ユキの想い1
私はユキ、十四歳です。あと三ヶ月で成人なので孤児院を出ていかなくてはいけません。
しかし同じ年の子と比べても小さい私は、なかなか仕事が見つからないのです。どうしよう。今日もダメでした。
そんな時です。運命の出会いってあるんですよ。
私の好きな絵本『クーオの花の伝説』に出てくる男性冒険者にソックリな人を見かけました。同い年くらいの男の子です。
カッコいい、お話したい。と思っても声を掛ける勇気が出ません。
何かきっかけがあれば……あっ!と思い付いた私は孤児院に走りクーオの花をシスターのマジックバッグから取り出す。
カゴ一杯になったクーオの花は小さい頃から少しずつ集めた物で私の宝物なんです。
それを持って男の子に話し掛けます。
「お花を買ってくれませんか?珍しいお花なの!どうですか?」
男の子は急に話し掛けたからかビックリしていました。それから私の事を上から下まで見て、微笑んでいました。優しい笑顔が素敵です。
でも気付いてしまいました。今の私は服も汚れていてサイズも合ってない。孤児院の子丸出しなのです。
あ~可愛い服があれば何か起こったかもしれないのになぁ。
「じゃあ貰おうかな。なんていう花なの?」
買ってくれるんですか?
「ほんと!これはクーオの花っていうの!この中の模様が面白いでしょ。」
「全部貰おうかな。いくら?」
全部?値段なんてわからない。売ってるの見た事ないもの。
「えっ全部!千ゴールドでいいですか?」
千ゴールドあれば可愛い服が買える。そう思ったら千ゴールドと言ってしまいました。高かったかな?
でも男の子はちゃんとお金を払ってくれました。
「ありがとうございます。」
「いえいえ。」
そう言って男の子は去っていきました。
それから私は服屋で白いワンピースを買いました。
これを着てまた男の子に会いたい。少しは可愛く見えればいいな。
旅の途中みたいだし、明日街の入り口で待ってれば会えるかな?




