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497頁

「まずは賢者ルブレオに関する問題と対処について話します。時間に余裕が無かった故に、賢者ルブレオには素顔を晒した状態で戦闘になりました。ですから、ここにいられるのも時間の問題です。賢者ルブレオとその配下の者達の仕事の早さにも関係しますが、この髪の目の色では特定されるのも簡単だと思います。賢者の様子を見る限り、俺の事をこれから警戒する事は確定だと思います。ですのでそんな俺との交流があるとバレたら、賢者一派に何をされるのか…。ですので、この話し合いを最後に俺と皆さんは会う事を止めます。故に、綿密な話し合いをしなくてはいけません」


俺がそう言い始めると、室内にいる皆の表情が少し歪む。

自分達だけで出来るのだろうかという不安、賢者一派に目を付けられる可能性がある不安、様々な不安があるのだろう。

俺はそう思いながら、


「一応この屋敷に来るまでは、フードを被っていたので大丈夫だとは思いますけど、念には念を入れないといけませんから。決して、皆さんの不安を煽っているだけでは無いんで…。安心してとまでは言えませんけど、完全に不安に思う必要はありませんから。この街では珍しい訳では無いですから。商人が多いのと同時に、魔法使いも多いですから」


今すぐに不安に思う必要は無いという事を説明する。


「まずは、賢者ルブレオは皇帝の命令では無く、自身で考えて行動している様子です。ですので、俺にも理解出来ない行動をする可能性の方が多いです。おそらく賢者は回復次第、また行動を開始するか、もしくは配下の魔法使いを使って亜人族を襲うと思います。賢者は皇帝の命令に完全に従っている様子では無かったので…。リーゼロッテ先生達には、賢者と繋がりがある魔法使いが接触してくると思います。出来る限りで良いので、彼らとの交流で情報を集めて下さい。それ以上に賢者に近づくと、おそらく危険な目に合う可能性がありますので、リーゼロッテ先生達の安全を最優先して下さい。俺の方は賢者の情報があるまでに、他の亜人族の保護を優先するつもりです。レナーテさんも含め、学院のクラスの皆さんは家族と共にあまり目立つ行動はしない様にお願いしますと伝えて下さい。皆さんにも同じ様に、情報収集をして欲しいです。絶対に、危険な行動をする事は止めて下さいと伝えて下さい。もしも役に立ちたい、亜人族を救い出したいと考えているのなら、その気持ちは俺は尊重しています。しかしそれは今では無い、皆さんが最大限に力を発揮できるのは、亜人族と人族の戦争の始まった瞬間なんですから」


続けて話した俺の言葉に、驚いた様子を見せる一同。


「先生、よろしいでしょうか?」


俺の言葉を聞き、手を上げてそう聞いてくるレナーテさん。


「どうぞ」


俺が彼女に次の言葉を促すと、レナーテさんは俺の方に体ごと向き直してから、


「戦争が始まった瞬間に、私達が役に立つとはどういう意味でしょうか?」


そう質問をしてきた。

彼女の言葉を聞き、


「貴族である皆さんは、戦争に魔法使いの遠距離での攻撃はとても重宝されると思います。故に前線に出されるとしても、すぐに攻撃が向かわない様な安全地に陣を置かれると思います。つまり後方からの奇襲が出来ます。ただ俺は、レナーテさんも含めて人を殺して欲しく無いので、牽制程度の魔法で十分です。仲間だと思っていた者達からの背後からの奇襲、迫りくる亜人族に挟まれる人達はパニックになり、隙が生まれると思います。牽制の魔法が済んだ皆さんは、その後俺の家族を迎えに行かせて無事にこちらの陣営に戻って来てもらいたいと思っています」


俺がそう説明をすると、レナーテさんは少し悩んでいる表情になる。

おそらく貴族である彼女が、いくら作戦であるとはいえ後ろからの奇襲にはあまり良い気がしないのだろう。


「ヴァルダさん、私達はそれだけで良いのでしょうか?私達は亜人族の皆さんと共に戦う事が、意味があるのではないかと思うのですか…。決して、自ら戦い人を殺めたいという意味では無く、共に戦う事で亜人族の人達にも人族にも、共に話し合い意見を交換し、戦う事が出来る仲間だと証明出来るのではないでしょうか?」


俺がレナーテさんの質問に答えた言葉を聞いて、リーゼロッテ先生がそう言ってくる。

彼女の言葉に俺は、


「確かにそれは一理あります。ですが先程も言った通り、リーゼロッテ先生にもレナーテさんにも、クラスの人達にも人を殺して欲しくは無いです。人を殺してしまうと、どうしても次の人殺しに対する躊躇が無くなってしまいます。あの感覚だけは…皆さんには感じて欲しくは無いです」


自身の我儘を、願いをリーゼロッテ先生に伝える。

俺の言葉に、リーゼロッテ先生は驚いた表情で固まり、レナーテさんは悩んでいた表情から真剣な表情へと変化させて俺の事を見てくる。

リーゼロッテ先生のご両親は俺の言葉を聞き、何故か申し訳無さそうな表情で顔を伏せた。


「…ですので、貴族の皆さんには情報収集と戦争の際の敵の後方からの奇襲、それを重点に置いて行動して頂きたいです」


俺が再度そうお願いをすると、


「…先生、私からお願いがあります」


レナーテさんがソファーから立ち上がってそう言ってくる。

彼女の願いの言葉に俺は真っ直ぐとレナーテさんの事を見つめる。

そして、


「先生の配下に、私を加えて下さい」


俺にそう言ってきた。

彼女の言葉に、俺はレナーテさんとの仮契約を解除していない事を思い出す。


「それは何故ですか?」


レナーテさんに俺がそう質問をすると、


「私は魔法使いとして、自分の力不足を痛感しています。例えこの反乱での戦争が亜人族の勝利に終われば、人族は多くの戦力を失うでしょう。人族を裏切る私が言うのも愚かだとは思いますが、亜人族がいなくなった人族が次に虐げる可能性があるのは、自分よりも力が無い人達。私は同じ事を繰り返したく無いです。ですので、そんな人達から人々を救う為の力が欲しいのです。お願いします先生、私を先生の元で鍛えて下さい」


レナーテさんは戦争の後の事を考えた考察を述べて、改めて俺にそうお願いをしてきた。


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