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クーオの花


 朝から俺達は次の村に向かって、いや街に向かって馬車を走らせている。


 当初の予定では村に泊まるはずだったのだが、すこし手前の街にしたんだ。


 なぜかって?


 その街で食堂で出すお酒を仕入れてこようと思って。成人したからお酒が買えるんだ。


 マジックバッグには食料は大量に入っているけどお酒は入っていないんだ。お酒も大量に入れておきたい。


 なんて事を言っているが、本当は。


「そこには異世界ホテルがあるからだよ!」


「うわ、ビックリした!どうしたのソラ君?」


「ごめん、起こしちゃったね。なんでもないからもう少し寝てていいよ。」


 昨日は、もう日付変わって今日だけど、ほとんど寝てない。いや寝かせてくれなかったんだ。


 まあ俺は仕事で夜まで働いて、少し寝て朝からまた仕込みをするという毎日だったから眠くは無い。ショートスリーパーってやつだ。


 でもニーヤちゃんは眠そうだったから「俺が運転するから馬車で寝てて」って言ったんだ。けど「隣がいい」って言うからそうした。


 昨日は肩が触れるくらいの距離だったのが、今日は密着して腕を組んでいる。頭ごと身体を預けてウトウトしてるニーヤちゃん、カワイイ。


 そんな事を考えて馬車を走らせると街が見えてきた。時刻は三時、ゆっくり買い物もできそうだな。


 異世界ホテルにチェックインした後、ニーヤちゃんとは別行動する事にした。ニーヤちゃんも買いたい物があるみたいだ。


「じゃあ夕飯までには戻ってくるからね。」

「私もそれまでには戻るよ。」


 よーし、行きますか!まずはお酒を買わないとな。



 酒屋に向かい歩いていると声を掛けられた。まだ小さい女の子だ。


「お花を買ってくれませんか?珍しいお花なの!どうですか?」


 見れば服も汚れていてサイズも合ってない、孤児院の子供かな?こういう子はほっとけないんだよな。俺も同じようになっていただろうし。


「じゃあ貰おうかな。なんていう花なの?」


「ほんと!これはクーオの花っていうの!この中の模様が面白いでしょ。」


 本当だ、白いラッパの様な花は中に模様があり@のようだ。


「全部貰おうかな。いくら?」


「えっ全部!千ゴールドでいいですか?」


 お金を払いお花はマジックバッグに入れる。入れておけばいつまでも枯れることはないからな。


 このクーオの花が後で大変な事になるとは今の俺は考えもしていなかった。 


 

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