8 補足をちょこちょこ
新型コロナによる子供たちの学習の遅れに関して、九月入学問題が浮上していますが、その問題に言及する前段階として、大学や高校の入試について言及しています。
天平とユーリの2人の会話で進んでいくので、彼らだけわかっていて、読み手にはわからないような話になっているところもありますが、わからないところはさらっと流しつつ読んでいただければと思います。
8 補足をちょこちょこ
天平「けど、今の議員や自治体トップのデータが選挙に使われるのは、たぶんまだ先のことだと思うから、それより、自粛生活をどう乗り切るか、ってことが大事だよな?」
ユーリ「そうだね、とにかく、早いとこ、終息してくれないと」
天平「そのためにも……あれ?」
ユーリ「ん? なに?」
天平「オレさ、防疫軍の創設費用とかは考えてたのに、対策会議の運営費や運営スタッフを考えてなかったわ」
ユーリ「え? そうだっけ? ええと……?」
天平「防災軍はさ、防疫軍とはちょっと違うだろ?」
ユーリ「防災軍は――もともと、防災軍つくりたいっていう話を僕たちでするようになったのって、自治体が災害時に避難する指示を出すのが的確じゃないって批判されることがあるけど、そういうのってそもそも、自治体が指示出しやろうとすることに無理があるんじゃないか、ってところからの発想で」
天平「危機管理のスペシャリストが判断しないと、無理があるだろ? って思うよな、ふつうに考えて。自治体のトップって、もちろん、平時だけじゃなくて、緊急時にも対応できなきゃいけないとは思うけど、そんなオールマイティーな人材がそうそうどこにでもいるとは思えないし? いや、いるとこにはいるだろうから、そういうところはその人がやってくれるからいいだろうけど、そこまでできない人はきっといっぱいいると思うわけで……」
ユーリ「それより、自治体は、平時をきっちりやってくれる人がトップやって、緊急時だけ、危機管理のスペシャリストが指示を出して、その人の指示の下、自治体の人たちで地域の人たちをとりまとめて、寄り添っていくようにする方がいいんじゃないか、ってことで――」
天平「災害が来そうなとこに、あらゆる災害に対してどう対処するか判断するスペシャリストを、現地指揮官として送りこんで、自治体や民間ボランティアの人たちと協力しながら、災害対策をとっていくってやり方する必要があるんじゃないか、ってことで。んじゃ、防災軍つくろうぜ! って話になったんだよな」
ユーリ「その指示出しをする危機管理のスペシャリストを、防災軍から派遣したらいい、っていう考えだったんだよね」
天平「防災軍作って、そこであらゆる危機に備えたシミュレーションやって、どういうことが起きたらどう対処する、みたいなの訓練して、現地指揮官になれる人材を育てて、この人はこのエリア担当、っていうのを決めておくと。一緒に訓練することで現地指揮官どうしのつながりもできるから、エリアAで災害が起きたときは、隣のエリアBから支援を受けたりとか? エリアごとに協力を要請したり、協力を申し出たり、っていうのやれると支援体制も整いやすいと思うし。現地指揮官が間に入ることで自治体と政府との連携も取りやすくなると思うし、民間ボランティアと自治体との連携も取りやすくなると思うし?」
ユーリ「平時は、現地指揮官の人と自治体の人とで、どういう災害にどういう備えをしておけばいいか相談して必要な用意をしておいて、民間の人とも勉強会をやったり、交流会やったりして親交を深めておくと、災害の救助も、被災地の支援も、効率よくやっていけると思うし? いいと思うんだよね、防災軍あると」
天平「大型の台風が来そうなときは、現地指揮官が陣頭指揮を執って自治体と協力して、危険のある地域の人の避難をさせたり、救助をしたりしていくっていうことをしていく方が、なんていうか、確かっつーか、確実性が高そうな気イすんだよな?」
ユーリ「ね。けど、だからってなんでも防災軍に任せようとか、自治体は防災軍の指揮下に入って、命令に絶対に従わなきゃいけない、って話じゃなくて」
天平「防災軍の指揮官と自治体がぶつかってうまく機能しない、とかになってたら、それはダメだしな?」
ユーリ「政府は政府で、外交とか、国じゃなきゃできないこと、国家規模で取り組まなきゃいけないこと、いろいろやってもらうとして。それ以外に必要なことを民間や自治体で、各地の実情にあったやり方で対応していくことで、災害を乗り切っていきやすくなるんじゃないか、ってことだよね。そして――それって、今の感染対策もそうだよね? 政府は政府でやってもらうとして、各自治体や民間が、各地の実情にあったやり方で、感染の拡大を防いでいくようにするのがいいって思う」
天平「ただ、防災軍の場合は、そもそも、将来的に自衛隊が武力を放棄して、国際的に活動をするレスキュー隊になっているっていう設定で考えてたから。自衛隊の中で希望する人に訓練してもらって、各地に派遣される現地指揮官やってもらえば、うまいことできるんじゃないかと考えてたんだよな。それが、今みたいな感染症に対峙するってなると、自衛隊みたいな組織がそもそもあって、それをうまいこと防災軍に移行できないか、みたいな話じゃないから……」
ユーリ「防疫軍、っていうカタチを作ろうって思うと、なかなか難しそうだよね?」
天平「そこでテレビなら、って思ったわけなんだけど。テレビの番組をそのまんま防疫軍の対策室代わりにすることでやってけないかと思ってたから、費用のこととか考えてなかったんだよな。テレビ局が協力して対策会議やって、その内容はテレビ番組に使われるわけだから、なんつーか、対策会議の費用って、テレビ局の番組制作費でやってもらえばいいと思ってて……」
ユーリ「……そうだね? 専門家を集めて、対策を検討してもらったりするのは、ふつうにテレビ番組でやってあることだから……テレビ局が費用を払うってことになるんじゃ……?」
天平「けどほら、話しているうちにどんどん大掛かりになってきたからさ? 臨時仕事のマッチングアプリを作らなきゃいけないし、防疫マップも作らなきゃいけないし、支援基金サイト、代替ライブサービス、SNSを使った仕事の仕方に切り替えるサポート、あと、何だったっけ? なんかいろいろあるから、そういうの全部、テレビ局にやってください、っていうのじゃ、無理があるよな……?」
ユーリ「ん? 全部をテレビ局って……そういう話だったっけ? ――対策会議は、スペシャリストの集まりになるわけだよね? それで、新型ウィルスの問題について、どういうことをしていかなくちゃいけないか、っていうのを対策会議で会議してあぶりだして、やるべきことが見えてきたら、例えば、こういうアプリが必要なんじゃないか、っていう課題が見つかったら、これまでテレビ局が取材してきた中で、こういうアプリありましたよ、っていうのがあればそれを使えばいいし、テレビ局が持っている情報の中になければ、テレビで『こういうアプリありませんか?』って情報を募集して、集まった中に、使えるアプリがあれば使うし、見つからなければ、作れそうなとこに依頼したり、あるいは、開発してくれるとこをテレビで募集するし、そこでもしアプリを開発したいっていう民間企業や民間の個人の技術者の人がたくさんいたら、その中から適任者を――あ、誰が選ぶかは問題? いや、対策会議のスペシャリストが選べばいいわけで――適任者を選んで、アプリを作ってもらって。それで、一つのアプリに統一した方がよければ一つに絞るし、複数のアプリを用意して、その中から利用者がアプリを選ぶことができる場合は、複数のアプリでいいから、アプリを決めて。必要なアプリができたら、テレビで『こういうアプリがあるので、これを利用してください』って紹介してもらえばいいわけで……これだと、テレビ番組の範囲内でやれるんじゃないの? 実際に何かを作ったりするのは民間の企業とかで、テレビはその仲介をしたり、情報を集めたり発信したりする役割をするのであって、テレビ局がアプリ作りをするわけじゃないよね? あ、アプリの開発にお金がかかるなら、開発費用は支援基金から出してもらうようにする? それだとテレビ局の負担にならないと思うけど? ん? でも、その商品はタダで企業から提供してもらうわけじゃなくて、必要に応じて対価が支払われるわけだから、企業側にとってもビジネスになることだから、開発費用まで負担しなくても? 開発資金を貸すのはいいとして……」
天平「んー。まあ、そうなんだけど……。だから、ある程度はテレビの範囲内でできるイメージだったけど――支援基金の管理する人が要るだろ? そこはテレビ局でどうこうじゃないだろ?」
ユーリ「あ。そっか」
天平「もちろん、対策会議のスペシャリストの中には、お金に詳しい人もいると思うけど、スペシャリストはアドバイザー的な存在で、実際にお金を必要としている人をさばいていく人とは別だろ? 銀行で言ったら窓口業務? っていうのをやる人が要るんじゃないか? 窓口業務っていっても、対面でやるんじゃなくて、できるだけネットとか電話とか使って、ってことになると思うけど」
ユーリ「んー。それもそうだね」
天平「そういう、会議じゃない『実際に何かの作業をする人』っていうのがいろいろ必要になってくるのかもしれないな? と思って。えっと、『会議』じゃなくて『現場』? 警察ドラマでいくなら、所轄の刑事さんが実際に足で捜査するのに相当するような役割をする人が必要で。会議と現場の両方がうまく連携することが大事なんじゃないかと思うわけで……」
ユーリ「その『会議』と『現場』の連携をやってのけているのが『テレビ』かな? って思うけど……? 一般の人とか、街の中のお店とか取材して、現地の人の声を聞けるし、企業を取材して、どんな企業がどんな商品を持っているかも知ってるし。そういう現地の人、現場の人と、専門家をマッチングさせるのがテレビの人たち、ってことじゃないの?」
天平「……それもそだな。……いや、けどな? 量が違うだろ?」
ユーリ「量?」
天平「量っていうか、人数? ほら、そうやってテレビの人が取材できるのって、一部だけだろ? けど、防疫軍が守らなきゃいけないのはもっとたくさんの人たちで。一部の人の現状だけ取材して、よその人たちもその人たちとみんなおんなじ、ってことにしてたらダメだろ? だから、いろんな人たちからそれぞれの情報を提供してもらわなきゃけないんで、それをテレビ局がすべて引き受ける、ってなると、テレビ局で働いている人だけで情報を受け取るのって無理があるんじゃないか?」
ユーリ「それは……そうかも?」
