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この空間の外が変わっただと?

そんな事まで分かるのかセシリアは。

俺がそう思っていると、


「この空間との繋がりが明らかにおかしいです。早急に対処をする事を提案します」


セシリアがそう言ってくる。

そうか、彼女はこの家と判別してある空間との繋がりに異常を感じ取ったからそう言ったのか。

つまり彼女にも、ここから外の空間は何が起きているのか分かっていないのだろう。


「分かった。すぐに出る」


俺がそう言って首に下げている本を開こうとすると、


「お待ち下さいヴァルダ様」


シェーファが真剣な表情をして俺に声を掛けてくる。


「どうしたシェーファ?」

「はい。我らが主であるヴァルダ様でも、もしもの事を思案した上で警護を連れた方がよろしいと思います。どうか人選を」


シェーファはそう言うと、片膝を塔の床に付けて頭を下げる。

確かに、シェーファの意見は正しい。

今は何が起きているのか分かっていない状態なのだ。

警戒は十分にした方が良いだろう。


「シェーファの意見が正しいな。…セシリア」

「はい」


俺がセシリアに声を掛けると、彼女は短く挨拶をする。


「アンリを呼んできてくれ」

「すぐに」


セシリアは俺の指示を聞くと、すぅーと消えて姿が見えなくなる。

少しすると、


「お呼びでしょうかヴァルダ様」


セシリアに頼んで呼んで来て貰ったアンリが俺の元にやって来る。

アンリは幼い容姿をしているが、これでも吸血鬼なので高齢だったはずだ。

性別は男なのだが中性的で少女に間違われてもおかしくない容姿をしている。

そんな容姿が、更に幼さを感じさせる。

しかし、その強力なスキルは侮ってはいけない。

魔法攻撃を得意としており、更に吸血を行う事で一時的にではあるが眷属にする事が出来る。

もしこれから外を出た時に敵に囲まれていたらと考えると、彼の魔法攻撃は範囲的に攻撃をする事で優位に動く事が出来る。

それに吸血を行って眷属にすれば、情報を引き出す事も可能だ。

ただし、敵の強さが判明してないのが厄介だな。

今の現状を考えるなら、俺は「UFO」のヴァルダ・ビステル本人だ。

つまりヴァルダのレベルが俺の力のはず。

相手がいた場合、どれくらいの強さなのか警戒しなければ…。

俺はそう考えながら、


「では、少しだけ偵察をしてくる。シェーファとセシリアに塔の管理、警戒を任せる」


シェーファにそう言うと、


「お任せ下さい」

「はい」


シェーファといつの間にか現れたセシリアが返事をする。

さて、そう言ったは良いものの…。

俺は緊張しながら本の中の世界(ワールドブック)を開く。

案の定、今まで慣れていたゲームの様な画面は出て来ない。

どうすれば良いのだろう…。

確か画面では、


「…帰還」


俺がゲームをしていた時の事を思い出しながらそう呟くと、自分の目の前に黒いモノが現れる。

黒いモノを見ると、何やらグニャグニャとしていて触っても良いものなのかと警戒してしまうが、ここで躓いていたら何が起きても駄目だと思い、意を決して黒いモノに向かって歩き出す。

そして黒いモノをくぐり抜けた瞬間、今まで塔の中の景色だった周囲が緑鮮やかな木々に囲まれた空間になる。

見た感じ、「UFO」にあった場所では無い。

ここどこ?

俺がそう思っていると、


「どうでしょうかヴァルダ様?」


後ろから声を掛けられる。

見ると、アンリが黒いモノから出て来ながら周囲を警戒する。


「見た感じでは危険性はなさそうだ。だが、ここがどこなのかは分からない。アンリに心当たりは?」


俺がそう質問をすると、


「申し訳ありません。僕も分かりません」


アンリがそう言って頭を下げようとする。

だが、


「頭を下げなくて良い。アンリと同じで俺も分からないんだからな」


俺はアンリの行動を先に止める。

俺も分かっていないのだ、アンリに謝らせるのはおかしい。

俺はそう思いながら、とりあえず周囲を警戒しつつ歩き出す。

森は木々や草が生え育っており、人が歩いた様な形跡もない。

あるのは人の足よりももっと大きいサイズの足跡であり、人では無い何かがここにいるのだけは分かる。


「アンリ、ひとまず塔へ戻っておけ。俺は少し実験をしないといけないから」


俺がアンリにそう言うと、


「で、ですがそれではヴァルダ様の身が!」


アンリが俺にそう言ってくる。

シェーファが言っていた事も分かるが、今俺がやらないといけないのは召喚士サモナーでは出来ない事だ。


「問題はない。周囲に敵の気配は感じ取れないのと、罠の様な物もない事を見ると安全だと判断した」


俺がそう言うと、


「…分かりました。では僕は塔の外がどうなっていたかの説明をしに一旦戻ります」


アンリは俺に一礼をしてから光の粒子になって本の中の世界(ワールドブック)の中へ吸収される。


「さて、とりあえず色々と試してみるか。クラスチェンジ・錬金術師アルケミスト


俺はスキルを使って錬金術師アルケミストになると、近くに生えている木に手を当てる。


「鑑定」


俺がスキル発動すると、木の情報が頭の中に入ってくる。


「…「UFO」にもあった木だな。でもこんなマップは知らないぞ」


俺はそう呟きながら、歩き出す。

…見た感じではただの森だが、こんなに静かなのか?

俺はあまりにも静かな森に警戒心を強くする。

シェーファ達がいるという事は、モンスターに遭遇する可能性だってあるのに。

俺がそう思っていると、少し開けた空間が先の方に見える。

俺はなるべく身を屈めて音を出さない様に近づいて行くと、そこには柵で囲まれた建物がいくつか見えた。

門と言う程立派ではないが、柵が開いている所には俺と同い年くらいの青年と20代後半か30代前半の男が門番の様に立っている。

2人共腰辺りに帯剣している。

何かを話している様子ではあるのだが、声は流石に聞き取れない…。


「とりあえず人がいるだけ良かった…。だが、どうやって近づいたものか…」


俺はそう思って地面に座る。

ここで俺が友好的に彼らに会っても、向こうが警戒してくるのは当然だ。

なるべくだったら友好的な関係でいたいのだが…。

俺はそう思いながら、更に頭をフル回転させて考える。


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