花売りの女の子ユキちゃん
案の定寝坊した俺達は街の出口に馬車で向かっている。
すると出口に見覚えのある女の子がいた。こちらに向かって手を振っている。お花を売っていた女の子だ。
「ちょっとニーヤちゃん、止めてくれる?昨日お花を売ってくれた子だよ。見送りに来てくれたのかな?」
「そうなんだ。可愛らしい子だね。」
そう、可愛いんだよ。
昨日のボロボロの服とは違う、白いワンピースを着ている。ふわっとしたワンピースというのだろうか、清楚なお嬢さんといった感じで可愛い。
「こんにちは、あっ、名前しらないや。私の名前はユキです。」
「ああ、こんにちは。俺はソラ。よろしくね。」
「はい!その、昨日のお金で服を買ったんですけど、どうですか?ソラさんはこういうの好きですか?」
黒髪に白いワンピース、似合ってるんだけど頭が重い印象かな?頭に何かワンポイントあればな。
「うん、よく似合ってるよ、カワイイ。そうだ!コレどうぞ。昨日の花を見て作ってみたんだ。ちょっと髪触るね、着けてあげる。」
「きゃふ。」
昨日作ったかんざしを着けてあげる。花の部分を白く着色済みだから着けた時の全体のバランスもいいだろう。
「あの、私おおくじゃない。けど、そういう事ですよね?」
ごめんよく聞こえなかった。
多くない?ああ、お金持ってないって言うのか。そんなユキちゃんからお金なんて取らないよ。
「うん。コレは俺の気持ちなんだ、受け取ってくれるかな?もちろんお金はいらないよ。」
「ありがとうございます!花の向きってこれで合ってるんですよね?逆じゃないですよね?」
「合ってるよ、逆がいいならそうするけど。」
「いいです。大切にしてください。」
そう言って抱き付いてくる。大切にしますって事だよな?いい間違えてるよ。訂正はしないけど。
抱き付いているので自然とユキちゃんの頭を撫でてしまったんだよな。
「嬉しいです。ソラさんは、もう街を出るんですよね?私も連れて行ってくれますか?」
孤児院を出たいのかな?でもそれは急に決められる事じゃないよな。裕福な所じゃないなら食料や衣服を寄付してあげたい。
「急に決める事じゃないよ。気持ちが変わらなかったら成人してから来ればいい。Sランクダンジョンの拠点で待ってるから。」
「わかりました。必ず行きます。」
まあ、小さい子供の事だから気持ちなんてすぐ変わるだろう。
「孤児院に食料と服を寄付するから、栄養付けて大きくなって。俺が惚れちゃうような女性になってよ。なんてね。」
「はい。」
「孤児院って教会の隣でいいのかな?じゃあちょっと行っ」
孤児院に行こうとしたら、
「おいコラ!ソラ君!なにイチャイチャデレデレしてんのよ。目の前で浮気だなんてやってくれるじゃない!」
なんかニーヤちゃんが激怒なんですけど。
こういう時は逃げるしかないよね。
「ちょっと行ってくるから、ユキちゃんと話しててね。仲良くね。すぐ戻るから~!」
何もしてないのに修羅場の予感がしたよ。