天平「なんつーか、オレたちが、自分たちにとって『これがふつう』って思える暮らしをしようと思ったら、けっこう、ハードル高いよな? ふつうの暮らしって、実はすごい、いろんなとこでいろんな人たちが関わり合ってるわけだろ? 生産者がいて、生産者が作ったものを運ぶ人がいて、お店が仕入れて、商品を売って、お客さんが買って、大家さんに家賃払って、ゴミが出たら回収してもらって、燃やしたり埋めたり処分してもらって、電気とか水道が使えるのもそういうことやってくれてる人たちがいるからで、それからお医者さんたちもいて、薬作ってくれてる人がいて、医療器具作ってくれる人たちもいて、学校も学校に関わる人がいっぱいいて……もっともっと、いろんな人が、それぞれの生活を背負って関わり合いながら生活しているわけで。そういう人たちが――これまでと同じようにってわけにはいかないだろうけど――それぞれ、感染しないようにしながら、それなりの生活をしていけるようにしていこうと思ったら、国や自治体がめんどうみきれる気ィしないんだよな? 自分たちの暮らしを一番よく知っているのは自分たちだから」
ユーリ「それは、そうだよね?」
天平「それぞれの実情にできるだけ沿えるように、細やかな支援をしていくためには、各地域の人を、細かくグループ分けして、グループリーダーが、グループ内の人たちや、各地のグループや自治体や支援体制と連絡を取り合っていくことで、グループ内の人たちそれぞれの事情にあった支援をできるようにしていけるようにした方がいいと思うんだよな? なんていうか、家元がいて、その下にレベルの高いお弟子さんがいて、そのお弟子さんそれぞれに、さらにお弟子さんがいて……みたいなカンジで? ん? なに言ってんだ? オレ」
ユーリ「大丈夫、言わんとするところはわかったと思う。僕たちってふだんはバラバラに過ごしていて、それは自由にやれていいんだけど、いざ緊急事態で助け合わなきゃいけないってなったときに統制が取れないんで、そこをなんとかしたい、ってことだよね?」
天平「あ。そんなカンジ」
ユーリ「……だったら、ほら、防災軍のときにネットワーク作りたい、って言ってたよね? 地域のカフェとか飲食店の人が中心になるのがいいんじゃないか、って。全国各地の飲食店の中で、災害時の協力店になってくれるとこを募集して、協力店でネットワークを作って、被災していない土地の協力店で支援物資を集めて、そこから、被災地の協力店に支援物資を届けると。被災地の協力店の近所の、非常時にはその店に支援物資を頼むって登録をしておいた人たちが、支援物資をその店まで取りに来るように取り決めておくと、支援が行き渡りやすいんじゃないかって――」
天平「熊本地震のときは、小牟田の一部の人が市民に呼びかけて、廃校になった学校の体育館に支援物資を持ってきてもらって、それを、呼びかけた人たちの知り合いのいる熊本の施設に送ったりしてたけど。それだと一部にしか支援が行かないから、こぼれる人が出てくるはずで……」
ユーリ「民間の人たちが民間の被災者をバラバラに支援すると、支援が行き届かないところもあるけど、逆に、被災地に持ちこまれる支援物資が多くてさばき切れないとこが出て来ることもあったみたいだしね? 支援物資って、持ちこむ方と持ちこまれたものを仕分けして必要な人に渡すのとがうまく連携できないと、かえって、被災者の負担になっちゃうみたいなんだよね?」
天平「大変だったぽいもんな? かといって、自治体が支援物資を送ったり受け取ったりして、受け取った物資を自治体でその地域の人たちに配給する――ってなると、自治体がそこまで手を回せるか心配。自治体って復興作業とかの方に駆り出されちゃって、支援を必要とする人すべてに支援物資が行き渡るように手配する作業までやるには、人手が足りないとこあると思うし?」
ユーリ「その点、飲食店の人だと品物の出し入れとか慣れてるだろうし、支援物資を受け取ったり、食料を適切に保管したり、物資の仕分けしたりする作業は、常連さんとかが手伝ってくれそうだし。その方がうまくいきそうだよね? もちろん、町内会とか、『地縁』っていうの? ご近所さん。近所の人たちで助け合うっていうのが一番いいんだろうけど」
天平「近所での助け合いはすごい大事だけど。ご近所さんって、仲いいとこは仲いいだろうけど、近所に住んでいるから余計にうまくいかないとこもありそうだからな? ふだんから『防災運動会』とかやることでご近所の人もチームワーク出ればいいけど。それに、町内会で支援物資の仕分けとかもやっていこうとしたら、今度は町内会長さんが大変になりそうな気ィすんだよな?」
ユーリ「地区の世話役さんがちゃんといるところはいいけどね? 田舎だとそういう人いるとこにはいそうだけど、都会じゃちょっとね……?」
天平「それより、どっかのお店が――地域によって飲食店がいいか、飲食店じゃない店がいいかっていうのはあると思うけど、なんとなく人が集まる店? そういう店に支援拠店になってもらうと、その方が。地元の人相手に接客しているお店の方が、人とやりとりするの上手そうだし、支援物資をもらいに行く人もふだんごはん食べに行ったりしているお店の方が通いやすいだろうし、支援物資の受け渡し役にはいいんじゃないか、って考えてたんだよな」
ユーリ「災害に関しては、防災軍の一部としてそういう民間の支援物資の受け渡しをするネットワークみたいなのも作っていきたいって話してたけど。――もしもそのネットワークがすでにできてたら、今、新型ウィルスのせいで誰がどういうことで困っているか、どういう支援が必要なのか、情報を収集しやすかったかもしれないね?」
天平「確かに、そのネットワークがあれば、そこを通して必要な支援をしたり、あるいは、よそへの支援を集めたり、ってこともやりやすかったかもしれないけど……。けど、今は飲食店が厳しいだろうから、どうなんだ? 飲食店が『支援拠店』でいいんか? ――いや、支援拠店に支援を受ける登録している人が、支援が要るかどうか連絡をとるついでにそのお店の料理をテイクアウトしたりすると、それがお店を支えることになるかもしれないか……?」
ユーリ「経営が厳しくなっている飲食店だったら、それこそ、その店が中心になって、支援登録者と協力して、必要な支援をみんなでし合えた……? 支援基金のお金を使わずに、ネットワーク内の人たちで助け合える、つまり、飲食店のテイクアウトをしたり、余っている食品を失業者に回したりして、支援できるだけ支援して。そうすることで、お金が必要な人が支援基金から借りるお金を、最低限の額に抑えることができるだろうし? 架空請求みたいなことも起きにくいし。支援基金を誰がどう必要で、どれくらい誰に貸すか、そういうのの調整がしやすかったかも……?」
天平「それがあると、支援基金の管理はやりよさそうだよな? 支援拠店と登録者は顔馴染みだから、架空請求みたいなの起こりにくそう。……あ、でも、個人情報はどこまで共有するんだろ?」
ユーリ「顔馴染みでも……住所とか身元を特定できる情報を支援拠店に伝えなかったら、架空請求みたいに、実体のないお店が支援拠店を通じて支援基金に支援を申し込んでお金を借りておいて、そのまま持ち逃げしてしまう、ってなる可能性がある……?」
天平「そうなる可能性、あるよな? そうしないためには、とりあえず、商売やってる人とか、勤めてる人とかは、ちゃんと店舗があるか、ネット販売だったらちゃんとネット上で販売やってるか、大学生なら大学に籍を置いているかとか……支援登録者の実体確認はちゃんとやっておかないと危なそうだな?」
ユーリ「かといって、個人情報をなんでも支援拠店に明かしてしまったら、支援拠店から個人情報がもれてしまう危険性があるよね? ――個人情報の扱いはまだ熟考の余地あり?」
天平「だな。――っつか、支援拠店! 拠店になってくれた店を支援基金の窓口業務店、ってことにして、窓口業務やってくれてる仕事代として、支援基金から給料というかバイト代というか、そういうお金を払うようにすれば。支援基金にお金を返さなくても、もらいっぱなしでいられるよな?」
ユーリ「『支援基金』が『支援拠店』を『雇う』ってこと? 支援基金からお金を『借りる』場合は、いずれ借りたお金を返さなきゃいけないけど、雇われてお給料をもらう場合は、もらったお金を返さなくてよくなるわけか……」
天平「それだと、支援を受ける人の負担が減るよな? そのうえ、支援拠店を作りやすくなって支援体制が整いやすくなりそうだし……?」
ユーリ「支援拠店になってくれるところが、地域の支援を受けたい人と、どれくらいうまくやれるか、だよね? 支援基金からお金をもらいたいから、やる気ないのに引き受けるようなお店がないようにしないと」
天平「あと、支援基金から給料もらうのをうらやましがる人にいちゃもんつけられたり、クレーマー気質の人が『支援受けたい人リスト』に登録してきて、クレームつけられたりするとかわいそうだよな?」
ユーリ「問題を起こした人とか、摩擦を起こした人とか、そういう人は、そういう人だけを受けつけるグループを作って、そっちに移ってもらえるようにしたら? どうかな?」
天平「で、そのグループのグループリーダーはクレーム処理のエキスパートな人がなってくれれば。支援をしあうネットワークのせいでトラブルが起きるようなことがないように、クレーム入れる人が少しでも落ち着けるようにできればいいよな? ――けど、それにしたって、支援基金作るんだったら、銀行みたいに実際にお金を出し入れする仕事をする人が必要だろ?」
ユーリ「ああ、そっか。支援基金でお金がどこにいくら行ったかを管理する必要もあるし、返してもらったら、返してもらったことを記録しないと、返済した人がまた返済を迫られることになるかも? そんなことになったらダメだから、お金の管理はきちんとしないと……」
天平「それに、地域の人たちをグループ分けするのは自治体とやってかなきゃいけないだろうけど、みんながどこかのグループに入れるようにグループ分けするのも、一仕事だろ?」
ユーリ「うんうん。それから、さっき言ってたもめごと起きそうなグループのリーダーも、なり手がすぐに見つかればいいし、自治体の人でできる人がいればいいけど、やってくれる人が見つからなかった場合は、クレーム処理のエキスパートを探して引き受けてもらわないといけないし。そういう調整も、誰がやるか、ってなっちゃうよね?」
天平「それから、アプリの開発をするっていうのも、やってくれるとこテレビで募集したとして、応募してきたとこの中からどこかを選ぶとなると、公平にやろうとすると、何を基準に選ぶか、すごい大変だと思うし? もしも対策会議がテレビで紹介したアプリを実際にみんなで使ってみたときに不具合があって、誰かに迷惑をかけるようなことがあったら? その場合、対策会議が責任を追及されたりすることになったら、それもどうかと思うし……?」
