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一クラス何人いるのかは俺には分からないが、3人で安心するような状況って相当マズいんではないだろうか?

俺がそう思っていると、


「今日は、他の皆は練習場ですか?」


教室内に入りながら中にいる3人の生徒にそう質問する声が聞こえる。

…あれ、俺ってどうすれば良いのだろう?

俺がそう思っていると、


「いえ、今日は皆もう帰りましたよ。残っている私達も、もう帰るところです」


教室内から聞こえてくる声に、俺は少し安心する。

3人は放課後に用事で残っていただけで、ちゃんと授業には他の生徒がいるんだな。

最初は学級崩壊しているのかとビビっていたが、これなら何とかなりそうだ。

俺がそう思っていると、


「では、先に少し紹介しましょう。……あれ?ヴァルダさん?」


教室内からそんな声が聞こえて、続いて扉からリーゼロッテさんの顔が出てきて俺の事を見つけると、手のこっちに来いと振ってくる。

俺はそれに従って教室内に入ると、


「…誰でしょうか?」

「もしかして、リーゼロッテ先生の…」

「……??」


教室内にいた3人がそれぞれが俺の事を何とも言えない微妙な目つきでそう言ってくる。

それにしても、同い年くらいだな。

俺は生徒の様子を見てそう考える。

すると、


「こちらはヴァルダさんです。明日から私と一緒に皆さんに臨時で魔法を教えて下さる事になりました」


リーゼロッテさんが俺の事をそう紹介してくれる。

すると、


「魔法を教えて下さるって言いますけど、どこの貴族の方なんですか?」


リーゼロッテさんの言葉を聞いた女生徒の1人が、手を挙げて俺にそう質問してきた。

俺はその言葉に、


「いえ、俺は貴族では無いです」


そう答えると、女生徒は少し目つきが鋭くなる。


「リーゼロッテ先生、いつものドジッ子なら良いのですが、本当にこの人に魔法をご教授して貰おうと思っているのですか?」


女生徒がそう言うと、


「…ドジッ子では無いですよ。…えぇ、レナーテさんもご存知の通り、今の環境では私の力量不足でしっかりと魔法を教える事が出来ないので、ヴァルダさんにお願いしようと思っているんです」


リーゼロッテさんがそう女生徒達に説明をしてくれる。

だが、目つきを鋭くした女生徒は未だに納得してはいない様で、俺の事を睨みつけてくる。

さて、どうしたものか?

今魔法を使って見せても良いのだが、まずは生徒達の実力を知ってからの方が良い気がする。

というか、生徒にもドジッ子だと思われているって、リーゼロッテさんは大丈夫なのだろうか?

生徒に馬鹿にされていたりするんだろうか?

俺はそう思いながら、女生徒とリーゼロッテさんの言い合いを横目に教室内を見渡す。

やはりどこもボロボロで、壁も先程の廊下と一緒で穴が空いている所を板を打ちつけて一時的に直した程度だ。

床は廊下に比べればマシではあるが、その代わりに机や椅子などが見える限りどれもいつ壊れても仕方がないと思う程だ。

確かにこれじゃあ勉強に集中は出来ないな、リーゼロッテさんの力量不足というよりも、この環境がいけないのは明らかだ。

この状態で勉強とか俺だって嫌だ。

俺がそう思っていると、


「ヴァルダさん…と言いましたね?外見だけだったら凄く美人なリーゼロッテ先生に恰好良い所を見せようとしているなら、今からでも遅くないですよ。見栄を張るのを止めた方が良いですよ」


女生徒が俺の事を指差してそう言ってきた。

言葉にリーゼロッテさんの悪意も含まれている様に聞こえたが、今はスルーしておこう。

俺はそう思いつつ、


「問題無いですよ。おそらく実力で言うならこの学院の上位に入れるくらいだと自負していますから」


俺が苦笑しながらそう言うと、女生徒は俺の言葉を聞いた瞬間に憤怒の表情を浮かべて、


「では、これからその実力を見せて欲しいですねッ!先生、練習場の許可を取りに行って貰ってもよろしいでしょうかッ?!」


怒った様子で俺にそう言い、今度はリーゼロッテさんにそう指示を出す。


「………分かりました」


リーゼロッテさんは少し考えた後に、生徒の指示に従って教室を出ていく。

少し先生として怒ったりしないのだろうか?

俺がそう思っていると、


「逃げないで下さいよ」


女生徒がそう言ってくる。

他の2人の生徒は、そんな女生徒と俺の事を交互に見てどうしたら良いのだろうかとあたふたしている。

俺はそんな3人を見て、


「とりあえず自己紹介をしようか、俺は先程リーゼロッテさんから紹介された通り、ヴァルダと言います」


そう言うと、怒っている女生徒を見ていた2人が自身の胸に手を置いて、


「私はソフィ・ベイロンと言います。ベイロン家の長女ではありますが、兄が2人がいます」

「僕は、ブノア・ドノンと言います」


そう自己紹介をしてきて、2人は自己紹介をしない俺の事を睨んでいる女生徒の事を見る。

女生徒はその2人の視線に気がつくと、


「…レナーテ・ミュルディル」


簡潔に名前を名乗る。

2人に促されるような視線を感じて素直に名乗る所を見ると、俺の事を警戒しているだけで悪い子では無いのだろう。

俺はそう思いながら、


「よろしく3人共。それで聞きたいんだが、練習場とは何ですか?」


そう3人に質問をする。

すると、


「練習場とは、魔法の練習をする場所兼運動や魔法技術大会などの会場になる場所です。基本的には授業や自主練習で魔法の練習をするので、練習場と呼んでいます」


ソフィ・ベイロンと名乗った女生徒がそう教えてくれる。

なるほど、日本の学校で言う所の校庭とか体育館みたいなものか。

俺がそう思って納得していると、


「…そんな事も知らないなんて」


レナーテ・ミュルディルと名乗った女生徒が、ボソッとそう言った。

俺はそんな呟きを気にしないで、3人の生徒達を見る。

この魔法学院の制服を着ているのだが、魔法を使う際の装備とかはどこに置いてあるのだろう?

俺がそう思って3人を見ていると、


「…何でそんなにも見てくるんですか?」


レナーテ・ミュルディルさんが俺にそう聞いてくる。

俺はその問いに答えようと口を開いた瞬間、


「お待たせしました。許可を貰ってきました」


リーゼロッテさんが教室に戻って来て、俺の質問は言葉にする事が出来なかった。


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