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89頁

今日からはリーゼロッテ先生の許可ももらったし、厳しめに練習頑張るか。

俺が今日の魔法の練習をメニューを考えていると、そういえば昨日尾行していた生徒達はあの後どうしたのだろうかと少し気になる。

レストランに入る瞬間までは気配と視線を感じていたが、食事が終わりレストランを出る時には何も感じる事は無かった。

大人しく家に帰ったのだろうか?

それとも粘っていたが、俺達が出てくるのが遅くて渋々帰ったのだろうか?

俺がそう考えながら魔法学院に入ると、相変わらず嫌な視線を感じる。

こう思うと、まだここに来て数日の俺がこうやって笑われているんだ。

リーゼロッテ先生や生徒達は、もっと嫌な目にあってきたんだろう。

やはり、多少無理をさせてでも彼らにはこの学院の最強の魔法使いになってもらいたいものだ。

俺は決意を更に固め、G組の教室へと歩いていく。

そうして今日も、リーゼロッテ先生のお陰で練習場を借りる事が出来た俺達G組は、練習場へ来たのだが…。


「「………」」


練習場へ来た俺とリーゼロッテ先生、そして生徒達は練習場の様子を見て憂鬱な気持ちになった。

リーゼロッテ先生や生徒の気持ちは俺にはまだ分からないと思うが、おそらく今は完全に俺と同じ気持ちであろう。

その理由は、


「チッ…」

「G組の連中が御大層に練習場なんか使うんじゃねえよ」


他のクラスの生徒達が、すでに練習場の半分を使っていたからだ。

こうなってしまうと、面積は狭いし何より彼らの魔法に重要な集中を邪魔されてしまう。

どうしたものか、折角リーゼロッテ先生が許可を貰った練習場だが、今日は別の所で練習した方が良い様な気がする。

何より、敵クラスに今のG組の得意魔法と戦力を見られるのは得策では無い。

そこから対抗策などを練られるのは良くない。

俺はそう思うと、


「今日は外で魔法の練習をしましょうか?」


隣にいるリーゼロッテ先生と、後ろにいた生徒達に向かってそう声を掛けた。

他の生徒がいる環境で魔法の練習を避けたいのは俺だけの可能性もある故、まずは生徒達の気持ちを聞いてみるしかないだろう。

俺がそう思って質問をすると、


「そうですね。妨害などされたら面倒な事になりますから、今日は諦めて外に行きましょうか」


リーゼロッテ先生が俺と同じ意見を言ってくれる。

後ろの生徒達を見ると、彼らも特に文句は無いのか俺が視線を向けると頷いてくれる。

そうして練習場を後にしようと振り返って歩き出そうとした瞬間、


「おやこれはリーゼロッテ先生、ここに何の用ですかね?」


少し年老いた男性が、ニヤニヤと笑いながらリーゼロッテ先生に声を掛けた。


「…おはようございますクーダ先生。今日はB組全員で練習ですか?」


表情を顰めながら挨拶を返すリーゼロッテ先生を見て、この男性と良好な環形を築けていないのが分かる。

俺がそう思って2人の先生を見ていると、


「G組の生徒と違い、うちの生徒は優秀な生徒ばかりですからなぁ。それぞれがより良い環境で魔法に集中できるのなら、全員が集まる必要もありませんよ。まぁ、今回のクラス対抗戦には少し力を入れるので、わざわざ時間を調整してもらったんですがね」


クーダ先生が、笑顔でG組の生徒を馬鹿にした発言をする。

おそらく、今回のクラス対抗戦に力を入れるというのも、G組の事を知っているからだろう。

俺がそう思っていると、


「ん?隣の方は…誰ですかな?」


クーダ先生が俺の事を見てそう聞いてきた。

すると、


「彼は私が個人で契約した教師です。G組で私と一緒に、生徒達に魔法を教えてくださっています」


リーゼロッテ先生が、俺が声を出す前に紹介をしてくれた。

わざわざ自己紹介する手間が省けたと思いながら、俺は軽く頭を下げる。


「1人増えた所で、結果は変わらないと思いますがね」


クーダ先生はそう言うと、大きな声でB組の生徒達に号令を出す。

俺は特に思う事が無くその場を立ち去ろうとすると、G組の生徒達の表情が悔しそうな顔をしている。

そこまで気にしなくてもいいと思うのだが。

そう思いながら俺が先頭で練習場を後にし、最初の練習と同じ様にレベルデン王国を出て少しした所でパウルを召還する。

パウルを召還すると、昨日とは違ってパウルの外見に慣れたのか生徒の皆がパウルに魔法を放つ。

それをパウルは華麗に避け、生徒達は声を出し合い魔法で助け合って攻撃の手を止めない。

リーゼロッテ先生がどうかしなくても、今の状況は良い方だと俺は思っている。

それにしても、魔法の事を座学で勉強するのと実際に放つ実技の練習って、日本でいう座学の勉強と体育って感じだな。

つまり皆、これからクラス対抗戦まではほとんど体育の授業ということだ。

そう考えると、結構可哀想な気がしてきた。

そうして1日中魔法の練習をし、パウルは生徒達と少し打ち解けたようだった。

女生徒達もパウルの顔を見るのはまだ駄目そうだが、顔を見なければ結構話せるようになったと思う。

パウルも俺以外の人と話せる事が嬉しいのか、返事で出している唸り声が明るい様に聞こえる。

それにしても、俺はやる事がほとんど無くなってしまったな。

リーゼロッテ先生に魔法の精度を上げてもらう説明を生徒にしてもらい、パウルに生徒達の攻撃の的になってもらう。

完全にやる事が亡くなってしまった。

どうしよう、このままじゃ仕事をしていないから給金が下げられてしまうかもしれない。

俺はそう思い、


「すみませんリーゼロッテ先生。少し席を外しますが大丈夫でしょうか?」


リーゼロッテ先生にそう声をかけると、生徒に魔法の詠唱を省略するテクニックやらコツを教えていたリーゼロッテ先生がパウルを見て、


「構いませんけど、パウルさんは大丈夫ですか?」


そう心配そうな声を出す。

俺はその言葉に頷きつつ、少し離れた所で魔法を避けまくるパウルに、


「パウル!少し俺はここから離れるが、彼女の指示に従ってくれ!」


そう指示を出すと、パウルは片手を挙げて返事をする。


「後はお願いします」


俺はリーゼロッテ先生にそうお願いをすると、レベルデン王国へと戻る。

これから、敵クラスの状況を確認しに行くのだ。


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