ユーリ「そっか。薬と同じだね。臨床試験、っていうの? 動物に投与して動物には大丈夫だった薬を、実際に人間に使ってみて、ちゃんと効くかどうかとか確かめるんだよね? 薬って。副作用のリスクが全然ない薬はないらしいけど、許容できないようなおかしな副作用がないかはチェックしないと。それで、安全性を確かめるお試し期間を経て、『これなら副作用で悪くなる可能性より薬が効いて治癒する可能性の方が大きいから、みんなで使うことにしましょう』ってならないと、薬って、一般の人が使えるようにならないし、病院でお医者さんが使える薬の一つにしてもらえないんだよね?」
天平「そうなんだってな? だから、今回の新型ウィルスみたいな未知のウィルスが出て来たときは、『このウィルスにはこの薬が効きます』っていうのがハッキリしないから、大変なんだろ? 新型ウィルス専用に薬を作ることができたとしても、その薬が人間に安全に使えるかどうか慎重に確かめないといけないだろうし。新型ウィルスを退治することができても、そのかわりに悪さする何かを置き土産していくような薬じゃ困るし? それこそ、新型ウィルスだけじゃなくて、内臓まで破壊しちゃって、そのせいで今度は患者さんが重篤な病気になってしまう、とかじゃ意味ないし」
ユーリ「それは、他の病気を治すために作られた薬を新型ウィルスを治すために使う場合も同じだよね。他の病気を治すために作られた薬を新型ウィルスを治すために使ってみたところ、新型ウィルスは治ったけど、他におかしなところが出て来ました、ってなったら――どこか別のところを傷めるけど命は救えるから使う、って場合はあると思うけど――せっかく新型ウィルスの病気が治っても、完治するんじゃなくちゃ、なった人がつらいと思うし」
天平「その薬が作られたお目当ての病気を治す場合には特に問題なく使える薬があっても、それを他の病気を治すために使おうとしたら不具合が起きるってこともあり得ない話じゃないかもしれないもんな? お目当ての病気のときは問題なかったのに、新型ウィルスと薬の相性次第では、想定していなかった化学反応みたいなのが起きて、新型ウィルスに使う場合にだけ異常な副作用が出てしまった、なんてことも、あり得ないとは言えないわけだろ?」
ユーリ「――たぶんね?」
天平「だから、慎重になるのは大切なことで」
ユーリ「お目当ての病気を治すために使う場合には人間の身体に異常が起きない、あるいは、起きにくい、ということは確認されている薬だから、それを新型ウィルスの治療に使っても、そうそう、おかしなことにはならないと思うけど。ただ、すでに人間に使われている薬だから新型ウィルスのために使っても大丈夫だろう、効果が出るかどうかはわからないけど異常は起きないだろう、って考えるのは、危険かな? って思う」
天平「だから、新型ウィルスを治療する薬を開発したり、他の病気のために開発された薬から新型ウィルスに使える薬を探したりする場合、安全性を確認するためには、『もしも想定外の副作用が起きることになっても構わないので自分にその薬を投与して試してみてください』って協力を申し出る人がいっぱい日本の国民の中から出てきて、実際に試してみるしかないと思うんだけど。それって、下手なやり方したら、ただの人体実験になってしまうわけやん?」
ユーリ「人体実験にならないようにするのが大変そうだよね、薬を実際に一般の人が使えるようにするのって。けど、そうやって実際に使ってみないと市場に流通させることができないわけで。――アプリも、性能の確かさは大事で。すぐに問題を起こすようなアプリじゃ、『みなさん使ってください』にするわけにはいかないわけだよね……?」
天平「アプリの場合はさ、薬みたいに人命に直接かかわることは少ないと思うけど、信用ができて安全なもの? 不具合起こさないようなアプリじゃなきゃいけないだろ? となると、それを誰が確かめるんだ? 対策会議の中のITのスペシャリストが確かめるのか?」
ユーリ「そこで、対策会議のスペシャリストが安全を確認することにしたら、何か不具合が起きたときに、そのスペシャリストの人たちの、あるいは、対策会議の責任を追及されかねない、ってことになりかねないってことか――。それはちょっと、対策会議の人たちが大変になり過ぎるよね?」
天平「完っ璧になんの問題もないアプリを提供します! っていうことは、どんな開発者でもまず無理だろうから、そこまでは誰も求めないと思うけど。ある程度はちゃんとしたヤツでないと、ってなるだろ? だからその辺が――」
ユーリ「あれ? でもそれは開発者がちゃんとしたものを作ればいい、ってことだよね? 対策会議はあくまで『こういうのやってみましょう』って方針を出すだけで――」
天平「――あ。『対策会議全体』は『車のメーカー』みたいなもので、感染を拡大させないためのいろんな対策が、車、ってことで。車を作るために必要な部品があったら、その部品を作っている専門分野の中から、部品を作る下請け会社を選定して部品をお願いする、みたいなカンジ――? けどその下請け会社の剪定作業が大変なんじゃ――?」
ユーリ「――対策会議に参加するスペシャリストって、テレビ局が調べた専門家の中から取材に協力してくれてた人とか、そういうので選ばれてる、っていう設定だよね?」
天平「う? まあ、それが手っ取り早いんじゃないか?」
ユーリ「その場合、テレビ局が声をかけるスペシャリストって、必ずしもその専門の職種の代表であるとは限らないってことだよね? IT分野だったら、ITの有名な技術者なのか、力のあるIT企業の社長さんなのか、IT技術に詳しい評論家か何かなのか、一人なのか複数いるのかわからないけど。その人たちが、IT関係の仕事をしている人すべてのことを把握しているわけじゃないし、議員さんみたいに、IT業界とか、職種別に分かれた『ナニナニ業界』の人たちが、ナニナニ業界の人たちの中で選挙して、投票して、代表を決めました、っていうわけじゃないから」
天平「それは、そだな」
ユーリ「そういう人がスペシャリストとして、テレビで全国的に紹介されるアプリをどれにするか選ぶ、ってなると、そこに不満を持つ人は出てくるかもしれない、かな……? このアプリの方がいいのに、とか。対策会議に参加しているスペシャリストの人が、自分に賄賂くれた会社のアプリを選んだんじゃないのか、みたいな話になるかもしれないし?」
天平「今みたいに新型ウィルス対策に奔走してる、っつーか、駆けずり回って手探りでどうすればいいか対策を考えてるときは、よほどダメな人じゃない限りは、最善を尽くすと思うけど。いや、知り合いの技術者が困窮してたら、その人をひいきする、ってことはあり得るかもしれないな……? けど、かと言って専門分野に分かれてナニナニ業界とか、ナニナニ部門? の人が、みんなで納得いくようにしようとしたら、無理があるだろ? 全国規模の話なんだから」
ユーリ「んー。だったら、さっきの、支援拠店を使った支援体制のグループ分けみたいに、専門分野ごとのたくさんの企業や技術者さんたちが、小さなグループに分かれてそれぞれで連携とって、グループごとにさらに連携をとるってすれば、専門分野ごとがまとまりやすいかもね……?」
天平「小さなグループか。小さなグループ――あ」
ユーリ「――あ」
天平「『ギルド』か!」
ユーリ「『ギルド』だ!」
天平「ギルドだよ、ギルド! ギルド作っとけばよかったんだ!」
ユーリ「……だね。……ギルドがあれば。ギルドだったら――」
天平「『防災軍』も『農業会社』も『ギルド』も、これまでのうちに作ってあったら! よかったのに!」
ユーリ「『無試験入学制度』もだよ、天平!」
天平「それもだ!」
ユーリ「……」
天平「……」
ユーリ「ええと、とりあえずギルドの話、だけど。――大きな会社から個人で仕事をしている人まで、いろんな技術屋な人が『ギルド』に登録することで、どこがどんな技術を持っているか『ギルド』が把握できるし。ギルド内やギルドどうしでの連絡体系ができてて、専門業種ごとに会社や工房や技術者が組織化されていたはずで……。いろんな職種でギルドを作っておけば、対策会議で何をしたらいいか課題が出てきたときに、各種のギルドに呼びかけて協力を求められるわけだから、連携がスムーズにいったはずだよ、きっと……」
天平「だよな……。それに、ギルドでは、後継者がいなくて消滅しそうな技術と、職人になりたい人をマッチングさせるために、絶滅危惧種な技術を集めたレッドデータを作るだろ? それを応用して、今、新型ウィルスのせいで倒産しそうな会社とかをデータ化したりもできたかも……?」
ユーリ「もしもデータ化できたら、倒産を回避するために、ヤバそうな会社に優先的にフォローの手を入れやすかっただろうし。会社が維持できれば、そこで働いている人たちも生活を維持できただろうし……?」
天平「農業会社が機能してたら、フードロスを管理して、必要な人に配給するのもやりやすかっただろうし。失業者が一時的に身を寄せる場所にもできただろうし……」
ユーリ「受験も、今みたいに『入試』をやってたら、パンデミックに対応できないよね? 感染症が流行しているときに、各地から特定の場所に入試を受けに来ると、試験会場の中や試験への行き帰りで感染が拡大する危険性があるよね? あるいは、感染リスクを冒さないために入試を受けることができる人とできない人が出て来たりするよね?」
天平「高校は、公立だと自転車で行ける範囲に学校があるとこ多いと思うけど。私立だと遠いとこの学校を受ける人もいるか――。大学は大学に行きたい人の近くにちょうどほどよく大学があること少なそうだよな? 一つの大学に対して、かなりいろんな地域から入学試験を受けに人が集まってくるだろうから、それだと感染が拡大しやすいだろうから……。せめて大学だけでも無試験で入学できるようになったら、感染症の拡大をかなり抑えられそうだけどな……?」
ユーリ「僕たちは中学受験しないから、中学って試験受けずにそのまま公立の中学に上がれるだろう? それってすごいよね? なんていうか、楽」
天平「試験なく学校に進学できるのってマジで助かるわー。――だからって、公立の中学への進学と、高校や大学の入試を一緒にはできないだろうけど。それにしたって、無試験入学制度、いいよなー。……アレって、紗智姉からの始まりだったよな?」
ユーリ「ミヤが紗智子さんに大学でどんな勉強をしたか聞いたら、『大学で得たものは友達だけ』って言われたってヤツだよね? それで、『テレビとかで、奨学金もらって大学出ても就職できないとか、奨学金の返済で困窮してるとか、そういう話聞くのに、友達以外に大学で得られるものってないの?』ってミヤが言い出したんじゃなかったっけ?」
天平「なんか、そんな話だったよな? ん? 奨学金の返済がすごい負担になるっていうので大学の学費を無料にしたがいいんじゃないか、っていう話があるけど、その場合、国の税金で大学生が無料で大学で勉強できるのってどうなん? っつか、それだと経済的に大学行けなかった人もいけるようになって大学生増えない? その人たちの学費ぜんぶ国が負担してたら、どれくらいお金かかんの? っていう話もしてたろ?」
