表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
496/501

495頁

俺の回復役を飲んだ後、傷が塞がっていく光景に驚き嬉しそうにしている女性達。

その光景を見て、俺はひとまず女性達が少しでも安心出来た事に安堵し、海にいるルネリーエ、デレシアさん、レヴィさんの様子を窺う。

見ると、ルネリーエが海水を操って船を動かしているのを、デレシアさんとレヴィさんが眺めながら移動をしている。

ルネリーエの行動がそんなに珍しいのだろうか?

俺がそう思っていると、少し先に島が見えてくる。

どうやら、思った以上にスピードが出ていたみたいだな。

早めに着いて良かった、これなら船に乗っている人達も大地の上で休む事が出来るだろう。

慣れない船は移動中でも気が休まらないし、体は休めたとしても地上に比べると質が落ちている気がする。

船に乗り慣れている人は違うんだろうが、俺も含めて彼女達も海上での休憩はあまり良質とは言えないだろう。

海の波の音とか、鳥の声、魚が時々海面を跳ねる音は心地良いんだけどな…。

俺がそう思って景色を見ている間に、レヴィさんやデレシアさん、セイレーン達に巨人族の家族が住む島へと辿り着いた。

シルの力でまとめて船に乗っている人達を島へと運ぶと、女性達は少し安心した様子で辺りを見回している。

デレシアさんと人型に姿を変身させたレヴィさんも上陸し、俺はシルとルネリーエにお礼を言って塔へと戻って貰う。

さて、レヴィさん達にも色々と話を聞きたいのだが、リーゼロッテ先生の方に帰らないといけないのも事実だ。

簡単に話をして、すぐに移動すれば大丈夫だろうか?

俺はそう思いながら、大陸がある方向に視線を向けていると、


「すまない」


隣から声を掛けられて、俺は頭を振ってそちらに視線を向ける。

そこには、レヴィさんの背中に乗っていた、船に乗っていた女性達に殿下などと呼ばれていた女性が立っていた。

回復薬などを渡す時などは急いでいたから話し掛ける事もしたが、改めてゆっくりと話すとなると少し緊張はするな。

彼女からは殿下と呼ばれるだけの、気品と威厳が感じられる。

俺はそう思いながら、


「挨拶がまだでしたね、俺はヴァルダ・ビステルと言います」


自己紹介をする。

俺の言葉を聞いた女性は軽く頭を下げてすぐに戻すと、


「私はエデルガルトという。…私と皆を救ってくれた事、感謝する」


俺の事を真っ直ぐに見ながらお礼の言葉を伝えてくる。

彼女の言葉に、


「いえ、出来れば貴女にも皆さんにも怪我が無い様にしたかったです」


俺が自分の力不足を吐露した後、今は反省の言葉を言う時では無いと考え、


「少し聞きたいんですが、あの賢者は貴女達を襲っていた様に見えました。あまり詳しく言いたくないなら構いませんので、事情を教えて欲しいです」


エデルガルトさんにそう質問をする。

俺の問いを聞いたエデルガルトさんは表情を顰めると、


「すまないな、そうは言われても私達もあまり詳しい事は分からんのだ。突然襲われ、何とか海の覇者であるレヴィアタンに手を貸して欲しいとお願いをしている時に、あの賢者が襲いかかってきた」


俺にそう言ってくる。


「…という事は、最初に襲って来たのは賢者という訳では無いって事ですか?」


彼女の言葉を聞いた俺が再度そう質問をすると、


「そうだ、元々私達は住処が人族に頻繁に襲撃される様になり、噂で聞いたレヴィアタン殿の元へ向かったのだ。私達を助けて欲しい…と」


頷いてそう答えるエデルガルトさん。

彼女の言葉を聞き、


「なるほど…。亜人族の反乱に対する帝都の命令、エデルガルトさん達の住んでいた場所の襲撃は、おそらく亜人族の捕縛による金目当てであった可能性もある。しかしそれすらも賢者の思惑で、レヴィアタンの現れる場所を広大な海から、海岸線まで絞る為だというのなら、もう少し賢者には警戒しないといけませんね…」


俺は自身の考察を述べる。

俺の言葉に、表情を曇らせたエデルガルトさんは、


「つまり、私達はレヴィアタン殿を誘い出す為の餌にされた…という事か…」


曇らせた表情から悔しさを感じている、苛立ちを含ませた表情に変化させる。


「俺の仮説ではありますけどね…。とりあえず、賢者には多少のダメージを与える事が出来たと思うので、向こうの出方は分かりませんが少しは安全だと思います。ここは広大な海の真ん中。向こうも相当の食料などの物を揃えなければいけないと思うので」


彼女に俺は少しでもこの島で安心して過ごせる様にそう伝えると、彼女は俺の事をジッと見つめてきた後、表情を和らげて、


「君の様な人族がいるなんて、思いもしなかった。ヴァルダと言ったな、レヴィアタン殿とはどういう関係なのだ?」


今度は俺に関しての質問をしてくる。

彼女の問いに対して、


「簡単に言うと、レヴィアタンさんやウンディーネさんに亜人族の反乱軍に入って欲しいと願っている身です。この島より大陸に近い、亜人族の国であるジーグがあるんですが、そこの人達は大陸で虐げられている亜人族の救出、そして亜人族が意思疎通が出来るヒトである事の証明をする為に帝都に戦いを挑むつもりです。しかし大陸に近いと言っても、それでも船での移動は絶対に必要になります。その海路の護衛と、レヴィアタンさんとウンディーネさんは帝都での戦闘もお願いしたいと思っています。つまり、俺とレヴィアタンさんは対等な協力関係ですね」


簡単な説明をしてから、レヴィさんとの関係をまとめる。

それを聞いたエデルガルトさんは、


「…なるほど、確かにあの賢者を撃退出来る程の力があるのなら、レヴィアタン殿との協力関係も頷ける」


納得をした様子で、俺が賢者と戦っていた光景を思い出しているのか、瞳を閉じて微かに頷く素振りを見せている。

さてと、とりあえず彼女に軽くではあるが説明する事が出来た。

レヴィさんやデレシアさんにも怪我は無さそうに見えたし、今はエデルガルトさんの配下の女性達を島の奥へと案内をしている様だ。

それを確認した俺は、俺の事を不思議そうに見ているエデルガルトさんに視線を戻し、


「すみません、まだやり残している事が多いので、一度俺は大陸の方に戻ります。近い内にこちらに再度伺いますと、レヴィさん達にお伝えして貰っても構いませんか?」


俺がそうお願いをすると、エデルガルトさんは困惑した様子で、


「あ、あぁ…。了解した」


俺の願いを聞いてくれる。

そんな彼女に俺はお礼を言った後、カルラを塔から呼び出して大陸へと戻った。


読んでくださった皆様、ありがとうございます!

感想を書いてくださった方、ありがとうございます!

評価してくださった方、ありがとうございます!

ブックマークしてくださった方、ありがとうございます!

評価や感想、ブックマークをしてくださると嬉しいです。

誤字脱字がありましたら、感想などで報告してくださると嬉しいです。

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