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俺の言葉を聞いたエルヴァンは、まるで時間が止まったかの様に身動き1つしなくなってしまった。

だが、


「な、何故でしょうかヴァルダ様?何か粗相をしたのなら、私は改善します」


エルヴァンはそう言って、少しだけ体を動かす。

俺はその言葉を聞いて、


「落ち着けエルヴァン。俺の言い方が悪かったな。エルヴァン、お前は外の世界へ出て、自身の剣技を更に磨きに鍛練の旅に行って来い、という意味で言ったんだ。この塔の世界で単純な剣の技なら、すでにエルヴァンに敵う者はいない、俺も含めてな。だが、先程のルミルフル…魔王の娘との構え合うお前の姿を見た時、ワクワクしている様な気がしたんだ。違っているか?」


エルヴァンに言葉の訂正をしつつ、そう質問をする。

すると、俺の言葉を聞いたエルヴァンの表情が少し驚いている様に目を見開いていた。

俺はその表情を見て、


「お前には外の世界で更に剣技を磨いて欲しいと、俺は思っている。お前という戦力が向上するのは、この塔の戦力も向上するという事だ。無理にとは言わないが、前向きに考えてくれるとありがたい」


そう言い切ると、エルヴァンは緊張で力が入っていた体から、少しだけだが力が抜けたのが分かる。

俺はそれを見た後、


「一度魔王の娘と剣を交えると良いかもな。その時、少しでも自身の力を磨ける可能性が出たら、お前はおそらくここから飛び出していくと、俺は思うぞ」


そう言って苦笑をすると、


「…分かりました。私を想っての配慮、感謝します」


エルヴァンはそう言うと、静かに立ち上がって部屋を後にした。

俺はエルヴァンが部屋を出て言ったのを確認すると、


「セシリア、そういう事だ。エルヴァン1人では何かと問題があるだろう、彼と共に一緒に外の世界に行きたいという者を同行させようと思う。選考はセシリアに任せる」


そう独り言を呟く。

すると、


「分かりました。出来れば人型の方がよろしいでしょうか?」


俺の独り言にセシリアが反応してそう質問をしてくる。

俺はその質問に少し考えた後、


「いや、人の姿に化ける事が出来る者もだ」


そう答えると、


「分かりました」


セシリアは俺の言葉を聞いて、部屋から消えて去っていく。

おそらく、今俺が指示を出したエルヴァンと一緒に同行する者を探しに行ったのだろう。

さて、とりあえずしなければいけない事は大方済んだ。

あとは少しの間ブルクハルトさんの元に行かない様にしないといけないが、どうしたものか。

冒険者ギルドで仕事をするのも、人が密集する所はなるべく避けた方が良いかもしれない。

そう考えると、俺は結構やる事が制限されてしまう。

とりあえず、お金稼ぎをしたい所ではあるが、手段が冒険者ギルドでの採取依頼しかない。

しかも今はああいう依頼を出す側も受ける側もいる、人の出入りが多い所は安心できないな。

どうしたものか…。

俺がそう思って頭を悩ませていると、


「キュ♪」


俺の足元からそんな可愛い音が聞こえた。

足元を見ると、


「そういえば、最初に会ってから全然会ってなかったな」


スライムであるスゥがいた。

こう思うと、最初に契約したのはスゥだったんだよな。

スライムだから、簡単に契約出来るかと思ったらまさかの言葉が通じないという変な設定の所為で、スゥがいったい何を求めているのか詮索しながら契約できたんだもんな。


「この手触り、「UFO」の時はなんか重たい餅を持っていた気分だったが、今はこんなにも感触がリアルなんだな」


俺はそう言いながら、スゥを持ち上げて膝の上に乗せると、スゥは俺の膝の上で何度も形を変えて遊びだす。

ふむ、当分は塔にいて色々と制作をした方が良いのかもしれないな。

俺はそう思いつつ、スゥをモチモチムニィ~と手でこねくり回す。

普通ならここまでやられたら怒るかと思ったが、スゥはされるがままになって形をどんどん変えていく。

あぁ、食糧事情とか無かったらこうやって触れ合って1日中過ごして生きていたい。

そう思っていると、


コンコンコン


「ヴァルダ様、今よろしいですか?」


扉がノックされて扉の向こうからシェーファの声が聞こえる。


「大丈夫だ」


俺が少し大きな声でそう言うと、


「失礼します」


シェーファがそう言って部屋に入り、俺の元にやって来ると、


「なっ!」


なんていうか、いつも優雅に凛ッとしたシェーファが間抜けな声を出した。


「どうしたシェーファ?」


そう質問をすると、シェーファは震える指で俺の膝の上にいるスゥを指差すと、


「ヴァルダ様!何故スゥがヴァルダ様の膝の上で発情しているのですか!?」


俺にそんな事を言ってきた…。

俺はそのシェーファの言葉を聞いて、


「待て待てシェーファ、色々とツッコミ所があるぞ。まず、今のスゥは別に発情などしていない。俺がコネコネしてたから、遊んで貰えて嬉しい犬みたいなものだぞ。あとスライムだから、男女間の異性的な発情は無いはずだ」


そう説明をするのだが、


「いいえ!どう見てもスゥの表情は、ヴァルダ様に愛でられて喘いでいる表情に見えます!ヴァルダ様を愛している私が言うのです、間違いありません!」


シェーファは更にそう言ってくる。

うぅむ、シェーファってここまで取り乱したりするキャラだったのか。

他にも色々とどんな表情をするのか見てみたいな。

俺はそう思うと、


「ふむ…。スゥ、そんな感情で俺の元にいるのか?」


スゥを抱き上げて俺の顔の前に持ってくる。

すると、


「あぁッ!」


シェーファが焦っている様な声を出す。

だが、シェーファの焦りとは反対にスゥはムニョムニョと動くだけだ。

やはり、シェーファが心配するような事は無い。


「ほらシェーファ、スゥはやはりシェーファの言う様な気持ちはないと思うぞ」


俺がそう言ってスゥを膝の上に戻すと、スゥはそのまま滑り落ちる様に床へと着地をする。

俺がそれを見ていると、


「ヴァルダ様は私達の気持ちを理解していません。ヴァルダ様にあんな風に触っていただいて、更には顔を近づけるなんて、……羨ましい!」


シェーファがそう言って不満げな声を上げる。

そう言われてもな。

なら、


「そうか。……ならシェーファ、近くに寄れ。スゥと同じ事をしてあげよう」


俺が名案を言うと、シェーファは驚いた表情をした後、


「…はい。…ヴァルダ様」


とても緊張した表情で、そう返事をした。


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