ユーリ「そんなだったよね? それで、そんな話してるうちに、職人になったり、資格を取って仕事したり、農業やったり、大学に行ってもできるけど行かなくてもできる仕事、いろいろあるし、奨学金をもらってまで大学に行かなきゃいけないのかな? みたいな話になって――」
天平「大学より専門学校の方がよくない? みたいな?」
ユーリ「専門学校だってお金は結構かかるみたいだけどね? ただ、専門学校だと『手に職をつける』ことができそうだから、仕事をするときのための勉強をするなら専門学校の方がいいんじゃないか、って。ギルドの話してたときも、いろんな伝統技術を継承するための職人学校やろうって話をしてたから――」
天平「特定の勉強をして、資格を取ったり、実際に働く、えっと研修というか、実務? の勉強ができるような専門職用の学校がいっぱいあって、高校を卒業したらそういうとこに進学する人がいっぱいいて。大学には、本当に勉強とか研究とかしたい人だけが進学するようにして。大学が、学校っていうより研究所みたいな存在になってって、企業と大学でコラボするのももっと増えてって、ってカンジになってった方がいいんじゃないか、って話になって――」
ユーリ「今ある大学のうち、いくつかは専門学校に変えてった方がいいんじゃないか? って話になったんだよね? そもそも、戦前は『大学』って名乗ってた学校はすごく少なくて。専門学校的な? って言っても、今の専門学校とはちょっと違うのかな? 単科大学? とにかく。戦前は、今の大学とは違う、高校以上大学未満みたいな学校だったのが、戦後に、教育内容とか整えて『大学』に変化した、っていうパターンがあるってことだから。それを逆行させてもよくない? みたいなこと誰かが言い出して――」
天平「っつか、少子化少子化って言ってて、小学校や中学校や高校も統廃合していってるわけで。それにしちゃあ、大学って、多かったりしないわけ? って思うだろ?」
ユーリ「前に学校の先生が、大学って昔に比べて数が増えてるって言ってたことあるんだよね。それで、昔、おじいちゃんたちのころは、大学に進学する人って少なかったけど、親の世代のころには大学に進学する人が増えてきて、それに合わせて大学を増やしたり、ってことがあって、大学の数が多くなったのかな? って思ってた。――実際のところは知らないけど」
天平「大学って、大学に行きたい人全員が行けるようにしようとしたら、もしかしたら今あるくらい大学があってもいいかもしれないけど……いや、多いんじゃ? ま、とにかく、行きたい人全員行くなんてことになったら、勉強についていけない人だって出てくるだろうし、それで大学やってく意味って何? 勉強についていけない人が勉強したかったらそれは大学じゃなくて、塾的なものでいいんじゃないの? とか思うし? たくさんある大学で、数の少ない『大学に行きたい人』を取り合うようなことになってたりすると――これも蟲毒現象かもしんないよな?」
ユーリ「蟲毒化すると、勝ち残った学校は強い学校になってるかもしれないけど、食いつぶし合ってみんなまんべんなくボロボロになっていくかもしれないし……。それより、大学の数を減らした方がいいと思うよ?」
天平「だろ? 小牟田では小学校や中学校は統廃合されてきたけど、福岡の一部では移住者が増えてて、マンモス校って言うの? すんごい子供がいっぱいいる学校になってたり、新しく学校を増やしたり、ってことにもなってるらしいんだけど。なんつーか、学校って、そこに通う人間が増えたら新設するし、減ったら廃校にするしで、数を調整していくってことはしていかないといけないもんなんじゃないか……?」
ユーリ「昔みたいに大学が少なくて大人の一部の人しか大学に行ってなかった、みたいな状態だったら、大学も数が多くなってなくて、統廃合する必要ってなかったんだろうけどね?」
天平「昔はなかった学問を研究するために新しい大学が作られた、みたいなんもあるんかな? ほら、昔はコンピューターはあってもパソコンはないっつーか、普及してないっつーか、スマホやタブレットがなくてWiFiもなかった時代には、IT関連の研究も一部の人しかやってなかっただろうけど、IT化が進むにつれて、その手の研究をする大学が作られたり、それまでにあった大学にIT系の研究するところが増設されたり、ってことが起きていたり? そういうパターンもあるのかもしれないけど。――っつか、バブルでお金あったんでバンバン大学作っちゃったんじゃ?」
ユーリ「バブルのときの日本のお金の使い方って、なんか、ヤバそうだもんね? あるから使う、みたいなので、計画性なかったっぽさそうっていうか、先見の明なそうっていうか……?」
天平「バブルでお金あったときに、防災軍や防疫軍にお金使っとけばよかったのにな? ――今さらだけど」
ユーリ「バブル期のお金はもう幻だから追いかけちゃダメだよ。それより、大学を専門学校にするのって、昔は大学じゃなかったところを専門学校に戻すとか、何年度以降にできた大学は専門学校にするとかして、古くからある大学だけを残す、っていう風な決め方するわけにはいかないよね? IT関連の研究みたいな、新しい学問っていうか、これからどんどん重要になってくる研究もあるし。大学のままやっていくのか、専門学校に変更していくのか、変更する場合はそれまで通りとはいかないだろうから、どんな学校にしていくのか……いろいろ考えることあるな、って」
天平「そだなー、だからって、今の流行りじゃない学問は要りません、にはならないだろ? そうやって伝統的なものが日本から絶滅していくのってよくないっつーか」
ユーリ「専門学校に変更する大学を選ぶのって難しいし、専門学校って言っても、今ある専門学校とまったく同じような学校にするのかどうなのか――?」
天平「あ。大学じゃなくなると国から補助が来なくなるとかあるかもな? その場合、補助金がもらえないの問題になるかも?」
ユーリ「ギルドの職人学校だと、技術を残していくため、職人を育てていくために、ギルドが職人学校を運営していく、みたいなイメージでいたから、学生さんの金銭的な負担を少なくできると思っていたんだけど――」
天平「経営的な部分で、大学を専門学校に変更しにくいとかあるんかな? 学校の内容も――今ある専門学校って結構スケジュールキツキツで勉強してて、大学生の方がゆとり持って、サークル活動とかしながらやってるんじゃないか? って話聞いたことあってさ? ま、学校によるんだろうけど」
ユーリ「専門学校って、二年くらいのとこ多いんじゃないっけ? 大学だと四年通うのがふつうだけど。通う年数の違いもあって、トータルでかかる学費が、専門学校より大学の方がかなり高額になってしまうかもね?」
天平「んー、通う期間が短いと、勉強のスケジュールはキツくなるかもな? となるとさ、ほら、災害が起きたときの復興ボランティアって、大学生の人が活躍してたりするけど、専門学校に通ってると、ボランティア活動まで手が回らないってことになるかもしんないよな?」
ユーリ「勉強するのが学生の本分だ、って考えれば、それでいいのかもしれないけど……」
天平「けど、ボランティア活動もすごい意味のあることだし、植林するボランティアとかいろいろ、勉強になる経験とか体験っていうのもあるわけで。ボランティアやる余裕のある専門学校もあった方が――っつか、植林はオレがやってみたい」
ユーリ「天平がやりたいのは、チェコの植林のアルバイトだよね?」
天平「いいよな、苗木を一本植えて十何円? もらえんの。日本にそういうバイトあったら、オレ、一万本目指すわ。一本植えて十円だったら十万円ゲットできるぞ」
ユーリ「一本一円なら千本で千円だけど。まあ、一本いくらでも、木が増えていくんだからいいよね。――と、それより、今ある大学の中の一部を専門学校に変更する場合に、どんな学校にするのかなんだけど――」
天平「いろんな学校があっていいんじゃないかと思うけどな? 四年制の専門学校が増えていくかもしれないし? 大学ならではの決まりとか、縛りがなくなって、自由な学校になっていくかもよ?」
ユーリ「ボランティア活動に特化した専門学校とか?」
天平「おお! ソレ、おもしろそう! ボランティア活動って、人手が必要な何かがあるってことだから、そこにはきっとビジネスチャンスが――!」
ユーリ「ビジネスチャンス……まあ、さっきの植林がそうだよね。環境保護でボランティアで植林する、ってなりそうなところを、一本いくらっていうバイトにしちゃうとか、チェコの人ってすごいよね」
天平「ボランティアはすばらしいことで、ボランティアしてる人のこと、オレは尊敬するけど。ただ、人ってなんでも無償でやってたら息切れするって思う。っつか、現実的に無理。お金には限りがある。だから、なんでも『無料で、無償で』っていうのはすごくいいことだけど、有料で長く続けていけるような取り組みやっていくこともすごく大事だと思うんだよ」
ユーリ「実際に、『NPO法人』って言われている会社ってそういうことやってる会社なんだよね?」
天平「NPO法人って、特定非営利活動法人っていうヤツだろ? 非営利っていうから、ボランティアでやっているって思われがちだけど、無償で働くっていうんじゃなくて、ボランティア的な活動をするのに、無償では生活していけないから、生活しながらボランティア的な活動をしていけるように資金集めてボランティア的な活動をしていく人にお給料を払ってもらえるようにしていったのが、NPO法人だろ?」
ユーリ「要するに、お金もうけするための会社じゃない、ってことだよね?」
天平「お金儲けじゃなくて、プロのボランティア? ボランティアのプロ? 長くボランティアやっていくためには、生活費を稼げるかっていうのが問題になるわけで。そこんところをクリアするために、ボランティアをやっていくために、生活費なんかは会社からもらいます、っていうことにした――『局所的な共産主義』みたいなカンジ?」
ユーリ「局所的、って、すごく狭い地域に限定して、みたいなことだよね? だから、NPO法人が局所的な共産主義って言ったのは――NPO法人限定で共産主義になってるってこと?」
天平「っぽくない? ざっくり言うと、資本主義だと、働いて成功すれば成功するだけ給料アップ! になるけど、共産主義はどんだけがんばっても一定の給料をもらう、ってカンジだろ? んで、NPO法人だとお給料がどれくらいもらえるのかは知らないけど、『非営利』っていうのは、働いて何かのミッションを成功させたらそれで成功報酬がもらえますよ、とかそういうことじゃなくて。そうじゃないってとこが、共産主義っぽいかな? と」
