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490頁

俺を覆っていた水の塊は、ルネリーエが塔へと帰るのと同時に消滅をした。

流石にあの状態で、地から雷が発生している場所へと突っ込むのは危険だったからな。

俺はそう思いつつ、海と陸地の境目を超えて大陸に到着はした。

のだが、勢いが死んでいない為俺は今戦いが起きている場所へと一度も地面に足を付けないまま、突撃をしてしまった。

人の形態になっているレヴィさんと、彼女の後ろで怪我をしている亜人族の女性の姿が目に映るッ!

そして、レヴィさんとその後ろにいる女性に向けて長い杖を向けている老年の男がいた。

その老人に向けて俺は、


「彼女達に手を出すなァッ!」


怒号を発し、


「ライトニングッ!」


けん制の意味も込めた、雷魔法を発動させる!

すると、


「…無詠唱か。面白い馬鹿がおる様だ」


老人は俺の雷魔法を自身の発動させた雷魔法で軌道を逸らす。

…向こうも賢者と呼ばれるだけはある、魔法の扱いに長けているな。

俺はそう思いながら地面に着地すると、レヴィさんの前に立って彼女達にこれ以上の危害を加えさせない様にする。

すると、


「ヴァルダ、どうしてここに?」


後ろからレヴィさんにそう質問をさせる。

彼女の問いに、


「色々と事情を聞きまして。レヴィさん達の元へと向かっていたんですが、偶然見つけたウンディーネさん達にレヴィさんと後ろの女性がいる事を教えて貰って、ここに来たんですけど…。これは一体どういう状況ですか?」


俺はデレシアさんに教えて貰ったからここに来れた事を説明し、今の状況の説明をして欲しいとお願いする。


「色々と話さないといけない事がある…。説明は、難しい。ただ、その人間は敵」


俺の問いに対して、少し申し訳無さそうな声でそう答えたレヴィさんは、しかし今必要であり重要な事を教えてくれる。

今は、とりあえずそれだけで十分だ。

俺がそう思っていると、


「…ふむ、無詠唱であの威力…。学院の愚か者共め、まともな報告も出来ないとは…」


老人が俺の事を見ながらそんな事をボソボソと言っている。

老人のそんな様子に、


「…彼女達を襲う理由を聞いても良いか?」


俺はそう質問の言葉を投げる。

それを聞いた老人は、


「…そのモンスター共を庇うという事は、貴様もある程度の事情は理解しているのだろう?ならば、儂がここにいる理由も察する事が出来るのではないか?」


ホッホッホと笑いながら、余裕そうに俺にそんな事を言ってくる。

老人の言葉に、


「亜人族の反乱…か」


俺がそう呟くと、老人は隙間が目立つ歯茎を見せる様にニヤッと笑い、


「その通り。その亜人共が海を渡るのに、レヴィアタンの協力は必要不可欠。陛下は帝都での戦闘を望んでいる様子だが、モンスターを帝都に近づけるのすら儂は反対なのだ。単純に、レヴィアタンなどの強大なモンスターは脅威になりうるのも事実。故に、この老体に鞭を打ってここまで来てやったのだ」


そんな事を言ってくる賢者。


「なるほど、それでレヴィアタンの討伐…か」


卑怯ではあるが、それも策略ではあると考えればしっかりとしている。

まぁ、皇帝である閃光の考えではそこまで考えている訳では無いようだがな。

俺がそんな事を考えていると、


「それに、大陸で隠れて生きていたモンスター共も道中に見つける事が出来た。その2つの首を陛下に献上すれば、儂は陛下に、そして皇后様に褒めて頂ける」


賢者の老人は下卑た笑みを俺達に向けてそんな事を言ってくる。

…言い方からして、閃光からよりも皇后…おそらくこの世界の女神に褒められたい様子だ。


「悪いが、彼女達を殺させる訳にはいかないでね。抵抗させて貰おうか」


俺はそう言うと、賢者に向けて杖を向ける。

その様子に、


「獣を庇う愚者めが…。儂の魔法で消し飛ばしてくれるわっ!」


老人は怒鳴り声を上げると、


「煉獄の炎よッ!インフェルノッ!」


一節詠唱で、上級魔法を発動するッ!

すると、


「水よッ!」


俺の後ろから、レヴィさんが水を呼び出してこちらに迫ってくる炎を水で対抗しようとする。

しかし、


「この炎…普通じゃない?」


レヴィさんの放出している水を蒸発させ、こちらに迫ってくる炎を見てレヴィさんが焦った声を出す。

彼女のそんな様子に、やはり賢者と呼ばれる程ではあるな、魔法の実力は帝都で最強って事だろう。

俺はそう思いながら、


「アイスランスッ!」


氷の槍を出現させて、それをレヴィさんが出している水に衝突させる。

その瞬間、水が一気に凍結する。


「ヴァルダッ!?」

「大丈夫です。アイスバレットッ!ウィンドストームッ!アイスストームッ!」


自身が出していた水が氷にされ、驚いた声を出すレヴィさんに俺は安心だと声を掛け、大きな氷の塊に更に氷の塊をぶつけてそれを砕くと、そこから更に風魔法のウィンドストームと氷魔法のアイスストームを発動させると、賢者が発動させた炎を巻き込みながら俺達と賢者の間で竜巻の様な大型の風と氷、炎の奔流が空へと上昇する。


「…どれも中級の魔法…。なるほど、上級の高みには昇れない弱者だったか」


激しい熱と風、その合間に聞こえてくるこちらを馬鹿にした様な賢者の声。

その言葉を聞きつつ、


「レヴィさん、それと後ろの女性も。今の内にここから離れる事は可能ですか?」


俺は後ろにいるレヴィさん達にそう質問をする。

俺の言葉を聞いたレヴィさんは、


「大丈夫。でも彼女が…」


おそらく後ろにいる亜人族の女性の事を気に掛けて、心配の声を口にする。

彼女の言葉に、


「奴の事は俺の方で対処します。安全を考えて、出来れば移動をお願いします」


俺がそうお願いをすると、


「分かった。気をつけて」


レヴィさんが俺にそう言ってくれて、後ろにいる女性に動けるかの問いをしながら動き始めるのが分かる。

それを見た賢者が、自身の握っている大きな杖を彼女達に向けようとする光景が見え、


「アイスランスッ!」


俺は氷の槍を発動させ、賢者に向けて射出させながら彼女達を庇う様に移動する。

それと同時に、


「ライトニングッ!フレイムストームッ!」


今度は雷魔法を発動させ、更に追加で火魔法を発動して賢者の注意を俺に向ける。

しかし賢者も俺の攻撃を逸らしたり、同じ系統の魔法で打ち消したりして対処をしつつ、合間合間にレヴィさん達に向けて攻撃を仕掛けてくる!

その攻撃を俺は魔法で対処しつつ、先程までの軽めな注意を引く様な魔法とは違うMPを消費した魔法、


「アースウォールッ!」


土魔法での長距離で頑丈な壁を作り出すと、


「今なら行けます!後で追いかけますので、行ってくださいッ!アースハンマーッ!」


同じく土で創り上げた槌を、賢者の頭上から叩き落とした。


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