4頁
シュリエルとも別れた後、俺は1人モンスターが出てくる草原に移動した。
最後に、モンスターと戦って終わりだな。
俺はそう思いつつ、装備している剣を握りしめる。
今俺は騎士だ。
本当なら盾などがいるのだが、この草原に出てくるモンスターは低レベルなので、盾を装備しなくても大丈夫だ。
それにしても、本当に誰もいないな。
俺は広い草原を見回しながらそう思う。
昔なら、どこへ行っても団体のプレイヤーがいたこの世界。
それが今では、俺1人と言っても過言ではないかもしれない。
俺がそう思っていると、目の前にウルフが4匹出現する。
低級モンスターのウルフは、素早さと攻撃が特徴だ。
ま、この草原だったら必要なさそうだな。
ウルフの頭上に出ているレベルは110。
最高難易度のフリークエストでは、これが最低レベルだ。
俺がそう思っている内に、ウルフ達は俺に威嚇をしていつでも襲い掛かれる様に体勢を構える。
「ウルフはもうカンスト済みなんだ。悪いけど、俺の気晴らしに付き合ってもらうよ」
俺はそう言うと、剣を構える。
その瞬間、ウルフの1匹が俺に向かって一直線に駆けてくる!
俺のウルフより遅いな。
俺はそんな事を考えながら剣の間合いにウルフが入るのを待ち、ウルフが入った瞬間!
「シッッ!!」
横に一閃、剣を振るう!
すると、ウルフの首の下辺りにダメージが入った証の赤い粒子が飛散する。
そして、俺の攻撃がウルフのHPの根こそぎ奪い、ウルフはそのまま消滅する。
残されたのは、ドロップアイテムだけだ。
見ると、1枚の毛皮が落ちている。
流石最高難易度、落ちるアイテムも一級品だな。
俺がそう思っているうちに、残りの3匹のウルフが連携する様に俺に向かってくる!
騎士だと、一撃で倒しちゃうな…。
俺はそう思い、
「クラスチェンジ・魔法使い」
スキルを使用して職業を変える。
スキルを使用した瞬間、騎士装備から魔法使い装備に変化する。
プレイヤーレベルが20になると解放されるスキル、クラスチェンジ。
これはソロプレイヤーなら取得しておかないといけないスキルの1つだ。
戦鬼さんみたいな特化型ではなく、万能型のステータスにした俺みたいなプレイヤーには余計に。
特化型のステータスには、物理攻撃特化と魔法攻撃特化が存在する。
どちらも攻撃するために必要なステータスを上げるのが特徴で、スキル取得もそれぞれ合ったスキルを取得する。
それに比べると万能型の俺のステータスは、特化型に比べて攻撃力が無い。
その分、他のステータスが上回っているのだが。
そして、万能型はスキルもあまり強力なスキルを覚えずに浅く広く取得する。
これは、ソロプレイの時に自分だけで困難を対処するためだ。
特化型の人達は基本的に、協力プレイをするから特化する事ができる。
大人数VS大人数では万能型はあまり使えない。
しかし、1VS1なら万能型の方が強い。
そして、クラスチェンジというスキルは、万能型にとってはとてもありがたいスキルだ。
そのステータス故に、物理や魔法攻撃に耐性があるモンスターと戦う時にすぐに対処できる。
前までは、街に戻ってから職業案内所で受付の人に変えて貰わないと出来なかったからな。
俺がそう思っていると、ウルフの1匹が俺の脚に噛み付き、もう2匹が鋭い爪で俺を切り裂く!
ウルフに攻撃された箇所がダメージ判定をされて赤い粒子が飛ぶ。
…だが、レベル差の所為で痛くも痒くもない。
受けたダメージは3だけ。
これは1匹毎に1ダメージという事だ。
攻撃を受けた時の最低ダメージ。
それだけしか食らわない。
今食われているのは俺だがな。
俺が自分自身にツッコミを入れて、
「ライトニングサークル」
魔法を放つ!
中級魔法、ライトニングサークル。
電撃を自分の周りに発生させて攻撃する範囲魔法だ。
「キャイン!」
「バゥッ!」
「ガゥッ!」
俺の魔法攻撃を受けて、ウルフ達は短い悲鳴を上げて消滅する。
何故か魔法攻撃では赤い粒子が飛ばない。
これは結局謎のままだったな。
俺はそう思いつつ、辺りを見回す。
最後の日だから、何か特別な事でも起きないかな?
そんな希望を持ちながら辺りを見るが、どのモンスターも知っている。
「流石に運営に期待しすぎだな…。クラスチェンジ・召喚士」
俺はスキルを使って召喚士になると、装備している本を広げる。
この装備はイベント限定装備で、素材集めに一苦労した。
おそらく、持っている人は俺を含めても10人いるかいないかだろう。
なにしろ、イベントが丁度サービス終了を発表した次の日だったのだから。
すでに過疎化していたこの世界に、こんな素材集めが大変なイベントを用意するなんて。
当時はそう思ったが、今こうして装備を手に入れるとそれも大変ではあったが楽しかった。
本の中の世界
この装備は家、倉庫の役割果たしている物で、召喚士には最適な装備だ。
契約しているモンスターは家に住むという扱いになるため、この本にモンスターを入れる事が出来る。
つまり、この本1つあればモンスターを召喚するのが容易い。
ちなみに家と同じ操作が出来るので、俺も本の中に入る事が出来る。
と言っても、サーバーを変えているだけなのかもしれないが。
それでもこの本の中には俺のこの「UFO」での歴史が詰まっている。
それだけ大事なモノである。
普段、召喚士の時はキーホルダーの様に小さくなって首から下げているのだが、使う時になると普通の本の大きさに戻る。
移動時でも便利だ。
「サービス終了まで30分。最後はお前達と過ごすか」
俺はそう呟いて、本の中の世界を開く。
すると帰還する、モンスターを召喚する、アイテムを取り出すの3つの選択肢が出てくる。
俺は、あまり十分には戦えなかったな。
苦笑しつつそう思いながら、帰還を選択した。
少しロードの時間が掛かり、少しして転移が始まった。
読んで下さった皆様、ありがとうございます!
評価して下さった方、ありがとうございます!
感想を書いて下さった方、ありがとうございます!
ブックマークして下さった方、ありがとうございます!
評価や感想、ブックマークをして下さると嬉しいです。
誤字脱字がありましたら、感想などで報告して下さると嬉しいです。
よろしくお願いします。