ユーリ「なるほど」
天平「ボランティアを長く続けるために給料をもらえて会社化したのがNPO法人、ってことだよな? ――――――無給でやらずに会社化する……?」
ユーリ「確か、阪神淡路の震災のときに、義援金が集まったり、ボランティアしようって人が集まったり、集まった人を振り分けたりする組織ができたりしていく中で、そういうのをまとめてNPO法人っていうタイプの会社にした。それで、日本でもNPO法人っていうのが増えていった、ってことらしいよね?」
天平「なんか、『NPO法人』っていう会社があるらしいぞ、ってのが先にあると、『非営利』ってなんじゃそら? になるけど。震災の復興ボランティアが活動するのに会社作ったっていう経緯がわかると、復興支援とかのボランティア的な活動が『非営利』ってことね、ってなるよな。なんつーか、復興のための活動って、金儲けのためにやっているってのとは違うって思うもんな? 無償で働いていなくても、無償で物をあげるんじゃなくても」
ユーリ「日本って、毎年のように大きな災害が起きてるし……海外でも災害や戦争で困窮している人はたくさんいるわけだから。ボランティア活動をいろいろ経験できる学校、ボランティアでやっていることをボランティアじゃなく仕事にしていけるようなことを学べたりする学校、っていうのがあったら、それはそれで人気の学校になりそうかな?」
天平「おもしろそうだな、そういう学校。どうせ大学じゃなくするんなら、思い切って何か特定のことに特化した、個性的な学校とかがあってもいいと思うけど。どんなもんかな?」
ユーリ「あとは、小学校みたいに統廃合したり?」
天平「じゃないと、今度は専門学校が増えすぎて蟲毒化してしまうかもしれないもんな?」
ユーリ「大学と専門学校のバランスを調整していったら、蟲毒化して学校どうしが潰し合うようなことにならずに、なんとかなるんじゃないかな?」
天平「そんで――大学行ったり専門学校行ったりするのとは別に、お金の管理の仕方とか運用も? それからビジネスマナー? 社会常識? 社会人になるのに必要な知識とか、冠婚葬祭のマナーだったり、いろんな宗教関係の心得だったり? ――ごみの分別や捨て方、については義務教育中に『素材学』として学ぶとして――いっぱしの大人になるために身につけておいた方がよさげなことをまとめて勉強できる学校があれば、親から独り立ちするときに助かるって思う。というか、作って! そういうのこそ、学校で教えて!」
ユーリ「それって『大人の基礎学』って言ってたヤツだよね? 天平のこだわり」
天平「いや、マジで。実際に絶対に必要なとこだと思うぞ? うちに母友が集まって女子会はじまると、たまに、あの手続きわからん、これの手続きわからんって、わからんわからんってやってることあっからな? もっと手続きスッキリさせてくれーって」
ユーリ「ということは、市役所とか自治体で働いている人たちこそ、いろんな手続きをしてあるだろうから、大変だろうね……」
天平「国語も算数も理科や社会も、どんな勉強も自分を助けてくれるものだけど。オレはさ、自分の生活に直接的にかかわって来るのが大人の基礎学だと思う。家族が病院に入院するときの手続きの仕方とか、税金の払い方とか、補助金の受け方とか、引っ越したときの住所の変更を役所かどっかに届けないといけない? とかなんとか、なんか手続きモノって大変そうなんだよ。オレの周りの大人たちはみんな、あーでもないこーでもないってうんざり顔してること多い」
ユーリ「大人の世界の舞台裏、ってカンジだよね? 僕はよく知らないけど、僕たち子供が知らないところで、大人の人たちがいろんな手続きやってて、それで世の中回ってるんだよね? すごいよね、大人って」
天平「すごいけどなー。そのすごいこと、そのうち、オレらが自分でやんなきゃいけなくなるわけだろ?」
ユーリ「まあ、そうだよね」
天平「考えてみろよ? 大人がやってることって、オレら子供が大人になっていく中で自然とできるようになっていきますよ――ってなると思うか?」
ユーリ「えっ? 手続きとかが? 自然とできるように? ――それはないよね?」
天平「だろ? 生まれてくる前だか生まれた後だかに、オレらの脳の中に、大人基礎な知識がタイムカプセル埋めこむみたいにインプットされて、大人になったらカプセルが溶けるみたいなことが起きて、自然と自分の脳の中に大人基礎な知識が詰まった状態になってます、みたいなプログラミングされてるわけじゃないんだから」
ユーリ「……そうだね。そんなことされるようなことになったら、便利かもしれないけど、めちゃくちゃこわいよ」
天平「けど、だからって、自分でやれるようにならなかったら、誰かが代わりに必要な手続きをやってくれるわけじゃないんだろうからさ? どうせ大人になったら必要になることなら、ちゃんと教えといてくれや! って思うだろ?」
ユーリ「そうだね、ネットマナーやSNSのリスク管理なんかは、小学校のころから勉強するべきだと思うけど。手続きって……そもそもどんなときにどんな手続きがあるかわかんないし。しかも、自分ではなかなか勉強しなさそう……」
天平「小学校に入る手続きだってどんなもんだったんだかな? 中学校も公立なら無試験で進学できるけど、それって小学校が中学校に児童の名前とか住所とかのデータを送ってくれんの? 手続きとかあんの? ないの? 転校するときは? とか、子供のころは大人がやってくれるからいいけど、いざ自分で手続きしなきゃいけないってなったら、わかんないこと多そうだから。そういうの、学校で教えてくれるといいよな? っつか、そういうの教えてくれる学校があるといいって思う」
ユーリ「そうだね、結局、僕たちも大きくなったらやらなきゃいけないことなわけだし……」
天平「大人は車買うにしろ、部屋を借りるにしろ、家を買うにしろ、なんにしろ、契約とかもいっぱいしてくことになるだろうし、ローンの組み方とか? なんとかキャッシングからお金を借りるときの借り方とか? 今ならキャッシュレス化とか――そこはスカウター対応してほしいけど――えっと、なんかそういうのも勉強できちゃうと、知識があると詐欺にかかりにくくなるんじゃないかっていうか。いっそ、詐欺に対応する方法とかもついでに学ばなきゃいけないことにしとくとかすると、詐欺被害を少なくできないかな?」
ユーリ「知識があればこういう契約内容で契約しなかっただろうに、とかはあるよね? ――そうだよ、それに、敷地の境界線とか相続問題とか、裁判になるほどじゃなくても、解決しなくちゃいけないトラブルが日常の中で起きたりするしね? そういうのも、ちゃんと知っていれば対処のしようがあったのに、知識不足で後手に回っちゃう、ってことあるんだよね……」
天平「なんでもかんでも勉強しとこうと思ったら大変だろうけど、代表的なモノだけおさえとくだけで、違うと思うんだよな? それに、一人ひとりの手続きスキルや契約スキルが上がると、役所の人たちの仕事の負担も減らせるかもしんないし?」
ユーリ「大人の基礎学、大事だね? そういうことだけ教えてくれる学校があると、大学や専門学校では、専門の勉強に専念できるだろうし?」
天平「それもあるけど、なんつーか、この学校で勉強しとけばそれでいいっていうか、ちゃんとしてるって見てもらえるっていうか、逆に、中卒でも高卒でも大卒でも専門学校卒業してても、この学校出てないとちゃんとしてるって見てもらえない……みたいな?」
ユーリ「あ。それ、あれだ? 今って日本だけじゃなく、いろんな国で『学歴社会』ってずっと言われてるけど、『学歴』? 大学を出てるか、どこの大学出たか、とか、そういうのでその人の能力を測られるっていうか、評価される状態になっているって聞くけど。そういう学歴で判断されるんじゃなくて、大人の基礎をわかっていればそれでちゃんとしてるって評価してもらえる、みたいなカンジがいいってこと?」
天平「そゆコト!」
ユーリ「そっか。だって、大学に行っているからすごいとか大学に行ってないからすごくないとか、そういうのじゃないもんね? そういうんじゃないはずなんだけど、学歴でその人がどういう人か判断されてしまうから、大学を卒業したっていう証がほしいっていうか、大卒者っていう身分を手に入れるために、苦労して大学行く人とかいるみたいだもんね? けどそれっておかしい」
天平「大学は、勉強するために行くもんだろ? 大卒者っていう身分を手に入れるために行くのって、ヘンだろ?」
ユーリ「もちろん、そんな人ばっかりじゃなくて、すごく勉強したくて大学に進学する人もいっぱいいるんだろうけど。そうじゃない人のこと考えると、大人の基礎を学べていれば、今でいう『学歴を持っている人』みたいに、世間の人たちから受け止めてもらえるなら、その方がいいよね……?」
天平「――と、思うんだよな?」
ユーリ「けど、それだったら、大人の基礎学って、義務教育中に勉強すればいいんじゃ? 中学の勉強内容になってるとか?」
天平「義務教育っていうか、授業料は無料かあるいは格安にしてもらいたいとは思うけど。中学とかでやんなきゃいけないことにすると、高校や大学や専門学校に進学する人って、社会に出たときにもう忘れてそうな気がするし。忘れたからまた勉強し直したいって思っても、中学生をもう一度やり直すってわけにいかないと思うから、それより、いつでも誰でも利用できるような? そういう学校がよくないかな? と思う」
ユーリ「いつでも誰でもってことは、おじいちゃんとかでもいいってこと?」
天平「いいんじゃないか? 看護学校とかは、結構いろんな年齢層の人が勉強しに来るらしいぞ? あと、自動車学校とかも」
ユーリ「自動車学校は、免許を取ることができる年齢になった人たちが、免許取りたいときに行くから……自動車学校に通う人の年齢はバラバラだろうね?」
天平「何歳でも勉強したい人が大人の基礎を学べるといいわけで。それこそ選挙も選挙の仕方がよくわからんくて選挙に行かない人もいるかもしんないし? 成人した人が知っとくべきなことを一通り学べて、一度卒業した人は、その後、『アレ? このときどうしなきゃいけなかったっけ?』ってなったら、補講? 補習? とか言うの? わかんないとこのおさらいをさせてくれる学校があるといいな、と」
ユーリ「なるほどね。それって、ソウ力アップにつながる取り組みだね? 一人ひとりが自分でいろんなことをわかっていけるようになる、ってことだから」
天平「ホントだな。ソウ力アップで!」
ユーリ「オンラインとか通信教育とかでも勉強できると、利用しやすいって人、多いかもね?」
天平「学校で先生から教わるか、通信教育で学ぶか、その辺は、勉強する人が選べるといいよな。――なんか学歴社会って、キツそうだもん。オレ、ヤダよ。それに、学歴重視のせいで、カミカシイ多くなってそうだし」
