面。


 人間がオークに恋をして、気持ちを伝えるために手作りのクーオの花のかんざしをプレゼントするの。


 髪に着けてくれる所までヤルって事はソラさんも知ってるんですよね。


「きゃふ。」


 着けてもらった時に変な声が出たけど、それよりも好きな気持ちが大きくなった気がします。止まりません。


 状態異常でいう魅了されたみたいな感じでしょうか。


「あの、私オークじゃない。けど、そういう事ですよね?」


「うん。コレは俺の気持ちなんだ、受け取ってくれるかな?」


 きゃっ!セリフまで同じように言ってくれるんですか。素敵です。


「ありがとうございます!花の向きってこれで合ってるんですよね?逆じゃないですよね?」


 最後にちゃんと確認します。これで勘違いじゃ恥ずかしいから。


「合ってるよ、逆がいいならそうするけど。」


 クーオの花を逆向きに着けてあげる。それはプロポーズです。


 クーオが逆になってオークになるからだそうです。


 そして生花のクーオの花を食べたオークは人間になるんですよ。それでハッピーエンド。


 さすがに私は食べないですよ。


 私の事お願いします。


「いいです。大切にしてください。」


 そう言って抱き付いてみました。物語ではここで抱き締めて頭を撫でてくれるの。


 頭撫でてくれました。嬉しい安心するドキドキする。 


「嬉しいです。ソラさんは、もう街を出るんですよね?私も連れて行ってくれますか?」


 ソラさんは旅の途中ですよね。婚約者を置いていくのですか?


「急に決める事じゃないよ。気持ちが変わらなかったら成人してから来ればいい。Sランクダンジョンの拠点で待ってるから。」


 馬車で半日くらいだからすぐに会えるのか。気持ちなんて変わらないから三ヶ月したら行きます。


「わかりました。必ず行きます。」


「孤児院に食料と服を寄付するから、栄養付けて大きくなって。俺が惚れちゃうような女性になってよ。なんてね。」


 プロポーズしてくれたけど惚れてないのですか?私だけドキドキしてるんですか?シスターみたいに大きなお胸が好きなんですか?頑張ってみます。


「はい。」


「孤児院って教会の隣でいいのかな?じゃあちょっと行っ」


 やっぱり孤児院の子ってわかってたんですね。


「おいコラ!ソラ君!なにイチャイチャデレデレしてんのよ。目の前で浮気だなんてやってくれるじゃない!」


 なんか激怒な人が来たのですけど。


 御者の人ですよね?


「ちょっと行ってくるから、ユキちゃんと話しててね。仲良くね。すぐ戻るから~!」


 なんだかソラさん修羅場から逃げる人みたいですね。


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