降りかかる災難
お久しぶりです! 再開します!
さて、谷山家に襲いかかるのは……? 2話です
僕達家族三人は昨日のニュースを信じることが出来ずに、一睡もしないまま、いつものように帰ってくる親父を待ち望んでいたのだが、親父からの連絡も一度も来ずにそのまま夜が明けた。
「トルルルルルル……」
朝から家中に固定電話の着信音が鳴り響く。父の仕事の関係で家に置いているのだが、それが今回災いした。
「……」
「……」
「……」
僕達は何も話さずに昨日の残った味噌汁を食べる。外がガヤガヤと音が聞こえる。おそらく記者達だろう。参ったな……。
「ごちそうさま……」
「あら…、もう良いの?」
「うん……」
可憐は味噌汁とご飯をそれぞれ半分ほど残してしまった。昨日のことがショックで、食べられないのだろう。妹は生来優しい性格な反面、感受性がかなり高い。周りからの影響を受けすぎるせいか、すぐにストレスを抱え込んでしまう。
「食べないと元気出ないわよ。こういう時こそしっかりしてないと……!」
「ママだって……、あんまり箸が進んでないじゃないのよ……」
「……」
確かに母もあまり食が進んでいなかった。僕もあまり食欲が湧かず、いつもより時間がかかっている。
「……もう学校行くから」
「あ、可憐待て」
「なに……、お兄ちゃん?」
「一緒に行く」
「大丈夫よ、もう中学生なんだから…。まだ兄と一緒に通ってるなんて知られたら、恥ずかしい」
「でも……」
「じゃあ、行ってくる」
「あっおい、待てって……!」
彼女はさっさと自分の部屋に向かい、学校鞄を持って外に出て行こうとする。僕は急いでご飯をかき込んで、妹の後を追う。
「待て、かれ……」
そして玄関のドアを開けると、溢れんはがりの光がシャッター音とともに目を襲う。
「きゃ…」
「わっ…!」
そこには沢山の人とカメラがこっちの方に向いていた。凄い光だ……。白くて前が見にくい……。
「今、谷山容疑者のご家族が家から出てきました」
そうアナウンサーらしき人がカメラの前で言っているのが微かに聞こえた。そしてすかさずレポーターが可憐の方に近づいてマイクを向ける。
「お父様が捕まったことについてどう思われますか!?」
「事件後にお父さんからのご連絡はありましたか!?」
「今回の事件についてご家族の気持ちとして一言!」
「…………」
可憐は何も言わずにただ俯いてしまった。僕は急いで彼女とマイクの間に入り、極力奴らに見えないように隠した。
「学校に急いでるんで、これで!」
「どうか一言だけでも……!」
「遅刻してしまいますので!」
「あ、一言だけで良いのでお願いします!」
「……行こう、可憐……!」
僕は彼らを無視して、急いで妹をここから連れ出したのであった。可憐を中学校に送り込んだ後、急いで高校へと向かった。そこにも記者達が待っていたが、振り切ってクラスへ行った。
キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン……。
予鈴の鳴るギリギリに自分のクラスに着いた。
「ふう、なんとか間に合っ……」
そしてさっきまで賑やかだった教室がなにやら突然ピタッと静かになる。クラスのみんなが僕をじっと見てくる。そこには少し冷たい目線も混じっていた。僕は黙ったまま自分の席に着く。
「……みんな席に着けー」
担任の小林が入ってきて、いつも以上に単調な喋りで手短に朝のホームルームを終え、そそくさと教室を後にした。
そして生徒たちは少しざわざわとなり、僕は伊納のところに行った。伊納は高校入ってからの友人で部活も同じ剣道部だ。
「い、伊納……」
「おう、谷山」
彼のいつも通りな反応に僕はどこかほっとした。
「まぁ、元気出せよーっ。人生山あり谷ありだ。いつか良いこともあるさ」
「…おう」
伊納のお陰で多少気持ちを取り戻した僕は奈美の席に向かう。
「奈美」
「力斗……」
さっきと打って変わって、彼女は明らかに暗い声で僕の名を呼ぶ。完全に話すテンションを間違えた。
「……」
「……」
しばらく無言が続く。彼女は席に座って、僕は彼女の隣で立ったまま時は刻々と流れる。しばらくその状態が続いたが、奈美から口を開いた。
「……お父様からの連絡はあった?」
「…………いや」
「いきなりだものね……。ビックリしちゃった」
「あぁ……」
「事務所は事後処理で今大変みたい……。うちのパパも家に帰ってないから」
「……」
実は奈美の父親はうちの父親の事務所の会計係として働いている。同期の縁だと親父は言っていた。
「ごめん、迷惑をかける」
「……良いのよ。仕事だもの」
「ありがとう」
僕は彼女からのその言葉に救われた。そして学校を終えた僕は記者達の質問を早々に振り切り家に帰る。
「……ただいま~」
「力斗……。大変……可憐が……」
「え!? 可憐にも何かあったのか!?」
「学校を早退して、泣きながら帰ってきたの」
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