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474頁

俺が視線を向けた先にいるリーゼロッテ先生のお父様は、俺の視線に気がつくと、


「リーゼロッテの言う通り、私達も覚悟を決めたのです。生温い事を言われても、それで首を縦に振る事は難しいでしょう。私達に出来る事は、出来る限りの最善であり最大の成果を上げなくては、クロス家の名折れになります。…リーゼロッテの言う通り、私達には自分達の出来る最大の行動をするとしましょう」


まさかの、好戦的な笑みを口元に漏らしつつそんな事を言ってきた…。

な、なるほど…。

リーゼロッテ先生の少し好戦的な一面は、お父様の影響があったからなのかもしれない。

俺はそう思いつつ、


「…分かりました。リーゼロッテ先生達の言いたい事も理解は出来ます。ですが、それでも貴女達にもしもの事があるのも、望んでいる訳ではありません。どうか、そこは見失わないで頂けると幸いです」


彼女達を止める事は出来ないと思い、決して無理や危険な事をしないで欲しい事だけを伝える。

俺の言葉を聞いたリーゼロッテ先生とお父さんは、互いに視線を向けて頷き合う…。

不安なのだが…。

俺が不安に感じていると、


「あの…先生?」

「「はい?」」


レナーテさんが声を掛けて来て、俺が返事をすると同時にリーゼロッテ先生も返事をして俺の返事と被ってしまった。

俺とリーゼロッテ先生の同時の返事を聞いたレナーテさんは慌てた様子で、


「ヴァ、ヴァルダ先生の事です。すみません、ややこしい事を言ってしまいました…」


そう謝罪をリーゼロッテ先生にする。

彼女の言葉を聞き、リーゼロッテ先生は大丈夫ですよと少し恥ずかしそうな表情でレナーテさんにそう伝える。

2人のそんな会話を聞いた後、


「それで、レナーテさんはどうしたんです?」


俺はレナーテさんに改めてそう質問をする。

俺の質問を聞いたレナーテさんは、


「そ、その…私も何か出来る事は…」


俺にそんな事を聞いてくる。

しかし、リーゼロッテ先生は1人の大人だ。

ある程度の状況を見極めて、行動する事が出来るだろう。

…出来るだろう…。

しかしレナーテさんはまだ俺と同い年であり、まだ子供と言っても過言では無い。

というかレナーテさんの場合、冷静でありつつも勢いで行動してしまいそうな事があるからな…。

いや、これについては目の前の人達にも同じ事が言えるだろう…。

しかしまぁ、レナーテさんに比べるとリーゼロッテ先生やそのお父さんは魔法使いとしての力量が違うだろう。

安心と言えば、この2人の方が上だ。

ならば、やはりレナーテさんにはあまり無理な事はさせられない。

だが、それではレナーテさんも納得してくれないだろう。

どうしたものか。

とりあえず、レナーテさんには俺のサポートとして学院にいる亜人族の人達の保護を手伝って貰うとしよう

今は夜ではあるが、出来るだけ今の内に学園の亜人族を保護した方が良いと思う。

俺はそう思うと、


「ひとまず、リーゼロッテ先生の許可を貰えたという事で、俺とレナーテさんは今から学園へと戻るつもりです。今からだとレベルデン王国に着くのは深夜になってしまいますけど、それでも隠密に行動するのなら丁度良いと思いますので」


リーゼロッテ先生とご両親にそう言ってソファから立ち上がると、俺の様子を見て少し慌てた感じでレナーテさんも立ち上がった。

そんな俺とレナーテさんの行動を見て、リーゼロッテ先生も立ち上がると、


「…分かりました。ヴァルダさん、レナーテさんやクラスの子達をお願いします」


俺にそう言って頭を下げてくる。

そんな彼女に俺は、


「…臨時ではありましたけど、それでも俺は彼女達の先生でしたからね。しっかりと護らせていただきますよ」


笑いながらそう答えると、レナーテさんに行きましょうと言ってからリーゼロッテ先生のご両親に頭を下げて、俺とレナーテさんはリーゼロッテ先生の屋敷を後にした。

その後、俺とレナーテさんはレベルデン王国に戻る為にシュタール公国を出国して人気が無い所まで移動した。

出国の際に、こんな夜に安全が保障されていない国の外に出る事を怪しまれたのか、それとも純粋に心配されたのかは分からないが、検問所の騎士に何回か質問をされてしまった。

何とか急いでいる事を説明して、出国する事が出来たのだが…。

カルラにお願いしようかと思ったが、彼女はあまりレナーテさんと俺が一緒にいる事を好ましく思っていない様子だし、今回は別の人にお願いするしかないな。

…レナーテさんには悪いが、今はあまり快適さを求める事は出来ないだろう。

俺も少し不安だけど、今はなるべく迅速な動きをしなくてはいけないしな…。

俺はそう思いながら、


召喚(サモン)、シル」


シルを呼び出す。


「ふわぁぁ~ぁ…。どうしましたかヴァルダ様~?」


黒い靄から出てきたシルは、先程まで寝ていたのか大きな欠伸をしながら目を擦りながら出てきた。

純粋にシルは寝ている事が多い、この時間ではすでに寝ていたのだろう。

そう考えると、途中で起こしてしまって申し訳ない。

俺はそう反省しつつも、


「夜遅くに悪いなシル。急ぎの事情があってシルにお願いしたい事があるんだ。本来ならカルラにお願いしたいのだが、シルが説明してくれたから…な?」


シルにそう軽く説明をすると、


「…カルラに代わりという事は、そういう事だよね~?」


俺の考えを察した様子でシルが俺にそう言ってくる。

彼女の言葉に俺は頷くと、


「せ、先生?」


俺の後ろで俺とシルの様子を窺っていたレナーテさんが俺に声を掛けてくる。

その言葉から、彼女が俺とシルの言葉からこれから起こるだろう状況を想像して不安そうな声を出す。

彼女の言葉に俺は、


「…急いでいるので、我慢して下さい…。一応、シルにもお願いはしますけど…」


不安そうにしているレナーテさんに対して、そういう事しか出来なかった。

ただでさえ夜遅くに呼び出したにも関わらず、俺の願いを嫌な顔をしないで聞き入れてくれるシルにこれ以上も止める事は出来ない。

一応お願いだけはするが、文句を言う権利は俺には無い。

俺はそう思いながら、


「シル、すまないが頼めないか?」


シルに対してお願いの言葉を口にした。


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