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68頁

エルヴァンとアンリと別れた俺は、とりあえず今後どうしようかと考える。

まだ帝都に入るにはマズい、流石に潜伏している期間が短すぎる。

せめてあと一週間くらい様子を見ないといけないな。

俺はそう思った瞬間、ブルクハルトさんと帝都に来る時の会話を思い出す。

魔法学院があるレベルデン王国…行ってみるか。

ここからそんなに遠い訳では無いと前に話したし、貴族が通う魔法学院がどのくらいのレベルなのかを知りたい。

もし俺達が知らない、もしくは俺達よりも発展した魔法技術があるのならどうにかしてその魔法を習得している者を塔の世界に迎え入れたい。

思い立ったら吉日と言うし、すぐに行動を開始するか。

俺はそう思うと、本の中の世界(ワールドブック)を開いてケンタウロスのアレクシアのページを開く。

アレクシアとは言葉が通じるから良いが、もしかして言葉を話す事が出来ないモンスターだと、俺の指示をしっかりと聞いてくれるのだろうか?

俺はそう疑問に思い、比較的に大人しい方であるグリフォンであるカルラのページを開き、


召喚サモン、カルラ」


カルラを召喚する。

グリフォンであるカルラは、上半身は鷹の様な姿で下半身はライオンの様な姿をしている。

尻尾が振られておらず、垂れ下がっている所を見ると、気分があまり乗っていないのが分かる。


「おぉ、「UFO」の時から思っていたが鋭い目つきが恰好良いな。それに前では触れられなかったがこうして触る事が出来る。はぁ~、柔らかい感触の中に羽根うこん、羽枝の硬さが当たってただふかふかなだけでは無いんだな。手を入れると暖かく、保温をしているのが分かる」


俺はカルラの体を撫でまわして羽根の中に手を入れてそう感想を呟き、更にその手を下半身の方へとスルスルと移していく。


「下半身は逆に短い体毛で少し硬いな。余分が肉が無く鍛え上げられた体がよく分かる。腿から爪先までのラインが美しいな。お尻も筋肉で硬いモノかと思っていたが、ここはほのかな柔らかさがあって撫でまわしていたくなる」


俺がそう独り言を延々と呟きながら撫でまわしていると、グリフォンが突然俺の方に顔を向けて体勢を整えると、


「ピィィ、ピャラッピャラッ!!」


俺に威嚇の声を出して頭突きを俺の額に当ててきた!?


「イタィ~~!?さ、流石に同レベルの攻撃は凄くダメージが入る!」


俺は痛む額に手を当てながらそう言うと、カルラはまるでジトッとした眼で俺の事を見てくる。

何でいきなり頭突きをしたんだろう?

そう思っていると、カルラがフンッと言う様にそっぽを向いてしまう。

その様子を見て俺は、あ…カルラはメスだ。

そう思い、今までの自分の行動を思い返す。

ま、まぁ羽毛を撫でたのは人で言う所の髪の毛を撫でたと考えて良い。

が、下半身を撫でまわしたのは完全にセクハラだった。

そりゃあ、カルラだって頭突きしたくもなるだろう。

俺はそう思い、


「カ、カルラすまない。つい夢中になってしまったんだ」


俺に背を向けているカルラに謝罪をする。

だが、カルラは俺の方を向いてくれない。

ど、どうすれば良いんだ?

俺がそう思いながら焦って少しカルラから視線を外して考えていると、ふと視線を感じた。

そちらを見ると、カルラが俺の様子を窺っていたのか首を勢い良く動かすのが見えた。

俺は視線を外す様に首を動かしつつ少しだけ視線をカルラに向けていると、俺の動きに合わせてカルラは俺の様子を窺い始める。

何あの動きめっちゃ可愛いんですけど…。

俺はカルラを見ながらそう思いつつ、


「カルラ、さっきの事は謝るからこっちを見てくれないだろうか?」


そう言うと、唸り声の様な鳴き声を少し出しながら俺の方に向いてくれる。

俺はその様子に一先ず安心しつつ、


「さっきは無闇に色々と触ってしまってすまなかったな。頼みたい事がある」


そう言うと、カルラはゆっくりと俺の方に近づいてくれる。

俺はカルラが来てくれるのを待ち、彼女が側まで来てくれたのを機にカルラの翼に触れ、


「俺を乗せて、少し飛んで欲しい」


そう願う。

すると、カルラは翼を広げて一鳴きする。

その声は先程の唸っている様な声とは違い、美しく気高いグリフォンの鳴き声だ。

どうやら、俺の願いを聞いてくれる様だ。

俺がそう思って安心していると、カルラは四肢を曲げて身を低くし俺が背中に乗りやすい様にしてくれる。


「ありがとうカルラ」


俺はカルラにお礼を言い、彼女の背中に跳び乗る。

俺が背に乗ると、カルラは立ち上がって翼を広げ地面を力強く蹴り駆け出す!

おぉ、凄いスピードだ!

そうしてカルラのスピードに驚いている内に地面を駆け出しているのではなく、空を駆け出していく。

徐々に高度が上がっていくと、見える光景が凄い事に気がつく。

帝都の街並み、結構栄えている方だと思っていたが見ると栄えている所と栄えていない所があるんだな。

あれがスラム街なのだろうか?

俺はそう思いながら、他の場所にも目を向ける。

近場にあった小さな森、水が綺麗な川、草原に丘。

遠くには山が連なっている。

俺の視力的に見える範囲は狭いが、まだまだ様々な場所があるのだろう。

俺がそう思って景色を見ていると、


「ピィ~ッ!!」


カルラが鳴き声を発する。

そうか、レベルデン王国に向かいたいと思っていたが、カルラには場所を伝えていないしどこへ行けば良いのか分からないんだ。


「すまないカルラ、とりあえず適当に飛んでくれ」


そして、俺もレベルデン王国がどこにあるのか分からない事に気づいた俺は、カルラにそう指示を出す。

俺の指示を聞いたカルラは返事をする様に一鳴きすると、一気に加速する!

い、息が出来ない!

俺は息が出来ずに苦しみながらそう思い、身を屈めてカルラの羽毛に顔を埋める。

ギリギリ目を開けていられるが、ドライアイになるんではないかと心配してしまう程目が痛い…。

俺はそう思いつつ、


「カ、カルラ。もう少しだけスピードを弱めてくれないか?」


カルラにそう言うと何とか聞こえたらしく、カルラは少しずつスピードを落としていき俺も息が出来る程遅くなっている。

俺はカルラの体から身を起こして辺りを見ると、そこは荒野が広がっていた…。

どこだここは?


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