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パウルを召喚した後に、俺はパウルに俺と同じ様にフードを被せて皆に付いていく様に指示を出す。

パウルは俺の指示に返事をすると、リーゼロッテ先生が先導して旧校舎から出て行った。

俺はその後ろ姿を手を振りながら見送った後、すぐに行動を開始する。

アンジェの指輪をまた取り出して、首から下げて走り出す。

周りの生徒も教師も気にしないで魔法学院を走り抜け、レベルデン王国の街も走ってどんどん進んでいく。

そうして冒険者ギルドに着くと、まだ朝が早いからか人は多くは無い。

ここで生徒達を待っていれば、依頼を受けた生徒達をこっそりと見る事が出来るな。

俺はそう思いつつ、そういえば先日この冒険者ギルドに用事があったエルヴァンとアンリは依頼を完了できたのだろうかと、少し考えてしまう。

依頼を達成できた可能性が高いが、それでも向こうも生きている生物だ。

予想できない事態に陥っていなければ良いのだが。

俺がそう心配しながら冒険者ギルドの側に潜んでいると、


「はぁ~ねみぃ…」

「ふあぁ…」

「気が抜けている。今日は討伐の依頼を受けるのだろう。クラス対抗戦の前に怪我などしたら、A組として恥だ」

「まぁまぁ、ジェス君。2人共昨日も頑張ってたんだから、多めに見てあげようよ」


4人パーティーの生徒達がそう言い合いながら冒険者ギルドにやって来るのが見えた。

今、A組って言っていたな。

俺がそう思っていると、A組のパーティーが冒険者ギルドに入っていく。

ここで待って、彼らの依頼をこそっと付いていくか。

俺はそう思い、彼らが冒険者ギルドを出発するのを外で待つ。

少しすると、彼らは冒険者ギルドに来た時とは違って真面目な顔つきになり、緊張感を漂わせている。

流石に、冒険者ギルドの依頼となれば真剣に受けるようだな。

俺はそんな事を考えながら、歩いている彼らの後を付いて行く。

G組がいつも練習している場所ではなく、別の検問所から出国すると彼らは杖を取り出して警戒しながら歩き出す。

ここで思った事は、他のクラスとは違いしっかりと警戒している。

他のクラスの生徒達は慢心している所為で結構隙があるが、A組の生徒達はしっかりと各々の警戒をしっかりと行っている。

それにしても、討伐の依頼と言っていたが何の討伐依頼を受けたのだろうか?

見た感じは少し背が高い草が生い茂っている草原だが、特に討伐をわざわざ依頼される様なモンスターはいない様に感じる。

俺はそう思っていても、前を歩くA組の生徒達は身を屈めて足音を出さない様に静かに歩いていく。

すると、姿は見えないが草むらに何かいるのを察知する。

……近寄ってくるスピードから考えて、警戒しながら襲い掛かろうとしているウルフだと推測する。

自分達の姿が見えないこの草むらでの狩り、「UFO」のウルフよりも知恵を活かしている様に感じる。

俺はそう思いつつ、未だにウルフの接近に気づいていない生徒達を見る。

距離にして5mくらいまで縮んで来ている。

下手をすれば怪我をしてしまう可能性もあるのではないだろうか?

その瞬間、ウルフの一頭が一気に駆けA組のパーティーに襲いかかった。

だが、


「攻守を刻め、オールストライクシールド」


女生徒の一節詠唱の補助魔法により、ウルフの牙が男子生徒の肌に突き刺さる事は無かった。

オールストライクシールド、補助魔法の中級派生の魔法だ。

一定の時間、攻撃力と防御力を上げる魔法か。

なかなか厄介な魔法使いがいたものだ。

それにしても、魔法攻撃力を上げないのは大丈夫なのだろうか?

俺がそう思っていると、


「フレイムランス!」


ウルフに奇襲された男子生徒が、無詠唱で魔法を繰り出す。

おいおい、こんな草が生い茂っている所で火魔法を使うのか…。

俺がそう思っていると、想像していた以上の大きさの炎の槍が出現する。

おそらく消費した魔力が大きいのだろう。

俺がそう分析していると、炎の槍の所為で草むらに火が引火し始めた…。


「何やってるんだこの馬鹿!ウォーターシールド!」


パーティーのクール系の男子生徒がフレイムランスを発動させた男子生徒に声を荒げ、水魔法の範囲魔法で、消火を開始する。

基本的にソロプレイが当たり前だった俺が言うのもアレだが、チームワークが無さすぎる気がするな。

魔法の威力は完璧だ、それはやはり魔法学院の優秀生だからだろう。

クラス対抗戦の内容によるが、G組の生徒達でもA組の生徒には十分に対抗できる力が備わっている。

個々の力を高める事も重要だが、生徒同士のチームワークも重要になるな。

俺がそう思っている内に、フレイムランスを発動させた男子生徒がウルフを倒す。

いくらモンスターと言っても獣だ、炎を見た途端に他のウルフ達が引き下がったのを察知した。

そして奇襲をしたウルフが倒されると、諦めたのか我先にとどんどん逃げて行った。

ウルフの討伐が依頼だったのなら、一匹では完了にならないだろう。

…毎回、この惨事になるのだろうか?

俺はそう思いながら、半径およそ3mまで焼けてしまった草むらを見る…。

消火が間に合って本当に良かった…。

俺が安心していると、


「この馬鹿が!いつもいつも周りの事を気にしろと言っているだろう!」

「うるせぇ!倒せたんだから良いじゃねえか!」


男子生徒達が争いを始めてしまう。

そう言えば、何もしていない人がいるな。

魔法を使っている訳でも無さそうだし、こうなったら彼の魔法を使っている姿を見てから退散しようと考える。

俺がそう考えていると、


「そ、それより目的のトロールの縄張りを探そ?」


女子生徒が慌てて男子生徒2人の言い合いを制止する。

女子生徒にそう言われた2人の男子生徒は、女子生徒の発言を聞いて互いに顔を見ないで歩き出してしまう。

そんな2人の様子に苦笑して付いて行く女子生徒と、特に何も言わず何も行動しなかった男子生徒が少し遅れて歩き出す。

…トロールの縄張りを探すと言っていたから、目的はトロールの討伐だろう。

となると、トロールとの戦いに魔力を温存しているのだろうか?

俺はただ静かに歩いている男子生徒を見つつ、彼らの後に付いて行く。


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