ユーリ「――受験用の勉強って、勉強の中身より、がむしゃらにひたむきに勉強に打ち込む集中力とか、課題をこなす『お勉強力』みたいなのを身につけるために勉強するのであって、中身が大事なわけじゃない、みたいな極端な考えを聞いたことあるけどね?」
天平「ああ……まあ、そういう一面もあるのかもな? だけど、みんながみんな、そういう力をつけるために受験勉強しなくていいと思うわー」
ユーリ「――だよね」
天平「オレらが高校卒業するころには、学歴社会じゃなくて、『学び社会』、みたいな? 学びたい人学び放題、みたいな? いつでも自由に勉強できるからこそ、勉強しない時期があってもいいし、みたいな? 受験! 学歴! みたいなキツキツ感なく、勉強に専念する人もいれば、働いてる人でも仕事の傍らで自由に勉強できちゃったりする、『学び大国』みたくなっててほしいわー」
ユーリ「学び大国か……。義務教育は、社会で人と生きていくために必要な、基礎的な勉強をするんだから、しっかり勉強していかなくちゃいけないと思うけど。それ以上の勉強に関しては、勉強したい人は勉強するし、したくない人はしなくてもいい。そういう雰囲気があるといいよね」
天平「だろ? そんでさ、あとは、日本や海外でどんな仕事があって、こういう仕事をするにはこういう勉強が必要で、それはこういう学校で勉強できますよ、とかを教えてくれたり、自分で調べたりできる場所があるといい――と思うわけよ」
ユーリ「ギルドの職人学校で、そういうことやろうとしてたよね?」
天平「そ。どんな技術があるか、職人になりたい人が参考にできるような取り組みがあればいい、って話してたヤツ。それを、職人さんの技術に限定しないで、いろんなジャンルのいろんな仕事でやれたらいいんじゃないかと思って。そんでそれは、ふつうの仕事だけじゃなくて、青年海外協力隊とかのボランティア的な活動とか、どこでどんな人がどういう活動をしているのかも教えてくれたら、『こういうのあるんだ、やってみたい!』ってのと出会う機会になるかもしんないし?」
ユーリ「どんな仕事があるか、どんな活動がされているか、そういうのを知ることができるような場所があれば助かる、ってことだよね? だって、そういうこと自分で調べるの大変だし、限界あるし、存在自体を知らない職業のことは調べようと思い立つことがないし……」
天平「勉強がしたい! って人はまた話が違うと思うんだけど。数学が好きで突き詰めて勉強していくとか、趣味で歴史を研究してます、みたいな人とか、そういう人は自分で勉強したいことをどこで教われるか調べやすそうな気がするけど」
ユーリ「何かやりたいけど、どんなことがあるか、どんなことならできそうか、わからない人もいるだろうから、やりたいことを見つけやすいようサポートしてくれるとこがあるといいよね?」
天平「そんで、そのサポートセンターみたいなとこも、無料で、あるいは格安で、誰でも自由に利用できるといいと思うんだ。学生さんが就職先を見つけようとするときだけ利用する場所じゃなくて。社会人になってからでも。転職する人って、意外と多いみたいだから」
ユーリ「そういうのができてって、『大学卒業しないとまともな仕事につけない』みたいなのをなくして、もっと自由に働けるようになればいいよね、ってことか――」
天平「そーそー。大学卒業して就職するのが基本! みたいなんじゃなくて、大学は研究したい人、勉強をしたい人が行くところ、みたいなカンジでよくない? って思う」
ユーリ「学歴社会じゃなくなると、大学と専門学校の社会的な地位? みたいなのも、変わってくるよね? 大卒じゃないと就けない仕事があるってことだから、そのせいなのか、どこか、大学より専門学校の方が格が落ちる、みたいな風潮がある気がするんだけど、そういうのはおかしいし」
天平「大学が、あるいは大学院が、学歴ヒエラルキーのピラミッドの頂点! みたいなカンジするもんな? んで、その下に専門学校とか高校とか中学校や小学校があるカンジ? けど、基礎を積み上げて勉強を深めていかなくちゃいけないから段階的に学校を上がっていくっていうことと、学歴のランキングがあるっていうのとじゃ、意味が違うもんな? 大学の研究がすごいのはすごいんだろうけど、他が格下っぽい感覚になるってのは違うわけで――」
ユーリ「中学までが基礎中の基礎、高校も基礎のうち、大学や専門学校は専門的な勉強ということで――大学より格が落ちるのが専門学校ということではなくて、研究に特化した専門学校が大学、みたいなカンジ? それで、中学や高校を卒業して仕事に就く人もいるし、専門の勉強をしたい人は専門学校や大学に進学してから仕事に就く、みたいな?」
天平「そんで大学はさ、研究員するために大学に行く人もいれば、自分の興味で大学で勉強する人もいて。芸能界で活躍して有名になってから大学に行きたいって受験して大学生になった芸能人の人も何人かいるけど、そんなカンジで仕事してるうちに勉強したいことが出てきたら、辞めたり休んだり仕事を中断して大学で勉強するっていう勉強の仕方も、もっといっぱいあっていいと思うもんな?」
ユーリ「それだと、奨学金をもらって後で返済するとかじゃなくても、働きながらお金を貯めて自分が稼いだお金で勉強する、っていうこともできるね?」
天平「それだと大学に行くのに、経済的な無理しなさそうだよな? ――そんで、ほら、オレらは、無試験にする代わりに、入学後の定期試験とかで成績が悪かったら、それ以上、その大学で勉強できない、っていうサドンデスシステムで考えてるから――」
ユーリ「うん? まあ、サッカーのサドンデスとはちょっと違うけど、要は、定期試験を受けて、何回か合格ラインに満たない点数を取ったら、退学する、っていうシステムにしようって話だよね。何回で退学になるかは大学側が決めることになると思うけど――」
天平「とにかく、無試験で入ったからってそのままずーっと自分が入った大学で勉強を続けられるとは限らない、っていうことにしないとな?」
ユーリ「そうしないと、誰でも東大とか京大とか慶応とか、有名な大学に入ろうとしちゃって、大学側が入学希望者に対応できなくなっちゃうし、実際に勉強が始まったときに、その大学の勉強についていけない人が続出しちゃうから、それじゃ、大学に行く意味がなくなるもんね」
天平「けど、だからって、定期試験に必要な回数を合格できなかったら、問答無用で退学にするってことにしなくても、『コイツは見込みがあるぞ。大器晩成型だから、今はまだ未熟だけど、少しずつ成長してきっと大物なる! それまでうちの大学で勉強させて、育てていきたい!』って思ってくれる先生がいたら、規定通りに退学させなくてもいいと思うけどな?」
ユーリ「それやると、知り合いの子供が、自分の教え子になった大学の先生が、その知り合いの子が定期試験に何度か落ちて退学しなくちゃいけなくなったのに、その子の親、つまり、先生の知り合いに頼まれて、知り合いの子のことを大器晩成だって言い張って大学に残れるようにしてあげるズル、っていうか、不正、が起きそうだけど?」
天平「んじゃ、在学以上退学未満状態っていう枠を作って、その枠に入った人は、小テストを受けたり、何か課題を提出したりして、ちゃんと成長してるかチェック受けて、そのチェックの結果、この大学でこの先やってくのは難しそうだな、って思われたら退学してもらう、みたいな決まりを作る?」
ユーリ「チェックの結果、これなら大丈夫、ってなったら、通常の学生と同じ扱いになればいいのか……。『勉強して来てない、あるいは、勉強ができない事情があったから、周囲のレベルに追いつけてないけど、多少は時間がかかっても、他の人がやってきた勉強と同じ内容を勉強することで、周囲のレベルに追いつける』っていう人もいるだろうし。そういう人が周囲に追いつけるまでフォローしてあげることも大事だよね。――どのみち、定期試験をパスしていっても、卒業試験に合格できるかどうかが問題なわけだし」
天平「だな? で、無試験で入学した大学で勉強を続けられなくなったら、そこの大学は辞めるけど、他の大学でならやっていけそうだったら、やっていけそうな大学に移るようにしてく。移るときに、前の大学でどういう勉強していたかを次の大学で評価してもらって移れるようにすると、前の大学での勉強がもったいないことにはならないし」
ユーリ「それか、また同じ大学でやり直す、留年、っていうのでもいいと思うけど? 無限に留年し続けていられるとその人のためにならないから回数制限すれば」
天平「留年できる回数は、一回とか二回とか、けっこう厳しめにいいのかもな? だって、試験を受けて入っている場合は、試験に受かるだけの実力のある人だから、何回か多めにその大学で勉強を続けるチャンスがあっていいと思うけど、無試験入学で入っている場合、その大学でやっていくのが難しい人かもしれないからさ?」
ユーリ「そうだね、他の大学に移って勉強してみて、そこの大学でやっていけそうなら、そこでやっていく方がしっかり勉強できるだろうし。合わないとこに居続けるより、自分に合う大学を探した方がいいよね?」
天平「そんで、大学を移る場合は、学費とかはさ、前の大学に払ったのに次の大学にも払わなきゃいけないなんてことにならないよう、うまいことしてもらうだろ? その辺のやりくりが難しそうだけど」
ユーリ「学費は――難しいね? その辺はまた考えるとして。大学を移るのって、無試験で入った大学で勉強しいくうちに論文を発表したりして、その論文を見たよその大学から自分の大学で研究しないか、って誘われて、別の大学に移るってこともあったりしてね?」
天平「そこからさらに発展させて、学生さんが、それぞれの大学にいながら、大学選抜チームに選ばれたりするっつーのはどう? 複数の大学から集められたメンバーで協力して何かの研究をしたりすんの。なんかすごいことできそうな気ィしない?」
ユーリ「それ、野球のオールスターゲームみたいだね? 研究内容によっては企業秘密と同じで、誰とでも研究内容を共有できないと思うけど――数学のこれまでに誰も証明できていない難題、みたいなのだったら、チームで研究もアリかもね? あ、でもそういう研究は一人でやった方がいいのかな? よくわかんないけど」
天平「ITに強い大学とか、科学実験に強い大学とか、大学によって特色があったりするだろうし。その特色のあるそれぞれの大学で学んだ学生が集まって協力していくことで、新しい発見があるかもしれないだろ? なんか、楽しそうだよな、チーム組んだりすんの。想像するとわくわくする」
ユーリ「うまくいけばいいけど、自分のせいでうまくいかないってなるとチームで研究するのつらいかもしれないけどね? ――選抜チームはともかく、大学を移るのだけど」
天平「ん?」
