召喚勇者と両親の死
説明回なので飛ばし読みでも大丈夫です
勇者様と俺の両親の死には関係がある。まずは勇者様の事から話そうか。
召喚勇者、勇者様、呼び方は色々だが勇者と言えば異世界ニホンから来る若者の事だ。
クラス単位で召喚されたり、仲の良い四人くらいで召喚される時もある。
昔は大陸の端にいたという魔王軍と戦うために召喚されていたらしい。
戦いに勝った後も魔王軍がいつ現れてもいいように、という建前で二十年に一度召喚が行われている。
戦いも無いのに召喚された勇者様に期待しているのは、この世界の文明の発展、生活の向上だ。こんなホテルだったり訳の解らないのも多いけど……。
もちろん戦闘訓練もしている。ダンジョンに潜ってモンスター相手に訓練するのが好きなようで『レベル上げ』と勇者様は言っていた。
前回、十年前に召喚された四人の勇者様がレベル上げに向かったのがSランクダンジョン。
初めての実戦にSランクダンジョンに行くという無謀を周りの大人達は止めたが、聞かずに行ってしまった。
そこで悲劇が起こる。
どんどん階層をクリアして調子に乗った勇者パーティーは回復役の聖女の魔力が無くなりそうなのも気にせず戦闘を開始してしまう。
しかし押され気味になって回復も出来なくなり逃げる事に。
数体のモンスターを引き連れて逃げてきた先には別の冒険者が戦闘中だった。それが俺の両親だ
Aランク冒険者だった両親は勇者パーティーに訓練をつけていた事もあって顔見知りだった。
両親は勇者パーティーのモンスターも引き受けて勇者パーティーを逃がそうとしたらしい。
「何かあったら息子を頼む!」
そう言って戦闘を再開した両親は帰ってこなかった。
それが最後の言葉だと謝罪に来た勇者様に聞かされたんだ。




