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67頁

俺は2人の姿を確認すると、


「あぁ。おはようアンリ、エルヴァン。準備はもう済んだか?」


挨拶をして確認の問いをする。

俺の言葉を聞いた2人は、同時に返事をして準備が終わっている事を教えてくれる。

俺はそんな2人に、


「とりあえず、お前達がこれから必要になるであろうアイテムを選んでおいた。節約とかは考えず、しっかりと使っていくんだぞ」


そう言って、大きく膨らんだバックを本の中の世界(ワールドブック)から取り出して塔の床に置く。

すると、


「……。ありがとうございますヴァルダ様」

「……。ご配慮くださり、ありがとうございます」


アンリとエルヴァンがお礼を言ってくる。

何故か2人が一瞬、止まった様に見えたのだが、とりあえず先に進めよう。

あとやる事は、装備の変更か。

俺はそう思うと、


「今から装備を変更するが、驚かないでくれよ」


2人にそう言いつつ、本の中の世界(ワールドブック)開いて装備の変更を開始した。

そうして俺の前に立っているエルヴァンとアンリを見て俺は、


「なんか、魔王討伐に赴く勇者パーティーの最強装備みたいな恰好になったな」


そう呟いた。

外見などは関係無しに、どれだけ2人が安全に外の世界で戦えるかを考えていたら、凄く豪華な装備になってしまった。

流石の2人も俺の感想を聞いて、自身の装備している武具を確認すると、


「ヴァルダ様、流石にここまでしなくても大丈夫だと思うんですが…」

「アンリの言う通りです。元の装備でダメージが無かったのですから、それ以上の装備にする必要は無いかと…」


俺にそう言ってくる。

俺はそんな2人の言葉を聞いて、


「だが、向こうで何が起きるのか分からないからな。お前達を信頼していないからではないが、とても心配なんだ」


そう言うと、


「大丈夫ですよヴァルダ様。僕達がそこまで大変な状況に陥る事は無いと思います」


アンリが笑顔でそう言ってくれる。

アンリがこう言ってくれているのだ、ここで俺が無理に彼等の装備を変えても無駄に目立って危険に晒してしまうだけかもしれない。

俺はそう判断し、


「分かった。とりあえずは今までと同じ装備を着けてもらう。次に会った時にそれでも大丈夫だったか、それとも危ないと感じた事があったか聞くとしよう」


そう言うと、アンリとエルヴァンがお礼を言ってくる。

お礼を言ってくるという事は、言いはしなかったが彼らもあの目立つ装備を着けて行きたくなかったという事だろう…。

俺はそう思いつつ、本の中の世界(ワールドブック)を開き直して2人の装備を元に戻していく。

そうして装備を改めて直したところで、


「では行くか」


俺がそう言って帰還と呟くと、目の前に黒い靄が現れる。

そこを通って来ると、昨日の森に出る事が出来た。

俺は日陰を探してそこに移動すると、アンリとエルヴァンも俺に付いてくる。

俺は2人が日陰に入ったのを確認すると、


「これからエルヴァン、アンリ、お前達は俺の指示ではなく自分達の意思でしたい事をしていくのだ。…覚悟は良いか?」


再度、そう問う。

俺の言葉を聞いた2人が、互いの顔を見て頷く。

俺はその返答の頷きを見て、


「分かった。では少し注意事項がある。まずはあの国で俺との接触を極力控える様に。同じ冒険者として話すくらいなら構わないが、塔の支配者に対する敬語などは使わなくて良い。もし俺に伝えたい事があるのなら、アンリのスキルで分裂体を俺の元へ来させてくれ。次に、エルヴァンとアンリには帝都の者達に対して平等に接する様に心掛けて欲しい。人の奴隷にも亜人の奴隷にも、普通に接してくれる者達にはそうする様にして欲しい。だが、相手が友好的では無いのなら、それ相応の態度で構わない」


そう説明すると、エルヴァンとアンリは頷いて、


「「分かりました、ヴァルダ様」」


2人同時に同じ言葉を返してきた。

俺は2人の返事を聞いてから、昨晩準備した荷物を再度本の中の世界(ワールドブック)から取り出す。


「改めて、必要だと思うものは出来るだけ準備しておいた。持っていきなさい」


俺がそう言うと、エルヴァンとアンリは顔を見合わせた後、


「あ、あのヴァルダ様?先ほども思ったのですが、僕よりも大きい気がするんですが…」


アンリが苦笑いでそんな事を言ってきた。

俺はその言葉を聞いて、改めてアンリと俺が取り出した荷物を見てみる。

アイテムを入れる事ができる物が大きいリュックしかなかったからそれに入れたのだが、パンパンに入れた所為で確かにアンリよりも縦も横も大きくなってしまっている。

…確かに多すぎの様に見えるが、これでも減らして少なくした方なんだが…。

俺はそう思いつつ、


「何があるか分からないからな、これだけの準備をしたんだ。それに、もし怪我をしている亜人などがいたら助けて欲しいからこれほどの量になってしまった」


そう言うと、アンリは何故か尊敬の眼差しを向けてくる。

何でこんなキラキラした目で見てくるのだろう?

俺がそう思っていると、


「そういう事だったのですかヴァルダ様!僕達だけでは無く、傷ついた者達の事を考えてのこの大荷物、まだまだ考えが至らない僕では考えられなかった事です!そういう事なら、僕がこれをお持ちします!」


アンリが突然そう言って、地面に置いてあるリュックを背負い込むと持ち上げた。

だ、大丈夫だろうか?

俺がそう思いつつ脚をプルプル震わせているアンリを見る。

少ししてアンリもリュックの重さに慣れたのか落ち着いてくる。

それを確認して、


「エルヴァン、1つ頼みたい事がある」


俺はエルヴァンにそう切り出す。

俺の言葉を聞いたエルヴァンは俺の方に向き直り、


「どのような事でしょうか?」


そう聞いてくる。


「あの国で奴隷商人をしているブルクハルトという人物に、頼まれた事は達成したと伝えて欲しい。一応彼の屋敷の外見を説明するが、それでは分からなかったら誰かに聞いてくれ」


俺はそう言って、出来る限り細かくブルクハルトさんの屋敷を説明をする。

そうして全ての準備が整い、俺はエルヴァンとアンリの顔を交互に見た後、


「では、これから2人は自由に自分達のしたい事をしてこの世界を見て来てくれ。エルヴァン、アンリ、頼んだぞ」


そう言うと、エルヴァンとアンリは膝を地面に付けて頭を垂れ、


「行ってまいりますヴァルダ様」

「ヴァルダ様の配下の一員として、更に強くなってまいります」


そう言ってきた。

俺はその言葉に短く返事をすると、2人は並んで帝都に向かって行く。

俺はそんな2人の後ろ姿を見つめ、彼らが安全に成長する事を願う。


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