ユーリ「ほら、安全策っていうの? 無理めな大学に入学して周りのレベルについていけずに退学するより、自分の――学力のレベル、って言えばいいのかな? 『自分の学力レベルならこの大学だと余裕をもって勉強できるだろう』っていうとこに行って勉強しよう、ってパターンもあると思うんだよね?」
天平「ああ、そういうのなんて言うんだっけ? 鶏頭……じゃない、鶏口牛後? いや、トップにならなくてもいいんだろうけど。まあ、なんかそういうヤツね?」
ユーリ「それで、安全策をとって大学を選んだ人が、入学後に大学で勉強してたら、周囲の人よりずっと勉強ができたりするかもしれないと思うんだけど。そういう場合、その人のことをみていた大学の先生が、『君ならこの大学でやってけると思うから、そっちで勉強してみたら?』って薦めて、それで別の大学に移る、っていうこともあっていいのかも? って思って」
天平「おお。そうゆうパターンもあっていいよな! 大学の先生どうしのネットワーク! ――って、学生さんがあっちこっちの大学を行き来してたら、産業スパイみたいなことできそうだよな? そうゆうのって大丈夫なんかな?」
ユーリ「産業スパイ? ……あ、A大学の学生で、何かの研究に参加していた人が、B大学に移って、A大学の研究に参加していたときに手に入れた研究データをB大学の先生に売り渡しちゃうとか?」
天平「考えてみたら、やれそうじゃないか?」
ユーリ「それって、今現在でも、やろうと思えばやれちゃうんじゃ?」
天平「それもそうかも? ってことは、そういうことがないように、何か取り決めとかあるんかな?」
ユーリ「どうだろう?」
天平「まあ、なんとかなってるんだろうな?」
ユーリ「とりあえず――自分の勉強の手応えっていうか、自分がどれくらい勉強できているかに合わせて、大学を変更していけると、自分に合う大学に落ち着けるから、そこでしっかり勉強できるよね? きっと」
天平「そんで、自分に合った大学で、定期試験をパスしながら勉強を続けていっても、卒業試験に合格しないと大学を卒業できないわけよ。卒業試験がどういう内容なのかは大学によっていろいろ、バラエティに富んだものにして、単純に知識を問う『試験』が得意な人だけが合格できるものじゃなくて、日常の大学での勉強がしっかりできている人で、その力を大学側から認められている人だったら、試験用紙に名前を書くだけで合格できちゃったり? 自分が研究してきたものをまとめた論文、いわゆる『卒業論文』っていうヤツを卒業試験として評価します、っていうのでもいいと思うし?」
ユーリ「そうやって、無試験入学にすることで、そして、卒業試験に合格しないと卒業できないことにすることで、『どこの大学に入学したか』より、『どこの大学を卒業したか』が、評価されることになるわけで。そうなると、大学でどれだけ勉強したか、その人が大学で身につけた『実力』をしっかり認めてもらえることになるよね?」
天平「そうなったら、大学に入った人はすんごい勉強するだろうから、紗智姉みたいに『大学で得たものは友達だけ』なんてこと言う人いなくなるんじゃないか? ――いや、友達は大事だけどな?」
ユーリ「紗智子さん、大学入試の試験の仕方も問題視してたんだってね?」
天平「入試の仕方って、紗智姉が大学受験したときのやり方と、試験の仕方が変わるんだよな? 確か。昔はいくつかある選択肢の中から答えを選ぶだけだったけど、これからの試験だと、文章を書いて答えたりしなきゃいけなくなるんだろ? オレらからすると、自分で答えを書くのがふつうのテストっていう感覚だけど、オレら小学生のテストでも、文章の微妙な表現とかで『ここ、バツになってるけどマルでよくない?』っていうのあったりするわけだろ?」
ユーリ「選択肢の中から正解を選ぶのだったら、マルかバツかハッキリしてるからマルつけしやすそうだけどね? ふつうに文章で答え書いて、それをマルつけしてたら、オマケでマル、とか、惜しいけどバツとかあって、マルつけするのが難しそうだよね? 大学の入試ってすごくいっぱいの人が受けるみたいなのに、大丈夫なのかな? って、心配になるよ?」
天平「その辺の問題も、無試験入学にしちゃえばクリアするんだよなー」
ユーリ「そうだね。無試験なら試験そのものをしないから、マルつけだってしないわけだし……」
天平「紗智姉んときとやり方変えようってなったのは、選択肢から選ぶタイプの試験だと、与えられた問題を解く技術を磨くための試験になりかねないっつーか? なんつーか、コンピュータの性能を査定するような試験になっちゃってたけど、それより、AIが学習能力でどれくらい思考する力を身につけたかを査定するような試験がいいっつーか? その人がどういう解き方をしたかとか、自分で考える力を持ってるかとか、その人が持っている一部じゃない全部の力を推しはかれるような、もっと一人ひとりの個性がわかるような、そういう試験にしたい、みたいな思いがあったからだと思うんだけど――」
ユーリ「うん?」
天平「そんなん、選択肢から選ぶやり方に文章で書く記述型の問題をとっつけたくらいでわかるもんなんかな? って思う。もちろん、やらないよりは分かると思うけど。けどそれより、一人ひとりの力を測るためには、ちょっと長い目で、一人ひとりをじっくり見ていかないと、そうしないとその人がどういう力を持っているかなんてわからないと思うんだよな?」
ユーリ「一人ひとりの力を見ていこうとしたら大変だよね……。結局、大学の入学試験って、試験で高得点をとることが大事なわけじゃなくて、そこの大学で勉強するのに向いた人かどうかがわかることが大事だと思うから。その大学で勉強していけるかどうか一番よくわかるのは、実際にその大学で勉強してみるのがいいわけで。試験して入学する人を決めるより、実際に勉強してみて、合わない人がやめていく方が、わかるよね? きっと」
天平「わかるよな? そっちの方が。だから、無試験で入学させて、大学の中で勉強していく様子を見て、その人の持つ力を見ていけばいいわけでさ?」
ユーリ「ただ、だからって、例えば、名前とか雰囲気だけで大学選んで、そこで勉強して、あっさり定期試験に落ちて、よその大学に移る、っていうのをやってたら、それはよくないと思うよね? だから、実際に大学に進学する前に、ある程度、自分に合った大学かどうかわかるようになってないといけないと思うわけで」
天平「そこで、大学の授業――えっと、大学の授業のことは『講義』っつーんだよな? それを疑似体験できるといいんじゃないか、と。そのために、大学の講義の内容をシナリオっぽく紹介する文書を作ればいいんじゃないかと思ったんだけど――そういうのじゃダメなんかな?」
ユーリ「僕は悪くないアイディアだと思うよ? 実際にいろんな大学の講義を受けてみようと思っても、それって、本当の大学に行って体験入学しようとしたら、大学に行くだけでも大変だろうし、オンラインで講義を受けてみようとしても、ライブだと時間合わせるの大変だったりするかもしれないし……録画されたものを見る?」
天平「録画されたものだと講義の時間と丸々同じ時間を使って講義内容を確認することになるよな? その点、先生が『今日はこういうことを勉強します』っつって、あーだこーだ学生さんたちに話している内容を、ぜんぶ書いていって、学生さんが質問したら、学生Aの質問ってことでその人が質問した内容を書いていって、それに先生がどう答えたか書いていって……ってカンジで、講義の内容を丸々、文章に起こして紹介するようにしたら、大学への進学を考えている人はいつでも好きなときに、どこの大学ではどんな講義をしているか、チェックできるよな? 講義内容を文書にしたものは、本にして図書館や高校に配ったり、ネットに載せたりして、誰でも読めるようにしとけばいいし」
ユーリ「それぞれの大学の講義を、文章を読むことで疑似体験するカンジ? 自分もその講義で教えを受ける学生の一人になったつもりで読んでいったら、『え? こうなってこうなって、それでなんでこうなるって話になるの?』とか、『学生Cさん、この説明で先生がなんて言ってるかわかるんだ?』とか、『この話をするなら、もっとここらへんを掘り下げて話した方がいいと思うけど、ここの大学ではそこまでやらないんだな』とか、どこの大学ではどんな講義がされているか、わかりそうだよね?」
天平「そういうやり方で、行きたい大学見つけた方がいいと思うけどな? オレは。もちろん、企業秘密な講義を文書にする必要はないわけで、公開用の講義を文書にすればいいと思うんだけど。ま、他にもなんかいいやり方があればさ、他のやり方でもいいし」
ユーリ「どの大学ではどんなカンジの実験をやる傾向にあるかとか、そういう情報も公開されてるといいよね?」
天平「ああ、理系の大学を舞台にしたミステリー小説では、大学で大掛かりな装置を使った実験やってたりもしたけど。ちょっと言い方はよくないけど、そういう派手なのもあれば、毎日こまかい確認作業を繰り返し繰り返しやってるだけの、地味な実験やってたりもするんだよな? ドラマで言ってたヤツとか」
ユーリ「そう。それで、地道な実験をこなせるかどうかって、学力だけじゃなくて、根気があるかどうか、丁寧に作業できるかどうか、性格的な適性も必要だと思うけど。問題を解いて答えを答案用紙に書きこむ筆記試験だけじゃ、適性までわからないと思うから。大学での研究に向いているのに筆記試験で落とされて研究できない人とかが、無試験入学にすることで、大学で研究するチャンスできそうだな、って。そこもいいんじゃないかな、って」
天平「そだな。だから、『こんなカンジで、ちまちまっとした実験をマジですんげーやってますよ』っつー情報が公開されてると、『うおぉぉぉ! コレ、やりてぇ!』って思う人がその大学に入学して、地道な実験を重ねていった果てに何かすんごいことを大発見しちゃって、世界的な研究者になっちゃうかもしんないよな!」
ユーリ「ちまちまって……」
天平「ちまちまはちまちま? んっと、何かを顕微鏡で見ようと思ったらプレパラート作らなきゃいけないけど、あの作業もちまちまっとしてないか? いや、料理も、ちまちまっとしたことやることあるけどな? ちまちまって『ちまちま』だろ? ん? コマゴマ?」
ユーリ「うん、わかった。ちまちまね。――そうだね、好きな人はいるよね、きっと。僕は細かい作業しばらくやってたら、わーってなっちゃいそうだけどね」
天平「――という人もいるから、適性って大事なわけだろ? なんつーか、一日十何時間も勉強して苦労して大学入ったのに、『こんなちまちまやってられっか!』みたくなる人いたら、かわいそうだし。なんか思ってたのと違ってた、とか、そういうの、あんまりないようにできた方がよくない?」
ユーリ「そうだね。実際にやってみたら意外とできなかったとか、自分に合ってると思ってたけどそうでもなかったとか、そういうのは、なんにでもあると思うけど。前情報は大事だよね。ゲームだって、クチコミとかマンガの雑誌の特集とかネットやテレビとか、何かで、どんなゲームなのか紹介されてて、そういうのでどういうゲームか知って『これおもしろそうだな』って思わないと、おこづかい貯めて買わないだろうな、って思うし」
天平「事前に……一つの大学に学生になる人が集中しすぎちゃわないように、入学が始まるまでに、事前に入学希望者に、どこの大学を希望するか集計をとっとく必要はあるよな?」
ユーリ「大学が受け入れきれないような人数が集まるようなことになったらどうするかとかは、対策考えないといけないよね?」
天平「幼稚園は確か、プレ入園とかやってるとこあるけどな?」
ユーリ「プレ入園?」
天平「お試し? 体験入学的な?」
ユーリ「大学もお試し入学できるなら、それが一番いいと思うけど……オープンキャンパスって聞くけど、アレって学校の中を見学するだけじゃなくて、講義も体験できる場合あるんじゃないっけ?」
天平「そうなん? だったらそれやるのが一番いい? けど、実際に遠方の大学に行って講義を受けてみたり、校舎やら設備やらを見て回ったりするのは、新型ウィルスの問題がなくても、誰にでもできることじゃないと思うんだよな? 行きたい大学が自宅から近ければいいけど――遠いとこだと交通費や宿泊費かかるだろ?」
ユーリ「これからはVRで、大学のキャンパス見学はできるかもよ?」
天平「そっか、それはできたらいいよな」
ユーリ「建物だけじゃなくて、大学の日常風景とか見ることができたら、いくつか見てみるうちに、ピンとくる大学が見つかるかもしれないね? そこに通っている学生さんの様子も見ることができたら、学生さんの雰囲気に自分と通じるものがあるか、逆に、ちょっと合わなさそう、とか感じるかも? そういうのも、大学を選ぶ参考になるのかもね?」
天平「あとは、新型ウィルスの感染問題が落ち着いてからになると思うけど、都市部の大学で勉強している学生さんが、地方の実家に帰省したときとかに、地方の、地元の高校とかで、自分の大学のことを紹介してくれるようなサービスやってもらえるといいかも? それだと、その大学にいる先輩と話をすることができるわけだから、いろんな先輩と話をして、ここの大学だと、こんなカンジで話ができる人がいるんだな、みたいな? そうゆうのわかるかも?」
ユーリ「同じ大学の人でも、人によって大学の印象が変わるだろうから、一つの大学に対して、複数の大学生の人の話が聞けるといいよね?」
天平「だったら、学生さんが帰省したときとかじゃなくても、オンラインで大学生や大学の先生とかから話を聞けるようなサービスがあるといいのかも? いつでも話が聞けるっていうのじゃなくて、誰か手の空いた人が出て相手してくれる、みたいなカンジで?」
ユーリ「そうやって自分で、自分がどの大学で勉強するか決めて、実際に入学して勉強してみて、その大学の勉強についていけなかったり、何かが合わなかったりしたら、他の大学に移ったりするようにして。定期試験の成績や大学での日常の学習力、卒業試験とかで、しっかり勉強ができてる人だけ大学を卒業できるようにしたら――すごくしっかり勉強しなくちゃいけなくなるだろうから、大学生は、大学生をやっていくの大変そうだけど。けど、『大学』って、なんかすごいところになりそう」
天平「無試験だと、最初は入学希望者が多いとこと少ないとこと、偏りができてしまうかもしれないけど。無試験で入学できるって言っても、入学後に勉強についていけないと大学辞めるかよそに移ることになって大変なんで、たいていの人は自分の学力に見合った大学に入学しようとするようになると思うから、一つの大学に入学希望者が集中することにならずにすんで、無試験入学でも、うまいことやってけると思うんだよな? ――まあ、実際に無試験にするためには調整していくこといっぱいで時間かかるだろうけど」
ユーリ「時間はかかるだろうけど、無試験入学制度にすると、大学を卒業した人は『大学ではいっぱい勉強したよ』って言うようになりそうだよね。――あっ。えっと、今もちゃんと勉強している人は勉強しているんだろうけどね? 紗智子さんが世界基準じゃないから。だから、なんていうか、無試験入学の方が、本当に勉強したい人がしっかり勉強する環境ができそうっていうか、ね?」
天平「本当に勉強したい人がしっかり勉強するっつーと、『聴講生』っていうのもあるんだよな? 大学の講義の中から自分が聞きたい講義だけ聞きに行って、先生に質問したり、勉強できるっていう制度。そういうので勉強する人ももっと増えてって、社会人になってからでも、おじいさんおばあさんになってからでも、勉強したい人が勉強したいとこを気軽に勉強できるといいと思う」
ユーリ「それだと、専門学校を卒業して仕事をしている人が、もっと専門的なことを知りたいときに、聴講生になって、働きながら勉強を深めることもできるかもしれないね?」
天平「オレたちみたいな小学生でも、自分が受けたい講義があったら受けられるかも? 何かにハマって、すごい研究している小学生や中学生っているもんな?」
ユーリ「それはいいけど、大学で講義やってる時間帯って、小学校もやってない? 小学校サボって大学の講義を聴講するってわけにはいかないんじゃ?」
天平「あ、そうだ。んー、あ、大学だと昼間だけじゃなくて、夜の部やってるとこもあるだろ? 夜の部の講義だったら聴講できる……?」
ユーリ「夜遅くまで塾に通う小学生はいるから、夜に聴講するっていうのもなくはないのかもしれないけど……小学生が大学に夜行って勉強するのはちょっと大変かな?」
天平「あ。アレは? 分身ロボット!」
ユーリ「分身ロボットって、あの白くて二頭身くらいの? AIを搭載しているんじゃなくて、人間の脳を搭載しているようなものっていうか……人型のパソコン使ってオンライン通信するようなヤツだよね? 遠隔操作型ロボット」
天平「あの分身ロボットを大学の教室に一体か二体か何体か置いとけばさあ? 一つの講義を受ける間は、例えばオレがロボットAを使って講義を受けて、次の講義のときは、ユーリがロボットAを使う、って具合に、一体のロボットを使いまわすっていうか、聴講生が代わる代わるロボットに憑依して講義を受ける、っていうことができるかも?」
ユーリ「それだと、大学へ通うのが大変な身障者の人や寝たきりの高齢者も、大学で勉強しやすくなりそうだね? 聴講生に限らず、フルで勉強する大学生でも分身ロボット使えたらいいと思う」
天平「そだな。大学側が用意できるロボットの数は限られるだろうから、聴講生が使う場合は何日の何時から何時まで使いたいです、ってことで予約制でやってって。フルで勉強する大学生の場合や、聴講したいけど予約がなかなか取れないんで自分でロボット用意しますって人の場合は、自分専用のロボットを大学に置かせてもらうとかして、レンタル費用に補助が出ます、とかさ?」
ユーリ「そうやって聴講できると、学びたい人はうれしいよね。――そう言えば、九大はオープンユニバーシティやってるって」
天平「オープンユニバーシティ? それって、オープンキャンパスとは違うわけ?」
ユーリ「おじいちゃんの知り合いが話題にしてたのを小耳にはさんだだけだから、僕もよく知らないんだけど。年齢を問わず、誰でも学びたい人は年会費を払えば講義を受けられるサービス、ってことみたいなんだけどね? 出張授業やってくれたり、オンラインで大学の先生に知りたいことについて教えてもらえたりするみたいだよ?」
天平「年会費っていうの、おもしろいな。――大学をオープンにしていくんなら、大学生用のフリーパスがあって、いろんな大学の図書館の本や資料を閲覧することができる、とかさ? そういうサービスも楽しそうだよな」
ユーリ「いろんな取り組みで、学びたい人が学べるようになっていけば。学問の追及をしたり、実験したり、研究したり、技術を開発したりするのが、日本の大学で活発になっていきそうだよね?」
天平「――と思うんだけどな?」
ユーリ「そうなったら、海外から日本の大学に留学しに来てくれる人も増えて、日本の大学での研究がもっと盛んになるかもしれないよね? ――しばらくは新型ウィルスのせいで日本人が海外に留学したり、海外の人が日本に留学したりするのは難しくなると思うけど」
天平「そうなってくると、大学と企業のコラボ企画とか、共同研究とかも増えていくかもしんないだろ? そしたら企業から大学が研究費をもらえて、しっかり研究していけるようになるかもしれないし? 大学が企業とコラボして作った商品がバカ売れしたり、研究してわかったこととかを元に大学自体が特許を取ったりして、大学がお金稼ぐようになったら、大学で勉強する人の学費を無料にできるかもしれない? それどころか、大学で勉強する学生さんは大学から給料がもらえるようになったりしてな?」
ユーリ「大学は研究費がいっぱい必要だろうから、さすがに学生さんにお給料を払うってとこまでやるのはちょっと難しいと思うけど――あ、でも、大学で研究している人って、大学の先生でも、生活できるだけお金をもらえてない人がいるんだってね? それで、生活が苦しくて自殺した人もいるって――」
天平「問題だよな、研究者の貧困って。子供の貧困もヤバいけど。今は新型ウィルスのせいで大学生の人たちもアルバイト減っちゃって大変そうだけど。――貧困問題はマジでなんとか考えないとな。別に贅沢なんかしなくていいんだから。『貧困』でさえなければ」
ユーリ「『格差問題』じゃなくて『最低水準問題』だよね」
天平「だから、大学生の全員が給料もらえたり、学費無料にしてもらえたり、っていうのはさすがに無理だと思うけど、大学生っていうか大学院生とか? 研究者レベルの人に関しては、公務員みたいな扱いっていうか? 贅沢はできなくても、研究しながら生活していけるくらいの支援はしていかないと、研究なんてやってらんないやん! って思うし。研究って進んでいかないんじゃないかと思うんだよな?」
ユーリ「そうだねぇ……。あ。お給料って、ほら、農業会社式で。廃棄野菜とかフードロス食材の現物支給でもいいのかもね? 服とかも、廃棄扱いのロス品を、研究者向けに安く販売したりとか? サポートができればいいわけだよね?」
天平「そんで。研究するより働きたい人は、働くために必要な勉強を専門学校で勉強したり、実際に働きながら実地で勉強したりするのがふつう、ってカンジになると、もっと自由に仕事選んで自由に働けるようになる……ような気がする。っつか、紗智姉みたいに『大学で得たものは友達だけ』なんてこと言う人いなくなるんじゃないか? ――いや、友達は大事だけどな?」
ユーリ「友達は大事だけどね?」
天平「友達は大事」
読んでいただいてありがとうございました。